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内通者の正体


 行動中にはぐれたロマクを探すため、リミスは別行動を始めた。


「あの根暗野郎、こんな状況で勝手に行動しないでよね」


 走る中、リミスは独り言をつぶやいた。しばらくすると、前から魔力を感じた。ロマクの魔力ではなく、罠にはまったムラサメではなく、敵の魔力だった。


「面倒!」


 敵が攻撃を仕掛ける前に早く倒そうと考えたリミスは、落ちていた小石を三つ手にし、<フワフワタイム>を使って飛ばした。


「何だ! 石が飛んできたぞ!」


「何だこりゃ!」


「うわっ、こっちにくる!」


 飛ばした直後、敵の悲鳴が聞こえた。敵の元に近付いたリミスが敵を倒したことを確認し、先に向かった。




 アングは大きく息を吐き、周囲を見回していた。


「あの野郎、どこに行ったんだか……」


 額の汗を左手で拭いながら、アングはロマクの名を叫んだ。だが、声がこだまするだけで人影は現れなかった。


「周囲の敵は全員斬ったってことか」


 人が現れないと察したアングは、目の前で倒れている敵に近付いた。だが、敵はすでに息絶えていた。


「チッ、やりすぎた」


 敵の死体を地面に落とした後、アングは再び周囲を見回して次はどこに行こうか考えた。しばらくして、アングは立ち上がって歩き始めた。


 アングが向かった先は、小さな部屋だった。敵がいるかもしれないと考えていたが、部屋の中に人はいなかった。


「誰もいないか……ん?」


 部屋の中を見回すアングが見つけたのは、小さな机の上に置いてあるノートだった。ノートの近くには油が半分ほど入っているランタンと、筆記用具が置いてあった。何かの情報を得られるかもしれないと思ったアングは、ノートを開いた。適当にページをめくっていると、アングは衝撃を受けて驚いた表情になった。


「嘘だろ……じゃあ……」


 その直後、アングは人の気配を感じて後ろを振り向こうとした。だがその前に、銃声が聞こえた。




 数分後、ロマクを見つけることができなかったリミスは、アングと合流しようと考えた。アングと別れた場所に戻っても、アングの姿はなかった。


「アングもどこかに行ったの?」


 面倒そうに呟いたが、ロマクを探すために動くだろうと考え、仕方ないと思った。その時、足音が聞こえた。


「誰?」


「僕だよ」


 その声を聞いたリミスは、安堵した表情になった。行方不明になっていたロマクが姿を現したからだ。


「ロマク。どこに行ってたのよ。心配したんだから」


「ごめん。道に迷ってたんだ」


「一緒に行動すればよかったのに。さて、今度はアングを探しに行くわよ。ちゃんとついてきて」


「大丈夫だよ。もう、その必要はないから」


 この言葉を聞いたリミスは、どういう意味だとロマクに問おうとした。だがその前に、激しい電撃音が響き、それと同時にリミスは意識を失った。




「ゲェッヘッヘッ! 本当にこいつ、十五の小娘かよ!」


 下種な男の声を聞き、リミスは目を覚ました。目を開けた直後、リミスは自身の状況をすぐに理解した。両手足の自由を鎖で奪われ、口は布できつく縛られて開くことも声を出すこともできず、服も下着姿だけになっていた。そして、周囲には鼻の下を伸ばしている男たちの姿があった。


「やぁ、目を覚ましたかい? リミス」


 部屋の後ろにいたロマクが、座っていた椅子から立ち上がった。男たちは歩くロマクに道を譲るため、動いた。一体どういうことだと言おうとしたリミスだったが、声は出なかった。


「どういうことだと言いたそうだね。答えよう。僕が内通者だ」


 ロマクの裏切りを知り、リミスは目を開けて驚いた。リミスの表情を見て、ロマクは小さく笑った。


「どうしてこんなことをって言いたそうな表情だね。一つだけ教えてあげるよ。僕は君が欲しい。君の力が欲しい」


 リミスは机の上にヒアラが置いてあることを知り、ロマクの方を見た。ロマクはリミスに落ち着くようにと手でサインし、話を続けた。


「君が持つ聖剣の力は素晴らしい。僕が一緒なら、この素晴らしい力を活用することができる。君も今のギルドの地位に不満だろ? 僕と一緒に行動すれば、地位は向上するはずさ」


 ロマクのバカバカしい理由を聞き、リミスは勢いを付けて首を振るった。すると、口の動きを封じていた布が下に落ちた。


「何言ってんの? あんたバカじゃない⁉ 私は何も不満を持っちゃいないわ! 不満を持ってんのはあんただけでしょうが‼」


「いずれ、不満を持つ。手を組むなら今のうちだ。さぁ、返事を聞かせてくれよ」


「私がどんな返事をするか理解しているはずよ。けどその前に教えなさい、どうしてこんな奴らと手を組んだのよ⁉」


「俺たちのことを、こんな奴らって言うのは酷いなぁ」


 と言って、男はリミスの右の胸を強く揉んだ。リミスは痛そうに声を上げ、その声を聞いた男たちは歓喜の声を上げた。


「ヒャハハハハハ! 聖剣だか何だか知らんが、すごい力を持った小娘も、乳首を握られたらいい声を上げるんか!」


 男の声を聞いたロマクは、男に向かって銃を撃った。銃声が響いた直後、騒いでいた男たちは黙った。


「彼女は僕のモノになるかもしれないんだ。勝手に触るのは止めろ」


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