幽霊屋敷
馬車に揺られること数時間
俺達は隣町のトレアスについた。
そして、いざ、買った屋敷を見てみると、
『うわぁ、、』
質素だが大きい屋敷、だが所々に蜘蛛の巣が張り、
荒れた庭は草が伸び放題だった。
全体的に暗い雰囲気の屋敷は、
「幽霊が出ますよ」
とでも言うかのごとく佇んでいた。
「大きい屋敷だね〜、掃除大変そう。」
明るく言うミナは意外に平気らしい。
「だな、張り切んねぇと、、」
ガイアもやる気があるらしい。
「、、、」
「な、なぁ、何か出そうじゃないか?」
エナは、、こう言うのがダメらしい。
「まぁ、確実に出るわな。だって、
訳あり物件だもの。」
「え?」
訳あり物件
現代科学で証明されていないにも関わらず、
信じている人が多く、日本にも数多く存在する
訳あり物件、通称、【事故物件】というやつだ。
「この屋敷が950万リルで買えたのは、
この屋敷にレイスやらゴーストが住み着いて
売るに売れないから、その悪霊の退治、
及び清掃することを条件に格安で売りますよ、
と言うのが訳あり物件の安い理由だ。
要するに、除霊と掃除というクエストの報酬で、
この屋敷の割引きを行う訳だ。」
俺はそう解説した。
最も、偶然知っていただけだが、、
しかし、とエナが口を挟む
「それならプリーストを雇って、除霊して
清掃を雇って通常の値段で売ったほうが
安くはないか?」
俺はそれに答える
「その疑問は最もだ。そうだな、通常のゴースト
なら、その方が格安だな。」
「つ、通常の?」
エナが恐る恐る聞く
「この屋敷、レイスどころかファントム、果てには
レッサーデーモンまで住み着いていて、
並のプリーストじゃ手が出せないんだと。
それこそ、アークプリーストなら話は別だろうが、」
俺はそう答えた。
エナが閃いたように言う
「ゆ、勇者パーティーにアークプリースト、
聖女様が居られただろ、
その人に任せれば良かったんじゃ、、」
「それは無理だな、」
俺はそれをバッサリ切り捨てた。
「お前、巫女と聖女が違うのを忘れてるのか?」
「あ、、、」
そう、この世界は巫女と聖女がいる。
聖女は勇者パーティーに付けられる腕の立つ
プリーストだ。
一方巫女は神からの神託を伝えたり、
力の行使を一部許される存在だ。
そして、聖女と巫女の決定的な違い、それは、
聖女は癒しの術、治癒や解毒等が得意だが、
巫女は浄化の術、退魔や除霊等が得意である。
何故巫女が勇者パーティーに付けられないか、
1つ目は
神のお告げを伝えたりする巫女は、
街から離れることが難しいこと、
2つ目は
勇者の聖剣を使えばゴーストやデーモンは
浄化出来てしまうからだ。
しかし、勇者が聖剣で浄化の一閃を使えば、、
「屋敷ごと真っ二つ、、、ってわけだな。」
そう、だったら一から別の場所に立て直す方が安い。
真っ二つの屋敷など、誰が買うか、、、
「で、放置されたのがこれだ。」
するとガイアが大慌てで言う
「ちょっと待ってくれ大将!俺は支援魔法や治癒魔法は出来るが、浄化や退魔は苦手なんだ!
俺には出来ねぇよ!」
しかし、俺はそれを制する。
「そう、ガイアは浄化が苦手、ではなぜこのクエストを受けたか、、それは、」
「、、あ!」
ミナは気付いたらしい。
「あぁ、なる程、、そう言う、、」
エナも気付いたらしい。
「、、あぁ!」
残りも気付いた、
その時、全員の視線が一点に集まる
「、、、?どうされましたかな?」
ギルドで唯一浄化や退魔魔法が扱えることが
分かった、土蜘蛛に、、
俺はにやりと笑いこう言う
「作戦がある、聞いてくれ。」
〜〜〜〜
「pzsrtsplptpdoyrusti!!!」
えげつない叫びを上げながらくるレッサーデーモン
「土蜘蛛!退魔魔法小!!」
「〘退魔陣〙!」
するとレッサーデーモンの足元に、
白い六芒星が出現し、青白い光の柱が立ち昇る。
「uitidsmso!xryysomolptpdi!」
そしてレッサーデーモンは灰と化し浄化された。
「悪魔語か?何を言っているんだ?」
ちなみに俺と式神は翻訳スキルで分かっている。
要約すると、
「〔お前らを殺す、許さない、絶対に殺してやる、〕
って言ってるな。」
「恐ろしいこと言ってんな、、」
すると向こうから鎌鼬が走ってくる。
「おっきいお化けが1体と普通のお化けが、、
えっと、、たくさん!」
見るとファントム1体、レイスが7体来ていた
(いい加減5以上の事をたくさんと言うのを
直してやらんとな、、)
可愛いからいいか。
鎌鼬が横を通り過ぎたのを見て俺は土蜘蛛に
指示する。
「土蜘蛛!除霊魔法中!」
「〘霊祓浄波〙!」
土蜘蛛の持つ錫杖の先に
淡い魔法陣が浮かぶ、その時、
前方を照らす光が大きく通る。
レイスはスゥっと消え去り、ファントムは
少しもがいた後ジュワっと消え去った。
「む?除霊魔法が浄霊魔法に進化、霊祓魔法が派生?退魔魔法が退魔術に進化?何を言っとるんだ?」
土蜘蛛が不思議そうにする。
「土蜘蛛!それどころじゃないぞ!ファントム3!
