高校に忘れ物
□■高校に忘れ物■□
「あぁやっべぇ…忘れちまったや…」
目覚し時計をいつも通りの時間に止めて朝食を取り、勉強をしてふと思い出した。
「俺の狩り用ナイフ…教室の中だった…。」
少し小走りで高校へ向かうと、
「あらぁ…氷空ちゃんじゃぁないの…」
「あ、駄菓子屋のお婆ちゃん!おはよ!」
「ふっふっふ、いつも元気ねぇ…」
駄菓子屋のお婆ちゃんの花宮さん、いつも元気なお婆ちゃんで、夫のお爺ちゃんも元気だが、今は外に出ているようだ。
「……もう駄菓子屋少ないなぁ…買うの俺だけじゃねぇか?」
「そうねぇ…氷空ちゃん以外は中々買ってくれないねぇ…」
すると
ブゥゥゥゥン!
「ひっ!」
「お婆ちゃん…大丈夫?」
「えぇ…ごめんねぇ氷空ちゃん…やっぱり何年立っても慣れないわねぇ…この音は。」
この村の皆は、数少ない、戦後を生き延びた人達が暮らす村でもある。
「そう言えば氷空ちゃん、こんな時間に学校かい?」
「うん、俺のナイフ置いて来ちゃってさ、帰るときに何か狩ってこよっか?」
「うぅん…そうねぇ…それじゃあ皆で食べたいから猪か鹿でも良いわね、」
「っはは!流石お婆ちゃんだな!分かった、行ってくるよ。」
「行っておいでぇ…」
俺は手を振りながらお婆ちゃんの場所を後にした。
「さて…今さっき戦闘機の音は確か…九一式の戦闘機…かな…」
氷空は軍隊が嫌いになる前はずっと世界の戦闘機を見て、聞いてきたから音で大体の戦闘機かはすぐにわかる。
「てか本当…現代の復元能力すっげぇなぁ…」
現代2XXX年の現在、東京は永久経済都市として、波に乗り、それ以外の村はほとんど壊滅と化し、更には東京にテロ事件が発生、その為国は、軍隊の強化をし、戦闘機も復元、改良、を重ねていた。
「いやぁ〜俺の教室の合鍵、先生(もう居ない)にもらって良かったやぁ〜」
氷空は鍵を使い、校門を開け、2日ぶりに入ると。
「……これは…確か前にやってたαXenon…こんな人型兵器が何でこんな所に…」
この兵器はαXenonと言う新型兵器で、150センチ程の高さで人型兵器としては珍しい(?)らしい。
「しかし…こんな兵器まであるとはな…っととぉ…いけないいけない技術者の血が騒ぐ所だった…危ないなぁいろんな意味で…」
取り敢えず無視で行こう、俺には秘策がある、と思いながら学校に入ろうとすると。
「っ!?」
少しの気配を感じて横に避けた瞬間
ガシャァァァン!…ウィィィン…
「っ…」
こっちを向いてる…これはまずい!そう思い氷空は学校内に逃げるが。
「おいおい!お構いなしかよ!」
αXenonは容赦なく氷空を追いかける。
「と、取り敢えずここは…」
氷空はポケットから手榴弾の様な物を取り出し、床に叩きつける、すると銀色の塵が中を舞う。
「」
「よし、まさか試作がこんなに使えるなんて…チャフの軽量型も使えるな…」
そう言いながら氷空は動かなくなったαXenonを置いて、一目散に教室へ向かう。
「はぁ…はぁ…ふぅ…」
一息ついて、氷空が向かった教室は4階の1-B、高校時代一人で通い、一人で授業をした思い出のある場所。
「鍵をっと…あったあった。」
ポケットから鍵を出して、鍵穴に差し込み、撚る。
「開いた開いた。」
扉を開けて教卓の目の前にある机の中をあさると。
「あった…」
そこにあったナイフは、刃渡りは10センチ程のサバイバルナイフで、買ったのではなく貰い、それからずっと手入れをしながら練習をし続けた思い出のあるナイフ。
「うん、錆とか俺以外の手は加えられてないみたいだ…っ…」
誰かが来た、と気配を感じた氷空は急いで且つ静かに扉を閉め、鍵を掛け、教卓に隠れて待つことにした、すると外から。
「聞いた?高取先輩が侵入者見つけたんだけど、チャフ投げられたんだって!」
「何を言うんだ加…チャフは戦闘機用の兵器だぞ?手榴弾みたいに作れるわけ無いだろ。」
「そうだよねぇ〜!」
と言う、試作者を馬鹿にするようなことを言いながら2人の声は消えていった。
「さて、取り敢えず…裏技使うか…」
そう言い、氷空はベランダに出て、手すりを使って降りると言うなんとも自殺行為に近いことを成し遂げたが、それもあってか、αXenonに遭遇することなく、学校から抜けることができ、氷空は健二こと健ちゃんに電話をする。
『氷空ちん?どしたの?』
「健ちゃん?俺明日健ちゃんの高校の編入試験受けに行くからね?以上…と言いたいんだけど、東京駅から案内してくれんかな?分からんから。」
『おぉ!ええで構わん構わん!ほな明日会おか!』
「おう!」
期待と希望を胸に、氷空は準備をして、眠ることにした、裏で手が回っていることに気づかず。
「」
所変わって飯山高校の廊下で、一人の生徒がαXenonの修理をしていた。
「ん?おい高取、何をしている?」
「白鳥先生!」
そう言い、高取と呼ばれた生徒は白鳥先生と呼んだ女性に敬礼をする。
「αXenon…なぜここにある?」
「実は侵入者らしき人が中に入ろうとしていたのですが、相手はチャフの用な物を使い、αXenonの機能を混乱させてしまったので今動かして事故を起こしたらあれなのでここで修理とメンテナンスをしています。」
「ほぉ…チャフを…で、どんな奴だった?」
「前にお会いしたのですが、2つ程年下の少年でした。」
「……高取、お前は面白いことをしてくれるな。」
「…それはどう言う…」
「簡単な話さ、その少年は草薙氷空君だね。」
「…その少年は…本当にすごいんですか?」
と、高取と呼ばれた人が質問すると、白鳥先生と呼ばれた人はこう言う。
「あぁ、彼が本気を出したら技術で隣に出るものは居ないと言われている天才技術者少年さ、だが一つ問題があってな…」
「問題…とは?」
「あぁ、彼は軍を嫌っているのだ、彼の技術は兵器に最大限発揮されるのだが…」
「……では、我々はその…氷空君を諦めるのですか?」
「いや、一つ手を打ってある。」
と、言い、白鳥先生はにっこりと笑っていた。