第二話
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意識が覚醒する。
でも、まだどこか意識は遠くに居るような、現実というより夢を見ているようなそんな曖昧な感覚が■の中にある。
辺りを見回す。幾つもの柱……と言えばいいのだろうか、所々崩れていて、とても柱と呼べるような働きをしていない。それも老朽が進んで崩れたのではなく、明らかに戦闘によって崩れてしまったと考えられる。ただ、どうしたらここまで壊せるのだろうかと不思議に思ったが、爆弾でも使ったのだろうと勝手に納得することにした。
他にあるのは、幾つもの壁画、削れた地面……ヨーロッパ中世に作られた神殿を■はこの場所を見て連想した。しかし、それ以外特に何かある訳でもなく、ただ薄暗いだけ。穴の開いた天井から月光りが入り込み、ふと、その場所を照らしていく。
そこには少年と少女の二人がいた。気が付かなかった。見えなかったというのもあるだろうが、それ以上に、突然現れたのだ。そう、突然……。
少年は少女を抱きかかえながら涙を零している。それは、恨みや憎しみ、悲しみを慟哭に変えて。それは、嬉しさや楽しさ、愛しさを自身へと刻みながら。
――そんな少年は何かが狂ったかのように高笑いし始めた。
「僕が、僕が……こんなクソくだらない世界を変えてやる……ッ!!」
突然、少年は僕が居る方へと向きを変えた。月光りによって照らされた少年の顔が……見え……そん……まさ……ありえ……。
自覚した瞬間砂嵐が現れた。ジジッ、ジジッ、という擬音が世界に響き、黒く世界が塗り潰されて――ああ、またか。また■は意識を失うのか。
世界が塗り潰されるその前に少年は、ただ、ただ一言だけ、少女に向かって。愛おしそうに、お別れの言葉を口にした。
「――愛してるよ、■■■」
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黒き世界で飛鳥は思う。
暖かさも冷たさも温もりも何もかもが感じられない。生きているという実感も死んだという実感もなにもかもが感じられない――この世界を飛鳥は知っている。これは“あの時”と同じだ。飛鳥が人の死に――いや、“死”という概念に執着するようになったあの時と同じ――
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