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解決しても


 ムラサメの必殺技、ネコノテストレートはロマクに命中した。うねりを上げながら音を出す無数の小さな風の刃はロマクを切り刻み、それと同時に大きな拳で殴られているかのような衝撃がロマクを襲っていた。


「がァァァァァァァァァァ‼ こ……こんな……こんなことがァァァァァァァァァァ‼」


「とりあえず、倒れとけ」


 と言って、ムラサメは指を鳴らした。それと同時に、ネコノテストレートは大きく破裂した。破裂した時に強い衝撃が発生し、吹き飛んだロマクは壁に激突した。ロマクは吐血し、壁にへばりついたまま下に落ちた。


「が……がぺぺ……」


 血まみれ、そして一部の手足が変な方向に曲がっているロマクの姿を見たムラサメは、息を吐いて呟いた。


「やべ、ちとやりすぎたか?」


 そう呟いた直後、ヒアラを手にしたリミスが、倒れているロマクに近付いた。




 ロマクはぼやける目で、リミスが近付いてくるのを目にした。きっと回復してくれるのだろうと期待したロマクだったが、リミスの目が汚らしい汚物を見るような目で、その目には強い殺意が込められていると察し、恐怖を感じた。


「これで終わったと思うな!」


 リミスは叫びながら、倒れているロマクを殴った。殴られた際、ロマクは小さな悲鳴を上げた。本当は大声を出したかったのだが、ネコノテストレートで受けたダメージが大きく、声を出せなかったのだ。


「死ね! 死ね死ね! あんたみたいな野郎は、死んでしまえ‼ あんたのせいで、どれだけ人が死んだか分かってるの⁉」


 そう叫びながら、リミスは感情に任せてロマクを殴った。そんな中、呆れた顔のムラサメがリミスに近付き、リミスの腕を止めた。


「そこまでだ」


「ムラサメ!」


 ムラサメが近くにいることを察したリミスは、ムラサメから離れようとした。だが、ムラサメは力強くリミスの腕を握っているせいで、離れることはなかった。


「放してよ! こいつを殴れないじゃない!」


「こいつはもう半分死んでるようなもんだ」


「だからよ! 確実にこいつを仕留めないと!」


「こいつを殺しても、死んだ人間は戻らないぞ。ゴリマーチョも、アングも戻ってこない」


「じゃあどうすればいいのよ⁉」


「何もしない。ここでリミスがこいつを殺したら、こいつと同じ外道になっちまうぞ」


 ムラサメはため息を吐いてこう言った。口を動かさないリミスを見て、ムラサメはあくびをして話を続けた。


「こんな野郎を殺して罪を背負う必要はない。そんなことしたら、皆悲しむ。俺も悲しむ。何のために法律があると思う? ロマクみたいなクソ野郎を裁くためだ。感情に任せて動くのは人間だから仕方ねーと思うけど、やりすぎはよくない」


 ムラサメはそう言って、リミスを自身の胸に抱き寄せた。感情が不安定な状態になっているリミスは、どうすることもできず涙を流した。


「気が済むまで泣くんだ。俺の巨乳で涙を受け止めてやるから」


 そう言って、ムラサメはリミスを抱きしめたままその場に座った。その時、ムラサメは横を見た。ムラサメがリミスをなだめている隙に、ロマクが逃げ出したのだ。


「あの野郎……」


 呆れたムラサメは<イビルアイ>の探知能力を使った。ロマクの魔力は、アジトの外に存在した。ムラサメは傷を受けた右足の太ももに触り、鋭い痛みを感じた。


「無理して動いたからなー」


 そう呟きつつ、端末を手にしてギルドに連絡をした。そこで、ムラサメはワルザーのアジトで起きたことを全部話した。




 一瞬の隙を突いてロマクは残っている魔力で治療し、動けるまで体力を回復した。


 何とか逃げることに成功したが、完全に傷は治ったわけじゃない。強い痛みも感じる。出血もまだしている。骨も動くたび痛いから、どこかが折れている。ムラサメの奴は、僕がギルドを裏切っていた、ワルザーの内通者だったとギルドに伝えるだろう。


 そう思いながら、ロマクは傷付いた体で逃げていた。とにかく人がいないところ、長時間隠れる場所を探しながら歩いていると、オオカミの唸り声が聞こえた。後ろを振り向くと、そこにはよだれを垂らしながら近づいてくるオオカミの群れがあった。


 しまった、血の臭いに引き寄せられたか⁉


 そう思ったロマクは、周囲を振り返った。<ソニックシュート>の道具になるような小石は散らばっているものの、肝心のスキルを使うための魔力が残っていなかった。


「く……そ……」


 小さな声で、ロマクはこう言った。その直後、オオカミたちはロマクに襲い掛かった。




 数時間後、ムラサメの連絡を受けたギルドの戦士や治療チームがワルザーのアジトに到着した。ギルドの戦士はリミスを優しく抱きしめるムラサメを見つけ、安堵の息を吐いた。


「ムラサメさん、無事でしたか」


「右足は怪我したけどな。リミスは無事だ。けど……」


「アングさんのことですね。死体を回収しました」


「ああ。分かった」


 その後、ムラサメとリミスは担架に乗せて運ばれた。ギルドの救急車に運ばれた後、ムラサメは手当てを受けながらギルドの戦士の会話を耳にした。オオカミに襲われたと思われるロマクの死体を見つけたと。


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