二本目の聖剣
足を強化するスキル、<グレートフット>を持つデーモンブレスの団員、ディングレイとの戦いにムラサメは勝利した。だが、ムラサメも大きな傷を負ってしまった。
数分後、ウターンのギルドの戦士、そして近くの町や村にいるギルドの戦士が連絡を受け、ムラサメたちの元へ到着した。ネコノテフックを受けて気を失ったディングレイは、魔力を強制的に制御する首輪を付けられ、担架で救急車に運ばれた。
「取り調べはするな。ムラサメさんが言っていたが、捕らえたデーモンブレス団員は何らかの方法で殺害されたと」
「そうか。それじゃあこいつはどうするんだ?」
「とりあえずギルド管轄の病院に持っていくしかないな」
救急隊員の話を聞き、ムラサメは安堵の息を吐いた。
「取り調べをするなって伝言、届いてよかったなー」
「確かにね。でも、今の状況はよくないわよ」
と、ムラサメの治療をしているリミスがこう言った。リミスはため息を吐き、続けて口を開いた。
「あまり動かないで、治療ができないから」
「ああ、悪い」
ムラサメとリミスが話をしている中、ギルドに連絡をしていたソワンが剣を抜いて近付いた。足音でソワンの接近に気付いたムラサメは、剣を手にしたソワンを見て驚いた。
「おいおい、まさか俺が弱っているから確実にとどめを……」
「そんなことするわけないじゃない」
「じゃあその剣をしまってくれよ!」
「それは断るわ」
そう答え、ソワンは魔力を開放してムラサメに近付いた。魔力を開放した瞬間、ソワンが手にする剣が光り出した。
「え……ひか……」
光った剣を見て、ムラサメは驚いたが、その次に自身の体が異様に楽になっているのを感じた。
「痛みが和らいでく。何したんだ?」
「ソワンの聖剣の力よ」
リミスの言葉を聞き、ムラサメはリミスが持つ剣、ヒアラのことを思い出した。
「何だ? ソワンも聖剣の使い手なのか?」
「ええ。私の聖剣はクルア。治療の力を持った聖剣よ」
と言って、ソワンはクルアをムラサメに見せた。
治療が終わった後、ムラサメたちはギルドの部屋に戻っていた。ムラサメは緑茶を飲み、ソワンが持つクルアを見た。
「しっかし、治療の聖剣とは驚いたな。これでどんな傷も治せるのか?」
「大体治療できるけど、切断とか人体内部破損は難しいわ」
「できることとできないことがあるのか。まぁ、何でもできたらクルアに頼りっぱなしだからな」
と言って、ムラサメは自分の右手を動かした。ディングレイとの戦いの中、ダメージを負ったムラサメは体の至る所から痛みを感じていた。だが、今はその痛みを感じていないのだ。
「ありがとな。結構無理して我慢した痛みだったから、今はかなり楽になったよ」
ムラサメは笑いながらこう言った。ソワンはその顔を見て、少し照れた。
「何よ、だからってあんたとリミスの仲はまだ許したわけじゃないから」
「そんなことを言わないでよ」
ため息を吐きながら、リミスがやってきてムラサメの横に座った。ソワンが妬みで両頬を膨らませる中、リミスは手にした資料を机の上に広げた。
「これを見て。デーモンブレスのアジトの詳細よ」
リミスの言葉を聞き、ムラサメとソワンは目を開いた。
「場所が分かったんだな」
「ディングレイって奴が現れた場所をギルドの捜査員が調べたの。で、ギルドの衛星写真で奴が出てきた場所を特定したの」
「場所の特定か。すげーことできるんだな」
ムラサメは感心しながらこう言った。リミスは一枚の写真を取り出し、ムラサメとソワンに見せた。その写真には、洞窟から姿を現すディングレイの姿が映っていた。
「あの野郎だ。つーことは、ここがあいつらのアジトってわけか」
「どこの洞窟か分かったの?」
「ええ。この位置はトベルート町の北にある岩山。あいつらはそこにある小さな洞窟を改造してアジトにしたらしいの」
話を聞いたムラサメは、緑茶を一気飲みして立ち上がった。
「ここからどのくらいの距離だ?」
「車で五時間。ディングレイは<グレートフット>ってスキルで車以上の速度で走ったから、すぐに到着できたと思う」
「ああ。俺もそう思う。それじゃ、すぐにあいつらを倒しに……」
「それはいいわ。今、トベルートのギルドの戦士が討伐に向かったって言ってるわ」
リミスはムラサメにこう言った。ムラサメは返事をして座ったが、この騒動がすぐに終わるわけがないと、心の中で思っていた。
トベルートのギルドの戦士、男剣士のネハは信頼できる同期の女剣士バルバと男魔導士のガイッサ、女ヒーラーのクアロとパーティーを組んでデーモンブレス討伐に向かった。
「俺たち最強パーティーなら、あんな奴ら秒で血祭りにできるだろう!」
ネハは笑いながらこう言った。その言葉を聞いたバルバも笑いながら同調し、ガイッサも杖を振り回しながら返事をした。そんな中、クアロは呆れてため息を吐いていた。
「あいつらが何人かギルドの戦士を殺したってこと、忘れたの? 簡単に倒せる相手じゃないと思うけどねぇ」
と、小さく呟いた。
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