新たな冒険へ
前回、隣国の勇者たちを国まで送り届け、
俺達は逃げるようにトレアスに帰還した。
そして現在、王城の客室で、謁見までしばらく待機していた。
(このお茶菓子、砂糖入ってる、)
この世界、砂糖が貴重なので、貴族くらいしか手に入れられない、
よって、久しぶりの甘味に舌鼓を打っていたところ、
「あ、」
マイは自分の分を食べきってしまったようで、
しょんぼりしていた。
それを見た玄武が、
「ほれ、儂は甘味は好かん。」
「本当!?」
と、こっそり自分の分をあげていた。
(ひ孫にやたら甘いひいおじいちゃんかな?)
しばらくし、ドアがノックされる
「失礼します。」
メイドさんがドアを開け、
「謁見の準備が整いましたので、コチラへ。」
無表情にそう告げてきたメイドについていく。
相変わらず大きな扉の前に立つ、
メイドが軽くギィっと引き開いた大きな扉を通る。
俺達が全員通ったのを確認した4人の騎士達が
ギギギギギ、、、と一斉に扉を押し、ドン、、と鈍い音を立て閉まる。
前方にいる国王陛下と第一王女の前で、膝をつき、頭を下げた。
「面を上げよ」
顔を上げると、国王陛下は薄く笑みを浮かべた
「鉱山のドラゴンの討伐、ご苦労だった。」
「そのことで、報告がございます。」
エナが、深刻そうに話を切り出した。
「鉱山のアースドラゴンが、ミスリルを喰ったことで、
ミスリルドラゴンに変異しておりました。」
国王陛下と第一王女がそれを聞き、驚愕に顔を染めた
「なんと、、」
「お父様、今すぐ討伐隊を、、」
その言葉を遮るように、俺は言葉を発した。
「そのことですが、、その、、倒しました。」
「そうかそうか!倒したか!」
・・・・
「倒した?」
「はい、撃破しました。」
国王陛下と第一王女が目を点にした。
「、、倒したんですか?ミスリルドラゴンを?」
「えぇ、、はい。」
「S級の魔物をですか?」
「はい。」
国王は、その報告を聞き、驚いたように言った。
「アースドラゴンの討伐を依頼したつもりだったが、
ミスリルドラゴンを討伐してくるとは、、よくやった。
報酬を与えねばな。何が欲しい?」
国王陛下は頭を傾け、微笑を浮かべた。
俺達はそれぞれが少し考えた後、全員が思い思いに回答した。
エナ「私は、要望は特にございません。」
ミナ「えっとぉ、、そう言われても、特に無いかなぁ、、あ、ないです!」
ガイア「俺も、特には無いです。」
マイ「甘いものが良い!」
南雲「儂も特に無い。」
ラース「ワイも特に無いねぇ。」
ウロボロス「儂は何も無い。」
ルナ「私も特に無いですわ。」
玄武「儂も特には無いのぉ。」
「僕も特に無いです。」
国王陛下は苦笑いし、
「欲がないな、では、全員の冒険者ランクをAにしよう。
そして、働きに見合う報奨金も与えよう。」
報奨金かぁ、いや、待てよ。
「報奨金はいらないので、ミスリルを少量融通してください。」
国王陛下は少し意外そうに言う
「分かった。報奨金の金額分、ミスリルを融通しよう。」
(“金額分”って、ちゃっかりしてるなぁ。もうちょっと欲しいのになぁ。)
そんなことを考えた瞬間
南雲「やはり儂もミスリルを少量融通してくれんかのぉ。」
南雲が唐突にそう言った
「あ、あぁ、分かった。」
ラース「ワイもミスリルを少量融通してくれないだろうか。」
「お、おう、分かっt」
ウロボロス「儂もミスリルを少量くれんか?」
ルナ「私もお願いしますわ。」
玄武「儂もミスリルをくれんか?」
「、、、」
「お父様、一本取られましたね。」
国王陛下はにやりと笑った
「お主ら、中々やるな、話がある、聞いては貰えんか?」
国王陛下のその言葉に、俺らは困惑しつつも話を聞くことにした。
〜〜〜
「実はな、最近、魔王の力が増大しつつあり、
各国の勇者の育成が間に合っていないのだ、」
(確かに、前回喧嘩を売ってきた勇者も、強いは強いが、決定打に欠けていた。
俺等もあんまり人のこと言えないけどなぁ。)
「そこで相談だが、、お主ら、魔王を狩って来てくれないか?」
「はい?」
国王の突拍子もない言葉に俺達は困惑した、
国王は構わず話を続けた
「期限はない、受けなくてもいい、でも、魔王は最強の存在だ。
最強に挑みたくなったら、行って倒してくれないか?」
(いやいや、リスクがデカすぎる、だれもこんなの受けるわけが、、)
『お受けしましょう!』
(なんでぇ!!!???)
