主役の登場
リミスは知った。ロマクが裏でワルザーたちとつながり、悪さをしていると。ロマク曰くリミスが持つ聖剣の力が欲しいと言っているのだが、目的はそれだけではないとリミスは考えた。
ロマクがリミスの胸を揉んだ男を射殺した後、様子を見ていたワルザーが大声を上げ、ロマクに近付いた。
「クソガキ! よくも俺の部下を!」
「僕を殺すのかい? 僕のおかげで、あなた方の仕事がかーなーりーやりやすくなったと聞きますが」
ロマクの笑みを見て、ワルザーは歯を食いしばりながら下がった。
「ふっ、最初から僕に文句を言わなければいいのに」
ロマクは右手で持っている拳銃を下に放り投げ、笑い始めた。
「リミス! 答えを聞くよ、僕と手を組むか? 組まないか? いや、答えは一つだけしか存在しない。僕と手を組む以外の選択肢はない! 僕はいずれ、ギルドの全てを支配する! 君の聖剣の力と僕の頭脳があればギルドを支配することができる! ウターンのギルドだけじゃない、全世界のギルドを掌握できるんだ! あのギルドを弱らせるために、わざわざこんなちっぽけで弱っちい裏ギルドに手を貸し、わざと情報を流した。そのおかげでゴリマーチョやアング、強い戦士を始末することができた! 戦力は減った。これでウターンのギルドに攻め込んで崩壊させ、お前たちとギルドの役立たず連中をまとめて支配すれば、ウターンのギルドは僕の……」
ここまで喋ったロマクは、どうして自分の野望を声高らかに叫んだか分からなくなった。ロマクの話を聞いたワルザーたちはロマクを睨み、手にしている武器を構えた。
「お前、俺たちを始末するつもりなんだな?」
「どういうことか、ちゃんと教えてもらおうか?」
じりじりと歩いて迫るワルザーたちを見て、ロマクは近くにあった剣を手にし、近くにきたワルザーの部下に向かって投げた。剣は回転しながら飛んでいき、刃がワルザーの部下の頭に刺さった。
「あ! お前やりやがったな!」
「う……うるさい!」
「ヘッ、悪人同士が潰し合いかよ。こりゃー愉快だな」
突如、ムラサメの声が聞こえた。リミスは周囲を見回し、暗闇の中で光る猫の目のようなものを見つけた。ロマクもそれに気付き、猫の目を睨んだ。
「ムラサメ……お前の仕業か!」
「そーだよ。テメーは気付かないうちに、俺の<イビルアイ>の催眠で我を失ってたんだよ」
そう言うと、暗闇の中からムラサメが姿を現した。
リミスは今の姿をムラサメに見られたくなかった。ロマクの企みに気付くことができず、捕まって下着姿になってしまい、その上アングの命を奪われてしまったのだ。自身から目を背けるリミスを見て、ムラサメは高くジャンプしてリミスの元に着地した。
「そんな顔をすんなよ。助けにきたってのに」
「私、何もできなかった……アングも……」
「アングのことは知ってるよ。こっちに向かう途中で死体を見つけた。ロマクの野郎がやったんだな」
「うん……」
ムラサメは魔力で風の刃を作り、リミスの手足に付けられている拘束具を破壊した。そして、近くにあったキレイな布をリミスに渡した。
「それだけあれば、体を隠すことができるだろ」
「あ……ありがとう」
「礼はいいよ」
ムラサメはリミスの方を振り返り、笑みを浮かべた。そしてロマクたちの方を振り返り、怒りの表情を見せた。
「ロマク。テメーはいっぺんボコさねーと気が済まねー。覚悟しろよ」
と言って、ムラサメはロマクに接近した。ロマクの腹に向かって右フックを仕掛けようとしたのだが、ロマクは捨てた銃を拾い、ムラサメの額に銃口を合わせた。
「バカ猫が! 僕が銃を使うことを忘れたか⁉」
「バカなのはテメーだ。俺のスキルを忘れたか?」
ムラサメがこう言った直後、ロマクの近くにいたワルザーの部下が、ロマクの両肩を掴んだ。このせいで、一瞬だけロマクは身動きが取れなくなった。
「クソッ! いきなり何をするんだ!」
「隙ありッ!」
隙だらけのロマクに向かって、ムラサメは右フックを放った。拳はロマクの腹にめり込み、攻撃を受けたロマクは痛々しい声を上げた。
「グハッ!」
嗚咽しながらロマクは下がったが、きょとんとするムラサメを見て笑みを浮かべた。
「どうした? 僕がピンピンしているのに驚いたか?」
「その通りだ。クソッ、転生前と同じようにぶん殴ったから、あまりダメージが入らねーか」
と言って、ムラサメは右手を見た。殴った時の衝撃で、右手から少しだけ痛みを感じていた。
「さぁ、今度はこっちの番だ!」
ロマクは再びムラサメの頭に銃口を向けたが、近くにいたワルザーがロマクを襲った。
「クソッ! 今度はお前か!」
「ギルドの連中を始末したいところだが、まず初めに裏切り者を始末する!」
ワルザーが自身を狙いに定めたことを察したロマクは、魔力を開放した。
「雑魚の相手をしている暇はないんだ! くたばれ!」
ロマクは落ちていた小石を拾い、素早くワルザーに向かって投げた。たかが小石でダメージを与えるわけがないだろうと思っていたワルザーだったが、弾丸のような速度で投げられた小石が、ワルザーの額を貫いた。
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