ホワイトバースの弱点
ソワンは水の魔力、そして自身の半径十メートル以内にある物質を一つだけ自由に凍らせることができるスキル、<ホワイトバース>を使ってムラサメを襲う。ムラサメはソワンが操る氷の壁の上に落ちてしまい、ソワンは氷の壁を伸ばし、ムラサメを天井に激突させた。
「うわっ! これはまずい! ペッチャンコになっただろ!」
管理者は驚きながらこう言ったが、リミスは表情を変えなかった。
リミスだけは理解していた。氷の壁が天井に激突する寸前、ムラサメは風を発して足元の氷を砕いて体が入れるくらいの隙間を作り、そこに潜って攻撃を回避したと。
「ふぅ、哀れなメス猫ね」
ムラサメを倒したと思っているソワンは、氷の壁を収縮させ、ムラサメの様子を確認しに向かった。
「さーてと、どんな哀れな体になっているのやら」
「悪いな。君が思っているような状態にはなってねーぜ」
ムラサメの声を聞き、ダメージを受けていないムラサメの姿を見てソワンは動揺した。ムラサメはすぐに魔力を開放して風を発し、ソワンを吹き飛ばした。
「グッ……どうして? 潰したはずなのに!」
「氷を削ったんだよ。隙間を作れば、何とかなるさ」
「クソッ!」
叫び声をあげ、ソワンは<ホワイトバース>を使った。ムラサメはすぐに後ろに下がり、風の刃を発した。
「無駄よ! あんたがどれだけその刃を発しても、すぐに凍らせてやるわ!」
と言って、ソワンは飛んでくる風の刃を凍らせた。氷漬けになった風の刃は下に落ち、跡形もなく砕け散った。
「どう? <ホワイトバース>を使う限り、あなたに勝ちはない」
腕を組み、ソワンは笑みを浮かべた。
あーりゃま。勝手に勝ち誇っちゃってまぁ。
と、ムラサメは呆れながら心の中でこう呟いた。ソワンの<ホワイトバース>は相手を凍らす恐ろしいスキルである。だが、ムラサメは余裕の態度を崩さなかった。何故なら、ムラサメは<ホワイトバース>の弱点を理解したからだ。
「おーい。勝手に勝ちを宣言するのはバカがやることだ」
「あぁ?」
「悪いけど、その宣言を撤回させてもらおう」
「ふふふ。つまらないジョークね。どう見たって、この勝負は私の勝ちよ」
「スキルの性能で戦いが決まるわけじゃねー」
そう言葉を返し、ムラサメは<イビルアイ>を使った。
「このタイミングで<イビルアイ>を使う? 一体なんのために?」
ムラサメの行動を見たリミスは、不思議に思った。<イビルアイ>の催眠はムラサメより強い魔力を持った相手には通用しないのだ。ソワンの魔力はムラサメより強い。催眠の効果はないのに、どうして使うのか疑問だった。そんな中、<イビルアイ>を使ったムラサメは笑いながらこう言った。
「うっは! 結構おっぱいでかいね君! リミスと同じくらいのサイズじゃねーの?」
ムラサメの言葉を聞いたソワンは顔を赤くして胸を隠し、リミスは呆れてずっこけた。
「この変態! 私の胸の大きさは関係が……」
ソワンははっとした表情になった。ムラサメが下らないことを言ったため、一瞬だけ<ホワイトバース>を解いてしまった。その隙に、ムラサメは魔力を開放していたのだ。
「手加減するから怒るなよ。必殺、ネコノテストレート‼」
ムラサメはネコノテストレートを放ち、攻撃を仕掛けた。飛んでくるネコノテストレートを見たソワンはすぐに<ホワイトバース>を発動し、ネコノテストレートを凍らせた。
「今のは危険だったわ……まさか、あんな技を使うなんて」
氷漬けになった巨大なネコノテストレートを見て、ソワンは少しでも<ホワイトバース>を使うのが遅れたらどうなるか考え、冷や汗を流した。その直後、ソワンは悲鳴を上げた。
「実際に触って分かったんだけど。やっぱりソワンと同じくらいの乳だなー。大きさも柔らかさもほぼ同じ」
そう言いながら、ソワンの背後に移動したムラサメはソワンの胸を揉んだ。
「こ……この! これ以上胸を揉んだら……お前を殺すわよ!」
「無駄だよ、勝負ありだ。このまま戦っても<ホワイトバース>の攻略法を知った俺に適うことはない」
「攻略法? 私のスキルに対処する方法があるってわけ?」
「そうだ。<ホワイトバース>は半径十メートルの物、一つだけを自由に凍らせることができる。だけど、同時に二つ以上の物は凍らせることはできない。俺はネコノテストレートを放ったと同時に、君の背後に回った。もし仮に、先に俺が凍らされてもネコノテストレートが君に命中する」
ムラサメの言葉を聞き、ソワンは歯を食いしばった。ムラサメは小さく笑みを浮かべ、言葉を続けた。
「それに、話を聞いたら広範囲に効果があるってイメージがあるけど、実際は違う」
「何が違うのよ? 私が言っている言葉に嘘はないわ」
「とりあえず俺の話を聞いてくれよ。君が凍らせることができるのは、目で確認できる範囲だ。相手の魔力を探知できれば見えない部分の対象を凍らせることができるとは思うけど、魔力と気配を消して動けば凍らせることは不可能だ」
ムラサメの言葉を聞き、ソワンは肩を落とした。ソワンが戦意を失ったことを察したムラサメはソワンの両胸から両手を放し、管理者にこう言った。
「摸擬戦は終わりだ。ごめんな、ちょっと時間がかかっちまった」
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