もう一発同じのを頼む!」
俺は慌てて指示を出す。
そう、これが作戦だ。
まず、屋敷の一番隅、使われていない行き止まりの
細長い廊下でスタンバイ、
土蜘蛛に幽霊や悪魔を近づけない領域、
〘聖域〙を張ってもらった。
そこでエナ、俺、土蜘蛛、ガイアが待機
ガイアに支援を掛けてもらったミナと、
素の持久ステータスがアホみたいに高い
鎌鼬と鴉天狗が1人休憩、1人戻ったら入れ替わり、
レイス、ファントム、レッサーデーモンetc..
を引き連れ、エナが〘囮〙と〘守護者〙
を発動、敵をこちらに引き寄せ、
俺が指示を出し土蜘蛛がそれに対応した魔法を展開
以下その繰り返しである。
「鎌鼬、大丈夫か?」
俺が聞くと、鎌鼬は
「平気だよ!楽しいね!」
凄い明るい笑顔で答えた。
、、、楽しいならよかった。
守りたいこの笑顔
「主殿〜!不味い奴が来ておる!」
鴉天狗が慌てて戻って来る。
「レッサーデーモンか!?」
鴉天狗は否定する
「グレーターデーモンである!
恐らくレッサーが進化した奴だと思いまする!」
『グレーター!?』
それはやばい、というか不味い!
どれくらいやばいかというと
レッサーは悪魔のなり損ないだが
グレーターはちゃんとした下級悪魔、
魔法に耐性が付き始めている!
俺は土蜘蛛に指示を出す
「土蜘蛛!遠慮は要らん!破魔魔法中だ!」
「分かりました、では参ります。」
「グガァァァァァ!!!」
「来てる来てるよ!」
「くっ、、」
シャン、、
「中級破魔魔法、〘裁きの聖鎌〙」
土蜘蛛の持つ錫杖に光が纏い、鎌の様な刃が付く、
その鎌を振り抜いた瞬間、
光の刃が廊下を薙ぎ払い、グレーターデーモンは
真っ二つになり、
後ろにいたレイスやファントムごと消滅した。
途端、屋敷の重苦しい雰囲気が無くなり、
詰まった空気が戻る。
『、、、』
もう、土蜘蛛1人で魔王討伐出来るやろ、これ、、
ドタッ
『土蜘蛛!?』
「鴉天狗!鑑定共有!」
「分かった!」
鑑定
HP 52400/64700
MP 0/86500
SP 5734/67000
名前 ナグモ
状態 過労 魔力欠乏
種族 土蜘蛛
年齢 1450
職業 式神
称号 旅人 浄化せし者 人喰い蜘蛛 殺戮者
恐怖の象徴 悪魔殺し
スキル 浄化魔法 退魔術 破魔魔法 浄霊魔法
霊祓魔法 光魔法 水魔法 土魔術
読心術 杖術 直感 信仰
魔力自動回復 体力自動回復
繰糸 探知 巣張り 獣化 人化
加護 魔法神の加護
「過労と魔力欠乏、無理し過ぎだ!」
「ははは、すみませぬ、」
〜〜〜〜
「よし、掃除終了、と」
あのあとは大変だった、一端土蜘蛛を宿に運び、
ギルドに報告した、
ギルドも、レッサーデーモンではなく、
グレーターデーモンが出たのは想定外だった様で、
謝罪と特別報酬が出た。
「土蜘蛛、大丈夫か、、?」
「大丈夫です、心配かけました。」
「???」
見間違えだろうか、
ちょっと前までヨボヨボのお爺さんだったのに、
今は少しシャキッとしたお爺さんになっていた。
上手く言えないが、80歳から65歳位になった。
というか、改めて見ると、シワはあるものの、
目鼻立ちがはっきりしており、結構イケオジだった。
鴉天狗もイケメンだったし、鎌鼬も美少女だった。
それに比べ俺は、、なんだろう、、
イケメンどころか、人型になれる訳でもない。
ステータスも式神の方が高い、、
俺、、弱くね?
