魔王?
「フッ、望むところだ! 魔剣騎士め!」
俺はベッドの上に立って敵に言い放った。
「あなたも魔剣騎士ね!」
「そ、そうだよ!」
「私はオルセイン。あなたは?」
「え、俺はハヤトだけど……」
「素敵な名前ね! 死んで! そしてその魔剣をちょうだい!」
強気になったのも束の間、俺は動揺している。
いきなり窓から侵入されて名前を褒められ、殺意を向けられたのだ。
ちょっとまた話を聞かない系の人かもしれない。
「あなたが魔剣を手にしていることは知っているわ! 今日、騒ぎを起こしていたからね!」
心当たりがあり過ぎる。
「さあ! 大人しくその魔剣を渡しなさい! 【破壊】スキルを使っても無駄よ! 私が使っているのは【破滅】なんだから! しかも、そんな折れている魔剣じゃどうにもならないわ! 私の前じゃ無意味な魔剣……いや、魔短剣だわ!」
『主! 彼女の言っていることは本当です!』
「ああ、お前は魔短剣だよ」
『そっちじゃないです! 主! そろそろ私も怒りますよ?』
「ごめん! あっちのほうが強いんだな?」
『そういうことです』
「魔短剣と相談しているのかしら?」
「そうだよ! 俺のグリムは渡せない」
「いいえ、絶対に奪ってみせる! だって、それで私の仕事がやりやすくなるもの! 魔王から逃れるために!」
え、魔王?
死んだんじゃ……!?
「魔王って死んだんじゃ……? なぁ、グリムは魔王の遺品だよな?」
『主! 敵の言うことを聞いてはなりません! 攻撃がきますよ!』
「えっ!? グリム!?」
なんかグリムが怪しい雰囲気を出しているぞ。
何か……俺に秘密にしている……!?
「ゴチャゴチャとうるさいわね! 問答無用だわ! いくわよ!」
敵の魔剣騎士は剣を抜いて構えた。
「くっ……やるしかないか……!」
俺は覚悟を決めて、右手に握ったグリムを構える。
「行くぞぉっーーーーー!!! 【破壊】スキルで勝てないのであれば!!」
俺は思いっきりジャンプして、敵に向かって斬りかかった。
【破滅】スキルとやらを放たれる前に倒してしまおう。
しかし、俺の攻撃は簡単に避けられてしまった……!!
「遅い! 遅すぎるわ! そんなんじゃ私の【破滅】スキルを出すまでもないわよ!」
「うぐぅ……! クソォッ!!」
俺は何度も剣を振ったが、ことごとく避けられてしまった。
「どうしたの? どうしたの? どうしたの? ねぇ……どうしたの?」
こ、この子……やっぱり人の話を聞かない系だ!!
「どうしたの? それが本気なの? 本当に? 嘘でしょ?」
いや、性格が悪いだけか!?
ムカつくなぁ……。
待て……冷静になれ……熱くなるな!
このままだと負ける!!
俺は勝って、自由に生きるんだ!
「グリム! 【解放】! ……からの【破壊】だ!!」
『主! それは! 解放しないでください!また頭痛が来ますよ!?』
「そ、そうだった……!! ああああああっ!? 頭いてぇ!! 頭が痛いよおっ!!」
『主! バカあああぁっーー!!』
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俺の脳裏にまたあの光景が浮かぶ。
女性……魔王は女性……。
血だらけの俺。
「そう、私は魔王だ」
「ま、魔王!?」
「思い出してしまったようだな……」
「お前が魔王なのか!?」
「思い出していないようだな……」
「俺は何も知らない!」
「思い出していないなら構わない」
「俺は何も知らないんだ!」
「錯乱しているようだな……」
「俺は……俺は……何者なんだ!?」
「こんなに思い出さないなんて、お前は都合の良い駒だ……」
「駒!? 俺は駒なのか!? 俺は何も思い出せない!!」
「ちょっとうるさいな……。早く戦え、このままだと死ぬぞ。私からしたら、どっちが勝っても良いんだ……」
「なにぃ!? なんだその立場は!? どうやって勝つんだ!?」
「え……自分で考えろよ……」
「俺とアイツ、どっちが勝ってもいいなら教えてくれてもいいだろ!?」
「押しが強い男だな。……【破滅】に勝つには【絶望】のスキルしかない」
「ぜ、絶望……!? 絶望のスキルだな!!」
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『主! 主! 大丈夫ですか!? 敵の攻撃が来ますよ! 【破滅】が来ます!』
「グリム! 【絶望】スキルを使え!」
『主!? なぜそのスキル名を!? そ、それは危険過ぎます!』
「自由気ままなハッピーライフを送るには、やるしかないだろおっ!! 【絶望】!!」
『主ーーーー!! やめてーーーー!!』
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