突然やってくるお客様
朝、ムラサメは乱れたベッドの上で目を開けた。昨晩リミスの想いを聞き、それからあれこれと詳しく文章にしたらいろいろとあれなことが行われた。ムラサメは上半身を起こして横を見たが、そこにリミスはいなかった。
「先に起きたのか?」
「遅いわよ。もう朝の八時よ」
と、エプロン姿のリミスが姿を現した。リミスは手にしていたお盆を机の上に置いた後、ムラサメの姿を見てため息を吐いた。
「着替え持ってくるから。すっぽんぽんじゃ風邪ひくわよ」
リミスの声を聞き、ムラサメは自身が全裸であることを把握した。その後、リミスが持ってきた衣服を着ながら、ムラサメはリミスに尋ねた。
「昨日、確か俺は寝る前にネグリジェを……」
その問いに対し、リミスはベッドの下を指差した。そこには、脱ぎ捨てられたネグリジェがあった。
「俺、脱いだ記憶がないけど。リミスの胸をあれこれしたことと、リミスが俺の胸をあれこれしたのは覚えているけど」
「そんなこと覚えなくていいわよ! ちょっとやりすぎた……」
想いを告げてあれこれしたせいか、リミスは少し照れていた。その様子を見たムラサメは笑おうとしたのだが、叱られると思って表情を変えなかった。
食事を終えたムラサメはキッチンに向かい、食器を洗っていた。そんな中、チャイムが鳴った。
「こんな朝早くに誰だろう」
小さく呟き、ムラサメは玄関を開けた。外には、鬼のような形相のソワンが立っていた。
「おわァァァァァァァァァァ‼」
鬼のような形相のソワンを見て、驚いたムラサメは勢いよく玄関を閉じた。すぐに鍵をしようとしたのだが、ソワンは魔力を使って玄関を破壊した。
「ちょっと、今の何よ⁉」
リビングで本を読んでいたリミスが、破壊した時の音を聞いて飛び出した。外にいたソワンはリミスの姿を見て、涙を流した。
「リミスゥゥゥゥゥ! 会いたかったわァァァァァァァァァァ‼」
「えええええ⁉ ちょっと、もしかしてソワン⁉」
「え? 知り合いなん?」
ソワンが魔力を使った衝撃で転倒していたムラサメは立ち上がり、リミスに抱き着くソワンを見た。
その後、ムラサメたちはリビングにいた。ソワンは正座をしているが、リミスの横に座るムラサメを殺意が込められた目で見ていた。
「なぁ、あの子は一体何なんだ? さっきから殺意を感じるんだよ」
「私の学生時代の友達」
「え? お前に友達っていたの?」
「いるわよ! 失礼ね」
「ちょっといいかしら?」
ソワンが口を開いたことを知り、ムラサメは咳払いをした。
「とりあえず君のことを教えてくれよ。君は俺のことを知ってるようだけど、俺は君のことを知らないんだ」
「うるさいわね。ぶっ殺すわよ?」
ソワンは腰に携えてある剣を鞘から抜き、ムラサメの目前に押し付けた。仕方ないと思いつつ、ムラサメは<イビルアイ>で情報を得ようとしたが、リミスがムラサメを止めた。
「私から教えるわ。この子はソワン・ラティオ。私の学生時代の友達よ」
ソワンの説明を受けたムラサメは、ソワンの姿を見回した。ムラサメの視線に気付いたソワンは、魔力を開放した。
「じろじろと見ないでくれる?」
「悪い悪い。いやー、君も結構胸が……」
胸のことが話になり、リミスとソワンは同時に魔力を開放した。ムラサメはすぐに土下座をして謝ったが、その時ソワンの耳を見て違和感を覚えた。
「あり? 耳がすごく長いし、尖がってるな」
「あなた、エルフを知らないの?」
「エルフ? ああ、確かエルフもいるような話を……」
リミスはソワンに近付き、首を振った。
「今から簡単にこいつのことを教えるわね。少し嘘くさいこともあるけど、本当のことだからね」
「リミスの言うことは全て本当だと思ってるわ。教えて、あの泥棒猫のことを」
そう言いながら、ソワンはムラサメを睨んだ。
その後、ソワンはリミスからムラサメのことを聞いた。
「あんたが転生者なら、エルフのことをあまり分かってないってことも納得するわね」
「ま、そういうこった」
ムラサメは紅茶を一口飲んだが、あまりの熱さに小さく悲鳴を上げた。そんなムラサメの姿を見たソワンは、リミスの方を見た。
「どうしてこんな猫女と一緒にいるのよ?」
「最初に遭遇したのが私なのよ。それからずるずるとね」
「そんなカップルみたいな……」
この時、ソワンはあることを察した。
「ねぇ、どうしてこんな猫女のいる部屋にリミスがいるの? 私、リミスの魔力を感じながらここにきたの」
「それはその……」
「一晩一緒に過ごした仲だからなー」
会話に横やりするような形で、紅茶に息を吹きかけるムラサメがこう言った。その言葉を聞いたリミスは顔を赤くし、ソワンの顔から生気が消えた。
「一晩って……リミス? あなたこの猫に一体……」
「それはその……えと……」
「正直に言った方がいいと思うぜ。互いのおっぱいを揉んだり吸ったり、互いの太ももを触ったりこすりつけ合ったり、しまいには……」
その時、ムラサメが持っていたカップがいきなり氷漬けになった。ムラサメは驚いて悲鳴を上げ、ソワンを見た。ソワンからは、冷気のようなものが発していた。
「ムラサメ……ツキカタナ……外に出なさい。あなたを氷漬けにして、バラバラニシテアゲルワヨ」
そう言うソワンの目は、冷徹な殺人者のような目をしていた。
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