私は黙す
私は黙す
眼の前で友人達が、親族が、家族が、彼らによって殺されてゆくを見ても。
抗議しても、手を挙げても、願っても、そこには何もない。
我らの神は彼らの神でもある。そして、神はお答えにならない。
既に何人知り合いが殺されただろうか。彼らの方でも、何人か、殺された。
抗議しても、手を挙げても、願っても、そこには何もない。
このまま、皆殺されていく。
確かに、何も言わなくなったものたちは生き残るだろう。従順になったからか?
いや、絶望しているからだ。生きる力を失ったからだ。
こんな状況で、何をしろというのか? ただ生きろ、と?
目を開けると、あそこで両手に穴の開いた人が、我らに愛想をつかされ、彼らに嬲られている。そして、彼も殺された。
そうか、ここでは、彼らの神であり、我らの神である彼が殺されつつあるのか。
道理で、人類は滅びよと裁かれるはずだね。
おそらく、預言に謳われている救われる「残りの人」とは、
ただ彼に祈ることしかできない人間なのだろう。
そして、人は皆、そんな祈りの言葉をすら忘れ去っている。