初めてのクエスト
簡単なクエストをこなす事になりました。スローライフのための第1歩です。
ココアは、お礼を言って依頼を開始する。
まずは街での迷子猫の捜索をする事にし、街の人たちに話を聞き情報を集める。
噂によれば猫が集まる場所があり、多数の野良猫たちが集まってエサを分け合ってるいるようだ。
ココアは、聞いた場所に細心の注意を払い近づいていく。
猫たちは、ココアの存在に気づき威嚇するために鳴き声を上げる。
「猫ちゃんたち、私はあなた達を害するつもりはないの。探している子がいて、その子を飼い主の所へ連れて行きたいのよ。」
言葉が通じるかわからないが、ココアは猫たちに話しかける。
その中の1匹がココアの下へと寄って来て、ココアの匂いを嗅ぐ。
みゃぁと鳴くと、他の猫たちは警戒を解くこととなった。
ココアはたくさんの猫たちに囲まれもふもふを楽しみながら、迷子猫がいないかを確認する。
その中に1匹だけ首輪をした猫を見つけ、特徴を見ると探している猫に間違いないようだった。
首輪には、ミケと名前のタグも確認できた。
その猫に抱こうとすると他の猫たちが一斉に鳴き声を上げに守ろうとする。
よく見ないとわからないのだが、ミケは虐待を受けていたような傷もあるようなのだ。
ココアは、猫の状況をギルドに報告するため一度戻る事に決めた。
ギルドに行き、
「ミラさん探している猫の居場所はわかりましたが、どうやら虐待を受けていてその場所に逃げ込んでいるようなのです。こういう場合はどうしたらいいのでしょうか?」
ココアはミラに尋ねる事にした。
「探し猫というだけで詳しい状況はわかってなかったので、こちらでも追加で調査致します。虐待の事実を隠し依頼を出したとすれば、その依頼は無効として依頼主には違約金を頂き、依頼料はそのままココアさんにはお支払いいたします。」
調査には1日2日かかるという事なので、もう一つの薬草採取の依頼にココアは取り掛かる事にする。
ココアは街の門番にギルド証を見せ、外に出て近くの森に向かう事にする。
森は歩いて1時間くらいの場所にあり、森の中は若干暗さを感じる。
ココアは、周囲を警戒しつつ薬草の採取を始めることにする。
サンプルを見て、覚えた薬草の特徴を頭に置きながら近くの薬草を採取していく。
あまり奥には入らないようにとミラから注意されているので、そのあたりも念頭に置きながらココアは用意してきた袋に薬草を詰めていく。
日が傾き、徐々に森がさらに暗くなってきた所でココアは採取を止めて街へ戻ろうとしたその時、草むらからゴソゴソといった音がしてスライムが1匹現れた。
スライムは、低級の魔物ではあるが取り込んだものを溶かす性質をもっている。
動きは、緩慢であるため初心者冒険者でも後れを取る事はほとんどない。
スライムを倒すには核と呼ばれる部分を破壊すればよいのだが、ココアはそんな事は知らない。
誰も彼女にその事を教えてくれる者はいなかったのだ。
必死にスライムを切りつけるがなかなか倒れない。
何度か武器を振り回しているうちに偶然核を破壊する事が出来た為、スライムは崩れ去り液状になって地面にしみこんでいった。
ココアは、急いで森を抜け街へと戻っていくことに。
冒険者ギルドに行き、袋から採取した薬草をミラに渡す。
採取した薬草は全部で20本。
鑑定した結果は、8割が薬草で残りの2割は薬草もどき言われる山菜の一種だった。
今回のクエストの報酬は、薬草16本で16銀貨となるのだった。
薬草採取のクエストは常時掲載されており、初心者用クエストの定番でもあった。
宿屋に戻り、夜食を取り部屋に戻り今日の疲れを取るためにベッドに入る。
なかなかこの固いベッドにはなれないが、今の自分が雨風を凌げるだけでも幸せなんだろうと思う事にした。
家を出てまだ二日だが、マリルに会いたいと思う。
この街にいればもしかすれば出会う事もあるかもしれないが、お金が貯まったなら王都へ行こうと考えている。
王都に旅立つ前には、一度彼女に会いたいと願いながら眠りつく。
読んでいただきありがとうございます。