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呪われ黒騎士の英雄譚 ~脱げない鎧で救国の英雄になります~  作者: さとう
第三章

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クシャナ砂漠の呪装備

 宿に戻ると、マッサージを終えニコニコ顔のアクア、そしてツヤツヤしているがどこか不機嫌なレイアースが出迎えた。

 どうやらレイアース。マッサージを受けた後、ラクレスと騎士詰所へ行くつもりだったらしい。まさかラクレスがすでに行き、話を終えたことに不満のようだ。

 三人はラクレスの部屋に集まり、話をする。


「今更だけど~、七曜騎士のアタシらが何で宿屋? 普通、騎士の詰所じゃない?」

「……まあ、確かに。すまん、慣れてなくてな」


 確かにとラクレスも思った。

 この辺りも、まだ騎士として慣れていないラクレス。だがレイアースは言う。


「そんなことどうでもいい。それよりダンテ、情報を得たのだな?」

「ああ。呪装備はクシャナ砂漠中央にあるそうだ。だが……すでに呪装者がいる。者ではなく、動物という話だが」

「「……動物?」」


 声が揃い、レイアースとアクアは嫌そうに顔を見合わせた。

 ラクレスは、詰所で集めた情報を全て説明する。


「砂漠中央の岩石地帯、呪装備の形状は鉤爪、砂嵐で呪装備まで近づけずに撤退……その時、獅子を見たということか」


 わかりやすくレイアースが言う。

 

『恐らく、その砂嵐が呪装備の能力だろうな。獅子ってのは動物か?』

「砂漠の獅子……恐らく、デザートレオンだろう。討伐レートSの魔獣だ。厄介だな……ヒトや獣人、亜人などが呪装備を纏うケースは何度か見たが、魔獣は初めてだ」

「アタシも。でも妙ね……呪装備ってヒトに寄生するのが普通なんでしょ? 魔獣とか話通じないし、魔法適正もないから呪装備もろくな力使えないじゃない。まあ、魔力はあるから能力は使えると思うけど」

『ほー、こいつらいがみ合うだけじゃねぇのな』


 ダンテが少し感心していた。

 アクアはラクレスを見て言う。


「アンタも呪装備持ってんなら、敵の位置とか把握できるんでしょ? 呪装備同士は近づくと共振するって話だけど」

『ああ、わかるぜ』

「ああ、わかる。恐らく、砂嵐の中でも問題ない」

「ふむ……なら、我ら三人で砂漠を進み、呪装備を見つけ破壊、ダンテの力にするべきだな。その後、魔人を探し出し討伐か」

『それが理想だ。だが恐らく……呪装備のところには魔人もいるぜ』


 ダンテは、ラクレスに言う。


『ラクレス。覚えておけ。オレ様は呪装備を取り込んで半魔人の命をオマエの命に変換し、力を取り込んで強化できる。だが……極凶悪級の呪装備も同じだ』

(……え?)

『恐らく、敵の魔人はレベルの低い呪装備を取り込んで、自分の力にしている。あのヴァルケン、カトレアとかいう二人から感じた半魔神の力は相当なモンだった』

「…………」


 ダンテは一筋の汗を流した。そして、二人に言う。


「レイアース、アクア殿。恐らく……呪装備のところに、魔人も現れる」

「何?」

「はあ?」

「敵の魔人も俺と同じ、等級の低い呪装備を取り込んで強化できる……狙いは俺、そして呪装備があるとなれば、恐らく」

「じゃ、いいじゃん。倒してやる」

「そうだな。手間が省ける」


 レイアース、アクアはやる気だった。

 だがラクレスは少し違う。


「……言っておくが、敵の魔人はかなり強い」

「ふーん? アタシとどっち?」

「……敵だ」


 アクアは目を細め、ラクレスに顔を近づける。


「教えてあげる。女神の神器には段階がある。一つは装甲を身に纏う『瞬着(しゅんちゃく)』、そしてその上、さらに上……レイアース、ウルフギャングが目覚めたことで、全員が第一段階の解放をした。アタシはね……レイアースよりも上よ」

「…………」

「フン……今は、だろう」

「アタシの力で、魔人なんて倒してやるわ」


 アクアが不敵な笑みを浮かべ、ラクレスの兜に手を這わせた。

 

 ◇◇◇◇◇◇


 出発は翌日、アクアとレイアースは詰所へ顔出しへ。

 ラクレスは、宿屋のベッドに座っていた。


『ありゃダメだな。自分の実力を過信してやがる……真っ先に死ぬタイプだね』

「そういうこと言うなよ……」


 過信。確かにラクレスも思った。

 ダンテは言う。


『確かに、半魔神や魔人には女神の神器が有効……ってかそれしかない。でも逆に、女神の神器にも半魔神の攻撃が有効だ。神器は決して万能じゃねぇぞ』

「……なあ、勝てるのか?」

『あ?』

「対峙しただけで、あいつらの強さはわかった。今の俺じゃ勝てない……呪装備を取り込んで強化しても、勝てないかも」

『まあ確かに。でも、手はあるぜ』

「え?」


 ラクレスは、思わず自分の胸を見た。

 そこにダンテがいるわけじゃないが、思わず見た。


『ラクレス。呪装備を取り込んだら、オマエの命を補填せず、全てオレ様の力にする。そうすれば、あの魔人の対抗できるくらいの力になるかもな』

「俺の命を補填しないで、お前の力に……?」

『ああ。大規模な形状変化も使えるようになるし、とっておきの技も使えるようになる。どうする?』

「……それでいい。少なくとも、あの二人を守れるくらい強くなきゃ」

『カッコいいねえ。いつの間にか、あの二人を守ること考えてら』

「……傲慢かもしれないけど、騎士になった以上、守りたいんだ……今度こそ」


 ラクレスは、かつての仲間だった兵士たちを思いだす。

 今は力がある。だから、今度はきっと守れるだろう。


『ケケケ、まあ……砂漠での戦いが楽しみだぜ』

「お前な……俺が負けたら、お前が魔人に取り込まれるんじゃないか?」

『……かもな』


 クシャナ砂漠中央。岩石地帯。

 そこに、呪装備……そして、魔人との戦いが待っている。

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月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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