ムラサメの作戦
火で作られた獣を作り出し、操ることができるスキル、<フレイムビースト>を使ってムラサメとソワンに攻撃を仕掛けている敵のサリードは、自身の勝利を確信していた。
魔力を大量に使っちまうが、今のあいつらに俺のスキルをどうこうする力も選択肢もねぇ! このまま攻撃を続ければ俺の勝ちだ!
心の中でそう思っていると、ムラサメがサリードに向かって走っていた。
「はっ! 脳みそ破裂したのか? 俺に近付こうなんて一千万年はえーんだよ!」
ムラサメのことをバカにしながら、サリードは鎖を放った。ムラサメは飛んでくる鎖をかわしながら走り続けたが、サリードは残る魔力を放った鎖に注いだ。
「かわしたと思ったか? 俺の鎖は特注品! 魔力を注げば、自由に動けるんだぜェェェェェ‼」
自身の意思で動く鎖を操り、サリードは高笑いをした。ムラサメは周囲を見回し、迫ってくる鎖をしゃがんでかわした。その後すぐにムラサメは態勢を整え、走り始めた。
「一度避けても二度目はどうかな?」
と言って、サリードは鎖と同時に<フレイムビースト>で作った火の獣を操った。
「チッ! 面倒だな!」
ムラサメは舌打ちをしながら、同時に迫ってくる鎖と火の獣から逃げた。
「おいおいおいおい、逃げるのかよ子猫チャン? お遊びのお時間はこれでおちまいでちゅかー?」
「うーわ赤ちゃん言葉かよ。俺を赤ちゃん扱いすんなよ気持ちわりーなー」
後ろに下がったムラサメは、嗚咽しながらこう言った。サリードは鎖を手元に戻し、ムラサメを見た。
「ヘッ、粋がるのもここまでのようだな。俺はつえーんだよ。雑魚の小娘が二匹同時に襲い掛かろーが、この滅茶苦茶強い俺には勝てねーんだよ!」
「自分で自分のことを強いって言うか? とんだ勘違い野郎だな」
「はっ! テメーの状況を考えろ! この俺に近付くことができたか? 攻撃することができたか?」
「やかましい。もし、お前が強いんだったら、あっという間に俺とソワンを倒してたはずだ。戦いが始まって五分くらいは経過したぞ。少し質のいいカップラーメンがお湯淹れて食べられる時間だぜ」
ムラサメは笑いながらこう言った。この笑みを見て、サリードはイラっとした。追い込まれている状況のはずなのに、余裕の態度を見せるムラサメが気に食わなかったのだ。
「テメー、マジでふざけんなよ? 俺がその気になれば、テメーを<フレイムビースト>で作った獣たちのエサにして、下痢便にすることもできるんだぜ?」
「下痢便下痢便うるせーんだよ。お前、もしかしてあれか? おなか弱いのか?」
笑いながら言葉を返すムラサメを見て、サリードはまたイラついた。その時のサリードの表情を見て、ムラサメはこう言った。
「俺を倒したいんなら、ドラゴンやらでけー鳥でも作るんだな! 俺はお前より強い。とんでもねーバケモンじゃねーと、俺は倒せないぜ?」
「そうか……それならテメーの望み通りやってやらァァァァァァァァァァ‼」
サリードは叫び声を上げながら、体内に残る前魔力を使い、火でドラゴンを作り出した。火でできたドラゴンは大きく両翼を動かし、ムラサメに向かって叫んだ。
「ヒャーハハハハハ! どーだ、ビビったか⁉ これでお前を殺すことができるぜ!」
「悪いがそりゃー無理な話だ。この勝負、俺たちの勝ちだからな」
と言って、ムラサメは<イビルアイ>を使った。ムラサメの目を見たサリードは催眠にかかり、火でできたドラゴンの下に歩いた。
あれ? 俺、どうして勝手に……?
少しだけ魔力が残っているせいで、サリードには我があった。それでも、催眠を解くことができなかった。ソワンは呆れた表情で歩き、こう言った。
「私のスキルを教えておくわ。私のスキルは<ホワイトバース>。半径十メートル以内にある物を、何でも凍らせることができるわ。あんたが作ったそのドラゴンも、あっという間に凍らせることができる」
と言って、ソワンは<ホワイトバース>を発動した。あっという間に氷漬けになった火のドラゴンは宙で動きを止め、真下にいるサリードに向かって落下した。
「な……」
上から落ちてくるドラゴンを見て、サリードは逃げようとした。しかし、<イビルアイ>の催眠のせいで足が動かせないサリードは、そのままドラゴンの下敷きになった。
別の場所で戦うリミスは、何かが崩れる音を耳にした。
「なんかやってるみたいねー」
そう呟きつつ、歩いていた。そんな中、強い魔力を感じてヒアラを抜いた。
「誰かいるのね? 魔力で分かるわ、出てきなさい」
「おーう! 私の魔力を感じるとは、君はなかなかスペシャルな戦士と見た」
と言って現れたのは、股間を茶色い袋で隠し、それ以外は何にも身に着けていない変態野郎だった。
「ギャァァァァァァァァァァ‼ 変態だァァァァァァァァァァ‼」
「ノンノン、私は変態ではありませーん。私の名はポバッツン。この世で誰よりも、何よりもスペシャルで、何よりも美しい男‼」
ポバッツンと名乗った変態男は、股間を強調するポーズをしながらこう言った。変態男を見たリミスは心の中で、本当に切り殺してやろうかと考えた。
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