ムラサメの無双劇
罠によって孤立してしまったムラサメ。無数の敵がムラサメを取り囲み、勝利を確信したかのように笑みを浮かべた。だが、ムラサメも笑みを浮かべていた。
「何だ? これから酷いことをされるって知って、頭がおかしくなったのか? 俺たちを倒すって言ってたくせによォ」
敵の一人がこう言ったが、いきなり前にいた仲間が自身の方に振り返り、こん棒で自身の頭を殴ったのだ。
「ガアッ! な……何するんだ⁉」
殴られた敵は仲間を殴ろうとしたが、仲間は拳をかわし、再びこん棒で攻撃を仕掛けた。攻撃を受けつつ、敵は周囲を見回した。
「おいおい……どうなってんだ?」
周りにいた仲間たちを見て、敵は動揺した。仲間たちは同士討ちを始めたからだ。その時、別の仲間が敵の近くに倒れた。
「おい、こりゃーどうなっているんだ!」
「俺も知らねーよ! いきなり仲間に殴られたんだ!」
話を始めた直後、ムラサメがその敵に向かって飛び蹴りを放った。
ムラサメは敵の顔面の上に立ち、同士討ちを始めた敵を見て声を上げた。
「相変わらず<イビルアイ>の力はすげーなー」
戦いが始まった直後、ムラサメは<イビルアイ>の催眠能力を使い、近くにいた敵を操って同士討ちを行わせたのだ。そのおかげで、敵は大混乱した。だが、催眠にかからなかった敵がムラサメの背後から襲い掛かった。
「そこにいんだろ? バレバレだっつーの」
と言って、ムラサメは高く飛び上がった。飛び上がったと同時に敵は攻撃をしたため、その攻撃は空振りになってしまった。
「なっ! どうして俺の居場所が分かったんだ⁉」
「俺は猫の獣人だ。他の人より耳がいい。そんでもって……」
宙にいるムラサメは魔力で小さな風の刃を作り、天井にある小さなランタンに向かって風の刃を放った。風の刃はランタンを破壊したことにより、周囲は暗くなった。
「クソッ! あの猫女、ランタンを壊しやがった!」
「何も見えない!」
「どうなっているか、誰か教えてくれ!」
暗闇の中で、敵の悲鳴が響いた。ムラサメはこの声を聞き、敵は自分の位置を把握していない、把握できないことを察した。
ムラサメは猫の獣人である。<イビルアイ>の探知能力を使わずとも、暗闇の中でも猫の目のおかげで周囲を確認できるのだ。
さーてと、攻撃を始めますかねっと。
そう思い、ムラサメは猫のように音を立てずに走り出し、攻撃を始めた。
「ぎゃあっ!」
「ぐわっ!」
「痛い!」
「ひでぶ!」
敵は周囲から聞こえる仲間の悲鳴を聞き、動揺し始めた。何も見えない暗闇の中で、ムラサメは確実に自分たちの位置を把握し、確実に攻撃を行っているのを察したからだ。
クソッ! あの猫女はこうなることを予測したんだ! 同士討ちも、あいつのせい! チクショウ! 俺たちはとんでもない奴を罠に引っかけてしまった!
ムラサメの力を今になって把握した敵は、深く後悔した。その時、後ろから声がした。仲間だと思った敵は後ろを振り返ったが、その時にバランスを崩して転倒した。
「あでで……」
転倒した際に尻を強く打ったため、敵は尻をさすって立ち上がろうとした。その時、固い物体が地面にぶつかる音がした。この音を聞き、敵は察した。まだ仲間の一部がムラサメによって操られていると。
「く……クソッたれ!」
この状況から逃げようと敵は考えた。暗くて何も分からず、その上味方の一部もまだ操られている。いつ、どのタイミングで倒されてもおかしくないこの状況のせいで、敵は逃げることしか選択できなくなっていた。しばらくして、敵の目は暗闇に慣れた。うっすらだが、周りの状況を把握できるようになった。
よし! これなら何とか動ける!
うっすらと確認できることを知り、敵は少しだけ希望を持った。だが、目の前にムラサメが現れた。
「逃がさねーぜ」
ムラサメはそう言って、敵に向かって左ストレートを放った。
数分後、ムラサメは部屋の隅にあった予備のカンテラに火を付け、周囲を照らした。
「とりあえずは、全員ぶっ倒したみたいだな」
地面の上に倒れている敵の群れを見て、ムラサメはこう言った。その時、一人だけ立ち上がろうとする敵がいた。ムラサメは急いでその敵に近付き、声をかけた。
「痛そうだな、肩を貸してやろうか?」
ムラサメの声を聞いた敵は、悲鳴を上げて逃げようとした。しかし、ムラサメは敵の左肩を掴み、逃げないようにした。
「遠慮すんなって、美少女の肩を借りられるんだ。ちったー光栄に思えよ」
「ち……近寄るな!」
脅えた敵は、ムラサメに向かって両腕を振るったが、ムラサメは敵の両腕を掴んで動きを封じ、<イビルアイ>を発動した。
「ほんじゃま、閉め切ったこんな場所からどうやって出るか教えてくれ。それと、今のアジトの状況を知っていたら教えてくれ」
ムラサメは催眠能力を発動しながらこう聞いた。ムラサメの目を見た敵は動きを止め、少し間を置いて口を開いた。
「了解しました。今からこの部屋の出口を教えます。そして、今の状況のことを知っているので、お話しします」
この言葉を聞いたムラサメは、笑みを浮かべた。
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