切望
例えばそれはアニメ映画のワンシーン、名前も知らないあの子が意思を込めて見つめる横顔
麦わら帽子に白いワンピースのあの子が森が見える田園で笑いながらこちらに手を伸ばす様
森の中を透明に流れる小川のせせらぎ、それを見つめる少年とあの子
正体を掴もうとすればかき消えて、全くの不意に去来する
ファンタジア、胸の中に根を張り、決して表層に出てこない
どうしても離れがたく、どうしても手放せず、どうしても手中に収まらない。
幼き頃から甘美に俺の胸を締め付けて、不意に緩める切望よ
どう手を伸ばせば掴めるのか、今になってもわからない