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人間なんかを飼うなんて

作者: 下菊みこと

「魔王陛下!人間なんかを飼うなんてどうしてしまったのですか!」


「貴様、私の決定に歯向かうというのか?」


「い、いえ、ですが矮小な人間など、御身の側に相応しくありません!」


「私は元より吸血鬼。人の血が無ければ生きていけない存在だ。そんな私の最高級の食事を矮小なモノだと?」


「あ…ペット兼食事でしたか…!ご無礼をお許しください!」


失礼な奴だ。


だが私を思っての発言だとは知っている。


特別に許そう。


「良い。以後は気をつけるように」


「はい!周りのものにもしかと説明しておきます」


「頼んだぞ」


そして私は、自室に戻る。


ベッドを見れば、ポテチを貪りながらマンガなる書物を読み漁る人間が一人。


「立花ちゃーん!今日も一人でお留守番できて偉いねー!」


「魔王ちゃんこそ魔王業お疲れー」


「うんうん、私の気持ちをわかってくれる立花ちゃんだーいすき!可愛い!」


「私も魔王ちゃん大好きだよ!」


私ペット兼の食事兼内縁の妻であるこの子は立花ちゃん。


ある日気まぐれに人間界へ出かけていたところ、実の親に夜の店に売られる立花ちゃんを発見して保護という体で拾ったのが出会い。


立花ちゃんの親にはそれ相応のお金も渡したし、夜の店の連中にもそれ相応の迷惑料を払ったのでWin-Win-win-win。


私も立花ちゃんも、立花ちゃんの親も夜の店の連中も誰も損していない。


立花ちゃんは何故か出会った瞬間から、甘ーい食欲をそそる血の匂いがしていた。


極上の食事、ペットとしての見目も十分、夜は抱き枕(健全)としての抱き心地も十分、おまけに激務で疲れる私を気遣っていつも優しい言葉をくれるから女の子としても好きになっちゃって、プロポーズしたら内縁の妻にもなってくれた!


さすがに魔王軍の奴らには妻にしたことは秘密だけど、いずれは立花ちゃんとの子供ができたら私の後継にするつもりでいる。


その時には魔王の後継者を産んだ女性ということで、立花ちゃんを正式な妻に迎えるんだ!


どうしても順序は逆転してしまうけれど、立花ちゃんのことは守り抜いて見せるし幸せにすると決めたから。


今はそれに向かって前に進むのみ!


魔王国内での人間への差別意識を改革するための法案とかも整備してるし、時間はかかるけどまあ大丈夫でしょう。


立花ちゃんの寿命の問題は既に、立花ちゃんを私の眷属にすることで解消済みだしね!


