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ヒロインが一人増えました?


 ムラサメの奇策によって、ソワンの<ホワイトバース>が対処されてしまった。摸擬戦はムラサメの勝利で幕を閉じたのだった。


 しかし、ムラサメとリミスの部屋に戻ったソワンは、涙目をしながらずっとソファーの上で座っていた。


「おいおい、どうすんだ?」


「どうすんだって、どうしようもないわよ」


 ムラサメとリミスは顔を見合わせ、ため息を吐いた。戦いは終わったのだが、ソワンは「あんな勝ち方じゃ納得いかない!」と言って、リミスの元から離れようとはしなかったのだ。リミスはソワンに近付き、しゃがんだ。


「とりあえず落ち着いた?」


 リミスがソワンにこう聞いたが、ソワンはすぐにリミスに抱き着いた。


「嫌だァァァァァァァァァァ! リミスが他の女の女になるなんて絶対嫌だァァァァァァァァァァ!」


「他の女の女って、聞いたことのない言葉だな」


 と言ってムラサメは笑ったが、少しイラっとしたリミスが机の上のリモコンを手にし、ムラサメの口の中に向かって投げた。口の中に入ったリモコンと格闘しているムラサメを無視し、リミスはソワンに話しかけていた。


「私はまだそんな……それより、ソワンはこれからどうするの?」


「ギルドの異動届はすでに出した。すぐにでもリミスと一緒にギルドの戦士として活動したい」


「私と一緒……かぁ」


 返事を聞いたリミスは再びため息を吐いた。口の中のリモコンを取り出したムラサメは嗚咽し、リミスに近付いた。


「どうした? なんか問題でもあるか? リミスクラスのスタイルの美少女が増えるんだ。俺は大歓迎だぜ」


「私は嬉しくないわよ泥棒猫」


 そう言って、ソワンはムラサメに殺意の眼差しを向けた。


 面倒なことになったとリミスは心の中で思った。ソワンが自身に異常と思われるレベルの信頼、と言うか恋心を抱いている。リミスもそのことは把握していた。


「はぁ。こうなると本当に面倒なのよね」


 騒ぐムラサメとソワンを見ながら、リミスは小さく呟いた。そんな中、部屋の電話が鳴った。ムラサメは急いで受話器を手にし、返事をした。


「はいもしもし。ムラサメですが」


「ムラサメさん。ギルドセンターの者です。実は、仕事の依頼ですが……」


「仕事の依頼? 俺とリミスに直接依頼するってことは、結構ややこしい依頼ってわけか」


 ムラサメの言葉を聞き、ギルドセンターの役員は返事をした。




 電話の後、ムラサメたちはすぐにギルドセンターに向かった。施設に入った直後、ムラサメたちの姿を見た役員がすぐに近づき、案内を始めた。


「話は電話で軽く聞いた。ワルザー以外にも物騒な奴がいたなんて思ってもいなかったよ」


「ワルザーが物騒だったのは、ロマクの裏切り者がギルドの情報をあいつらに流していただけです。今回相手する裏ギルドは、ワルザーより厄介だと思ってください。では、この部屋へ」


 役員に案内された部屋は、取調室だった。ソワンは背筋に鮫肌が走り、リミスに近付いた。


「ねぇ、一体何をするの?」


「取り調べね。多分、次に相手する裏ギルドの手下を捕らえたんだと思う」


 リミスはソワンにそう言って、前を見た。そこには、手足を拘束された囚人服姿の男が座っていた。男はリミスの方を見て、不気味に笑みを浮かべた。


「あの野郎、リミスの顔を見て気持ち悪い顔をしやがったわね。<ホワイトバース>の範囲内よ。凍らせてやる」


「ちょっと待ってくれソワン。ここからは俺の出番だ」


 ムラサメはソワンの前に立ってこう言った。ソワンは文句ありそうな顔をしていたが、ムラサメはソワンに振り向いてウインクをした。役員がムラサメに近付き、資料を渡した。


「これが今回の取り調べの相手です」


「<イビルアイ>を使わずとも情報を得られたのか」


「何とか」


 役員の返事を聞きながら、ムラサメは資料に目を通した。男の名前や年齢、出身地などの情報が書かれていたが、その中には今所属している裏ギルド、そしてその裏ギルドのリーダーの名前が書かれていた。


「大体の流れは想像できる。こいつの簡単な情報はゲットできたが、肝心の所属組織のことについてはなーんにも答えなかったってわけか」


「その通りです。ムラサメさん」


「分かってる。俺の<イビルアイ>の出番ってわけだ」


 と言って、ムラサメは男がいる部屋に入って行った。ソワンは部屋に入るムラサメを見て、少しだけ不安になった。


「ねぇ、あの気持ち悪い男がいる部屋に、一人で行かせていいの? あの野郎が自由になったら、きっとエロいことをするわよ」


「大丈夫よ。丁度いい機会だから、ムラサメのスキルについて話をするわね」


 リミスはそう言って、<イビルアイ>の話を始めた。




 ムラサメは男の前に座り、笑みを浮かべた。


「よー、ドジ間抜け。今から取り調べすっから大人しくしろ」


 ムラサメの言葉を聞き、男は笑い始めた。


「ギャハハハハハ! お前みたいなエロい体の猫の子が取り調べだと? 俺が誰なのか分かってんのか?」


「まーな」


「ハハハハハ! ならビビるはずだ!」


「ビビらねーよ。お前みたいな小物、何人も相手してきたからな。さて、格下との下らねー話はしたくねーんだ。とっとと終わらすぞ」


 と言って、ムラサメは<イビルアイ>を発動した。


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