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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今日から学校と仕事、始まります。②莞

通り抜け禁止

作者: 孤独

今日は取材で車を飛ばし、舞台となる場所へ赴いた。


「あー、これが女の子とドライブだったらよぉ」

「そんな羨ましい事は自分でやってください。俺が行きも帰りも運転じゃないですか」


もうその特別な取材を終えて、帰路に向かう。

ヤクザ顔の三矢正明が運転していると、どこかヤバそうな施設に入れられそうな感じである。

後部座席の全部を使って寝転ぶ松代宗司。

程々の収穫を得たが、今は眠いのだ。体力は残し、気力の回復もしなければいけない。自覚する欠伸するとともに


「俺、寝るからよ」

「どーぞ。起きた時は会社でしょう」


運転するかと思えば、三矢は運転席から出てしまう。なんだ置き去りか?って、松代は眠い瞼を閉じる前に確認する。

外に出て三矢がやったことは、通り抜けを禁止する棒の差し込みであった。道路から歩道の道に入るときによく見かける棒である。それに取り付けられた看板。


『抜いたら、戻せ』


一瞬、過ったものがあったが。ひとまず頭は睡眠を訴え、身体がそれに従った。



◇         ◇



「ふぁっ……着いたか?」

「渋滞に巻き込まれました。あと2時間は辛抱で」


トイレに行きたいか、それともただの現象か。

松代はそんな下半身であることを知りながら、渋滞でイライラ中の三矢を和やかにさせたいのか、増長させたいのか。


「あー、三矢よ。あの看板、どー思った」

「は?」


どのことだよって顔。

三矢は2時間以上運転中なのだ。


「あれだ。棒に取り付けられた『抜いたら、戻せ』って看板」

「なんだよ!?その看板!!今、どこにある!?」


ますます、わけわかんない。できれば起きるまでに、会社に戻りたかった三矢。松代のどーでもいい変態談義と渋滞のイライラの波状攻撃は喰らいたくなかった。


「あった!?そんな看板!」

「あったろう。俺が眠る前。お前、触ってたじゃん」

「止めろよ!その言い方!」


松代の言葉でなんのことか分かって来た。

歩行者天国とか、車を通したくない時にある棒の事かと。駐車場があるお店にも閉店時に使われるものだ。チェーン付きで。


「あんな看板が棒に付いてたらよ、エロい想像できちまってよくないよな?」

「そんな発想するのはお前ぐらいだよ!!あと、瀬戸くらい!」

「必要に応じて、穴に棒を刺したり、穴から出したりするんだぞ。ヤバくね?」

「続けんなよ!ここには俺しかいないんだから!ツッコミが単調になんぞ!」

「いや、こーいう話。女の前でしていたら……馬鹿らしいじゃん。妄想豊か過ぎて恥ずかしいわ」

「恥ずかしいなら俺の前でもすんな!!」

「男とする話は別じゃねぇか。くだらんエロ談義をしたい」


イライラしてくる三矢。寝てりゃいいと思う。

しかし、起きたばっかりの松代は、そんなくだらない日常的なエロについて考える。単純な鉄の棒であるにも関わらず、妄想膨らませればあの卑猥さだ。


「あの棒は、まるでエロ本で抜いたら、ちゃんと本を元の場所に戻す事を教える看板だったよな。『抜いたら戻す』、シンプルで良い」

「公共の道路で何考えてんだ!?住民の安全、車の安全のためにあるんだよ!」


一度、妄想に火がついたら、早々収まらない。

運転と怒りのツッコミで忙しくなる三矢。


「種類や経過によって棒がぐらついて、ぐりぐりと穴の中をかき回せる仕組みだったよな?小学の時、あれで遊んだこと思い出したぞ」

「なんつー小学生やってんだよ!欲望丸出しじゃねぇか」

「チェーンで他の棒と繋がってる様を男女の体で見立てると、……やべぇな。穴と棒のお試し会に見えてくる。18禁じゃないか。おいおい。いいのか?そんな道路があって……」

「そんな事を思われるために通り抜け禁止の棒は存在してねぇーぞ!」

「お、そんな名前なの?」


松代は演技力80点の女性声に変わって


「これより先にイッちゃ、イけませ~ん!って、感じのアピールもあったのか。やるなぁ」

「これ以上ふざけんなよ!!女っぽい声、止めろ!!キモイ!!」



不用意なツッコミは余計な想像力を掻き立てる。


「名前からして、貫通できないのか。それともあのままの状態を誰にも邪魔されたくないか……」

「止めてくんねぇかな?平穏な日常風景に無理矢理、男女絡めること」


色々な日常風景を思い浮かべる。

穴と棒………。それが1セットになっているとしたら、それしかないんじゃないか?考えている時、考えが回らないは良くある。


「あれ消した方が良くね?一生懸命に考えても、卑猥じゃないか。女がそこに座ったらどうなる?」

「お前を消した方が世間的に平和だ」


そしてようやく、車が進む……。

同時に話も進む。集束に向けて


「……はっ!」

「あ?」


松代は気付く。それは自分の妄想を推し進めてのこと。体を震わせながら


「あんな太くて長い棒が気に入られたら、男が用済みじゃないか!女がそこに座っているとこ、寄りかかるとこ想像して絶望したぞ!やはり撤去した方が良い!」

「頼むから会社に戻るまで絶望したままでいてくれ。撤去されるのはお前の脳みその方がいい」




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