魔法使えないの、、俺だけじゃないか?
「元気そうでよかった、、うん、、じゃあ、
部屋戻るわ、」
「主殿、そう悩まなくとも、貴方は相当、お強いですよ、」
、、コイツ、、読心術あったわ。
〜〜〜
その夜、
皆が寝静まる中、
俺は、月夜を見ていた。
「まだ起きていたか、鴉天狗、」
いつの間にか後ろにいた鴉天狗に、俺は話しかける。
「主殿、悩みでもあるのですか?」
鴉天狗が返答する。
「いや、お前らに比べて、俺は人型にもなれず、
魔法も満足に扱えない、俺の存在理由が、
分からないんだ。」
鴉天狗は、困った様に言う
「そんな事はありません、鎌鼬殿も、土蜘蛛殿も、
私自身も、貴方が居るから戦えるのです。」
「、、、」
空を見上げ、ため息をつく、
俺は、一体、どうすれば、、
突然、空気が揺らぐ、
ふと、右横を見た、
黒い男、鴉天狗か?俺の横、窓の縁に腰掛けていた。
「慰めは要らないよ、鴉天狗、」
すると、後ろから聞き慣れた声が聴こえる。
「何者だ!貴様!」
鴉天狗?
振り返ると、弓を構えた鴉天狗がいた。
、、、では、俺の横にいるのは?
「お悩みのようだな、
私で良ければ相談に乗ってもいい。」
あの時、厄災の黒き龍を、一撃で葬った男だった。
バン!
俺の部屋のドアが急に開く。
「何者だ!」
土蜘蛛と、鎌鼬、ガイア、エナ、ミナ、全員いた。
「ん?早いな。」
全員がそれぞれ武器を持っていた。
「あ、あの時の男か!?」
「嫌な気配がする、斬る!」
鎌鼬が閃光の様に男に迫るが、
「!?」
「鎌鼬の斬撃を、止めた!?」
鎌鼬の鎌の様に鋭くなった手を、
左手の人差し指と中指で、
箸のようにつまみ、止めてみせた。
「遅い、もっと速くなれ。」
鎌鼬が下がる。
「鴉天狗、鑑定!共有頼む!」
「分かりました!」
鑑定
・・・妨害されました
俺は驚愕した
「妨害!?そんな事一度も、、」
すると男は笑いながら言った。
「何覗いてんだよ、恥ずかしいだろ?
仕方ない、ちょっとだけな?」
鑑定
「なんだよ、、これ、、」
HP 9.9e99.../9.9e99... 測定限界を超えています
MP 9.9e99.../9.9e99... 測定限界を超えています
SP 9.9e99.../9.9e99... 測定限界を超えています
名前 レイ(深山 黎)
状態 過労死寸前 睡眠不足
種族 古代幻視体
年齢 18兆5263億4176万2243
職業 調律者
称号 最強の調律者 神の代理執行人 龍殺し
竜殺し 喰らう者 異世界からの来訪者
神殺し 強欲 絶望を齎す者 殺戮者
死神 神の理に背く者 生ける厄災 ,,,↓
スキル 火炎魔術 水流魔術 大地魔術 嵐風魔術
神聖魔術 深淵魔術 光魔術 闇魔術
黒魔術 雷撃魔術 空間魔術 星魔術
模倣 魂喰い 未来視 世界干渉
死の宣告 鑑定 影渡り 第六感
呪いの言霊 体力干渉 魔力干渉 ,,,↓
加護 不老の加護 黒星古龍の加護 死神の加護
,,,↓
「勝てない、、」
そうこぼしたのは誰か、はたまた全員か、
全身が萎縮し、硬直する、恐怖で震えが止まらない
この,,,↓が示す事は、続きを閲覧する。
まだ、あるということだ。
HPやMPにつく9.9e99...は、9.9×10の999...乗
鑑定でも表示し切れない膨大な数値
スキル欄にこれ見よがしにある死の宣告は、
首無し騎士のスキル、
死期を設定される呪いだ。
つまり、
【殺そうと思えばいつでも殺せる】
と言われるに等しい事だった。




