救える者と救えない者
「お父さん!お母さん!」
まずい、、父親らしき人はもはや助けられない、出血がひどすぎる、、母親ももう虫の息だ、どうすれば、
「大丈夫か!」
(あれは騎士団ってやつか、随分遅かったな、、)
俺はそそくさと物陰に隠れる。
騎士団と女の子が何やら話しているが、まあいいだろう、俺はしばらく姿を隠すことにする。
(〘隠形〙)
姿を隠す妖術、ただし触れられると流石にバレる。
(さて、どうすっかな〜)
ただのおっさんサラリーマンには、
ちょっと難しいものである。
〜その夜〜
「お父さん、、」
父親が亡くなったと言う事実は、
まだ10歳の子供には重すぎた。だが、、
(眠れない、、)
夜空を見上げ、少女は願う、
(強くなって、お母さんを守りたい。)
そう、小さくこぼした時だった。
目の前に黒猫がいた。
少し赤みがかっている手足、
だが決定的に違うことがあった。
「シッポがふたつ?」
いくら少女が勉強出来ていなくても
猫の尻尾が1本だけなのは流石に知っていた。
〜〜
(どうするかな、、)
おっさんは悩んでた。先ほどの少女が気になって仕方がない。そこで、夜だが会いに行くことにした。
いや、決してやましい気持ちなど無い!(重要)
覚醒イベントありがちなあれだ、
『力が、欲しいか?』をやりたいだけだ。
そして俺は窓に登って覗き込む
そこには少女がいた。
(あっれぇぇぇ???バレた?
気配は消していたはず、、)
「猫?」
(えっと、こういう時はなんて声をかければ、、)
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」
「喋った!?」
(やべぇぇぇ!緊張しすぎてどっかの夏目漱石の
小説みたいになってしまったぁぁぁ!)
「えっと、どうしたの?」
「ええっと、大丈夫かな〜、と。」
「大丈夫じゃないよ、お父さんは死んじゃった。」
「そっか、、」
「えっと、名前は、マダナイって言うの?」
「いや、そうじゃなくて名前が、無い、」
「じゃあ付けていい?」
「いいけど、、」
「じゃあクロで!」
(いやまんまクロかい。)
「じゃあ、俺はお前の従魔ってことでいいのか?」
「うん、よろしく!」
「よろしく。」
これは、今はただの猫又と少女の物語、
彼らがいつか世界を救うことになるのは、
まだ先のお話、、なのか?