「ところで魔王ちゃん、最近また激務続きでお疲れでしょう」


「うん、そうなんだよねー」


「魔王ちゃんは偉いよ、本当に」


「立花ちゃん大好きー!」


「魔王ちゃんは本当に頑張ってるから、ご褒美にいっぱいマッサージしてあげるね」


「立花ちゃんありがとう!」


立花ちゃんのマッサージは、とろけるように気持ちいい。


立花ちゃんの手でもみほぐされると、いつもいつのまにか熟睡してしまう。


「んん…立花ちゃん…」


「魔王ちゃん、ゆっくり休んでね。ずっとそばにいてあげるから」


「立花ちゃん大好き…」


「私も…愛してくれる魔王ちゃんが、本当に大好きだよ」


今日も立花ちゃんの手で、とろけるように眠りについた。














「おはよう、魔王ちゃん」


「おはよう、立花ちゃん」


朝、いつも通り目が覚める。


「立花ちゃん、血をもらっていい?」


「どうぞどうぞ」


立花ちゃんの首筋に牙を立てて、血を吸うのが朝の日課。


立花ちゃんの血を吸うと、朝から元気が出る。


眷属にしたとはいえ、吸いすぎると立花ちゃんが体調を崩してしまうので適正量は心掛けているけれど。


「美味しかったー!ありがとう、立花ちゃん」


「こちらこそありがとう。魔王ちゃんに血を吸われると、なんだか多幸感が得られるんだよね」


「吸血鬼の唾液の効果だね。気持ちいいならよかった」


その後、立花ちゃんの食事。


立花ちゃんは眷属になったとはいえ食生活は変わらない。


ただ立花ちゃんには健康に良くて美味しいものを食べてほしくて、いつも三つ星レストラン級のものを私が毒見した後食べさせているけれど。


「いつも魔王ちゃんの出してくれるご飯は美味しいね!」


「えへへ、それなら良かった!立花ちゃんが喜ぶのが私の幸せだからね」


「もう、魔王ちゃんたら…ぅっ」


「え、立花ちゃん!?」


「おぇっ…」


「立花ちゃん、しっかり!」


おかしい、毒見はしたはず。


体調不良?


そんなに血は吸い過ぎてないはず…でも。


「魔王ちゃん…」


「立花ちゃん、大丈夫、大丈夫だよ」


「うん、大丈夫。本当に大丈夫だから妊娠検査薬くれない?」


「え」


「もしかしたら…つわりかも」


「!!!」


私は即座に人間用の妊娠検査薬を手に入れ、立花ちゃんに渡す。


結果は陽性。


立花ちゃんのお腹には、私の子がいた。


一応慣例で、私の子ができたら本当に私の子か確認するのに魔術で調べなければならない。


が、もちろん私の子だった。


「立花ちゃん、大好きー!元気な子を産んでね!」


「うん、もちろんだよ!魔王ちゃんとの子だもん!」


「子供が生まれたら正式に結婚しようね」


「うん、楽しみだね!」


「ねー!」


そして今まで以上に立花ちゃんを大事に扱い立花ちゃんは無事魔王の素質抜群の元気な男の子を出産。


後継にも恵まれて、立花ちゃんもそんな後継を産んだ女性として認められて晴れて私と結婚!


晴れてウチは愛情たっぷりの幸せ家族となり、魔王が愛妻家だからか自然と魔王国内全体も愛妻家が増え国内の幸福度も上がったという相乗効果までついてきた。


国内の人間差別も沈静化して、今ではなんと人間の国との国交まで樹立した。


本当に立花ちゃんと結婚して良かった。


「立花ちゃん、私すごい幸せ。立花ちゃんと結婚してよかった」


「私も魔王ちゃんと結婚できてよかった!可愛い子供にも恵まれたしね」


「あうー」


「本当に、可愛い子供にも妻にも恵まれて私幸せ!」


「私も素敵な夫と可愛い子に恵まれて幸せ!」


この幸せがずっと続くように、私ももっと魔王業を頑張るぞー!


おー!

ここまでお付き合い頂きありがとうございました!


楽しんでいただけていれば幸いです!


彼女も彼も、人よりも多くのものを背負わされてきた者同士で相性が良かったのが幸いでしたね。


結果的にみんな幸せな大団円になったのが奇跡ですね。


きっとこの幸せはずっと続いていくのでしょう。


ここからは宣伝になりますが、


『悪役令嬢として捨てられる予定ですが、それまで人生楽しみます!』


というお話が今日から電子書籍として発売されています。


よろしければご覧ください!

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― 新着の感想 ―
えと、そういうわけではないです。気を悪くしていたらすみません。物語としては大変良くできていますし、似ている所があったとしてもそれはしょうがない事(?)ですし、わざわざ消す必要はないですよ。
今まで読んできためでたしめでたしのお話の凝縮バージョン!
タチバナなのかリッカなのか…… 魔王さんは立場による責任で、お嫁さんは家族の生活かなって予想しますが、何を背負っているのか分かりづらいかも。 途中からの仲良しお友達夫婦な感じの空気が明るくて、最初…
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