突然、式神たちが声を揃えて言った。
「主よ、よく考えてもみよ、最強に挑む、楽しそうではないか!」
と、南雲が楽しそうに言った
「良いですわね、全力で戦って、魔王をボッコボコに打ちのめすのも楽しそうですわ♪」
ルナまでそういった。
「お前らなぁ、、」
そう言いかけた俺、でも、考えてみた。
魔王を倒しに、仲間を引き連れ、世界を救いに行く、
それはとても、、とても楽しそうだった。
「確かに、良いかもなぁ。」
ガイアがそういった。
「私も!世界を見て回ってみたい!」
ミナまで賛成のようだった。
エナも、マイも、ウロボロスも、ラースも、皆、冒険に、夢をはせていた。
、、こうなったら、、答えなんて決まったじゃないか。
「受けましょう!、魔王の首、取ってきてやりますよ!!」
国王も嬉しそうに言った
「そうか、受けてくれるか!では、頼んだぞ!」
俺達は、その言葉を背に、部屋を立ち去った。
しかし、玄武は一瞬振り返り、
ジッと誰かを見つめ、
「気の所為かの、」
とつぶやき立ち去ったが、誰もそれには気がつかなかった。
〜〜〜〜
俺達は家に帰り、俺は割と早めに家を出る準備を済ませてしまった。
日は沈み、明日旅たつ予定だ。
落ち着かないので、リビングに降りる。
「あれ、まだ起きてたのか?」
なんと、リビングには、全員揃っていた。
「いや、楽しみで眠れんくてな。」
そう言い笑うウロボロス
「よい月夜ですわね。満月は魔力が高まる夜、気分も上がるものですわ。」
ルナもそう言い微笑を浮かべる。
「楽しみですな、しっかし、寒い、少々火でも起こそうかねぇ、、」
ラースは手を振って、数瞬戸惑い、なにかに気づいたようにあぁ、、と肩を落とした。
「そう言えばラースは未だに鳥の顔だよねぇ、人の姿になれないのか?」
と聞いてみた。
「あぁ、昔からちょっと苦手でs、、だったんや。」
何故か言葉に詰まったように話すラース。
違和感を持ちつつ、ソファーに座った。
ふと、前方に薄い亀裂が見え、隙間から黒い生地が見えた気がしたので。
なんとなく引っ張ってみる。
その瞬間、
パキッと音を立て、黒い何かが落下してくる
「ぬお!?」
どかっと机の上に着地した黒い外套の男。
その場の全員が厳戒態勢をとる。
すると男は両手を軽くあげ、
「待て待て!俺だ、俺!」
そう言い外套のフードを開ける。
「あ、お前!」
いつぞやの調律者とやらが、そこに立っていた。
「いやぁ、君に言いたいことあったから来たんだけど、、また増えたねぇ。」
そう言い周りを見渡す、
そう言えばルナと玄武はまだ会ったことが無かったか。
「はじめまして、お嬢さん、名乗るつもりはございませんのであしからず」
「シバキますわよ?」
そう言い軽く握手する男、
「あ、どうもよろしく。」
「はぁ、?」
そう言い戸惑う玄武とも握手した。
そういや、この前会ったときも南雲と握手してたな。
男はその場の全員と軽い握手をしていった。
男はラースと握手したとき、少しおもしろそうに笑う。
戸惑う一同を置き去りに男が木の枝を投げる
「にゃに!?」
咄嗟にその木の棒に飛びかかってしまう俺。
ゴロゴロゴロゴロ、、と喉がなる。
「にゃふふふふふふ、、」
人の形も保てず、木の枝をガジガジする俺。
その姿を見た男が面白そうに言う
「はっはっはっは!やっぱ猫にマタタビってやつだな!」
「ハッ!!?」
その言葉に正気を取り戻す俺。
こ、この木の枝、、マタタビの小枝!?
「なんてもん投げてくれとんじゃ!?」
顔を赤く染める俺をみた皆は男に近づくとこういった
「その枝一本いくらですか?」
「30リルになります♪」
『買った!』
「買うなぁぁぁぁぁ!!?」
「あ、そうそう」
男が思い出したように言う
「その石、手放さないようにね。」
「はぁ?」
次の瞬間、男がコチラを見るとウィンクをしてとんでもないことを言った
「私最近結婚したんだよ。それ伝えたかっただけ、じゃ、バイバイ♪」
「え、は!?え!!?」
そういい男は嵐のように立ち去り、
俺は戸惑いつつも自室へと戻っていった。
全く、なんて夜だ、畜生。




