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喪女ですが不本意ながら聖女になりました  作者: 川音
第2章 喪女、助聖女選抜試験をうける
31/32

31. もしかしてナンパ?


 初脱出成功を祝うセレモニーは終わった。

 わたしを取り囲んでいた教会関係者がそれぞれの持ち場に戻っていく。


 教皇は大聖堂の外壁にむかって設けられた席に座った。

 教皇以外にも10人ほどの神父が、教皇を中心に横1列になって着席する。


 どうして壁にむかって座ってるんだろう?


 答えはすぐにわかった。

 彼らの視線を追いかけたら、大聖堂の白い壁が巨大スクリーンに変わっていたから。


 スクリーンには大聖堂の内部が分割で映しだされている。

 定点カメラ(?)もあれば、特定の受験者を追いかけているカメラ(?)もあるらしい。

 どうやらここで試験をモニタリングしていたようだ。

 


 壁をボーゼンと見上げていたら、半球体の水晶玉をもった修道女が近づいてきた。


「脱出おめでとうございます。こちらに受験カードをおかざしください」

 

 言われたとおり、首からぶらさげていた受験カードを水晶玉に押しあてる。

 すぐにカードをひっくり返して裏面を確認したら、やっぱり表示が変わっていた。


----------------------------------------


 助聖女選抜試験/1次試験合格


  1位通過

  クリアタイム:3時間15分


----------------------------------------


 1位か……。


 うれしいんだけど、気後れしちゃう。


 わたしが1位になれたのは、リアル脱出ゲームの攻略法にすぐにピンときたから。

 ファミコン世代のわたしはBBAになった今でもゲームが好きだ。

 しかも初回プレイ時は攻略サイトを見ないでクリアする派(昔は攻略サイト自体なかったし……)。

 だから出題者の気持ちになって、謎の隠し場所とか謎の解き方とか考えることができたんだ。

 

 つまりゲーム好きの日本人だからこそ掴めた勝利。


 今回の試験、ゲームに馴染んでない普通の女の子にとっては難しいかもしれない。

 


 受験カードを見つめたまま動かないわたしに、修道女が声をかけてくる。


「申し訳ありませんが、試験終了の昼3時まであちらでおくつろぎいただけますか? 昼食をご用意してますから、めしあがりながらお待ちください」


 あちら、と言われた方向を見ると、石畳の広場の一角にパーティ会場ができていた。

 立食式のブッフェで、ガーデンウェディングのように華やかに飾りつけられている。



 修道女にうながされ、ブッフェ近くに並べられた休憩用の椅子に腰をかけた。

 

「お飲み物はなにになさいますか?」


「あ……じゃあ、冷たいジュースをお願いします」


「かしこまりました」


 修道女は礼をして、わたしのそばから離れていった。



…………


 キョロキョロとあたりを見回す。

 パーティー会場になっている一角にはわたし以外誰もいない。


 わたしはこの場にいない相棒に声をかけた。


「ガーディ、いる?」


『ああ』


「わたし自力で1次試験突破できたよ! しかも1位で!」


『おめでとう。気分はどうだ?』


「率直にうれしい! ガーディの言うとおり達成感を味わえたよ!」


『そうだろう? 最初からわたしはショーコが1位で通過することを確信していたぞ』


 それは言いすぎでしょ!

 でもイケボに褒められるのは照れくさいな。


「ところで試験会場でガーディの子孫に会ったよ」


『……ああ、いたな』


「ガーディも見てたの? ガーディも生前は金髪碧眼の美少年だった?」


『そうだな。わたしも金髪碧眼だった』


「ねえねえ、自分の子孫を見るってどんな気持ち?」


『……なんとも不思議な気分だな……。死後に己の……子孫を見るというのは……』


「なんかね、複雑な生い立ちのせいで恋愛観が歪んじゃったみたいだよ? 悪い子じゃなさそうなんだけどね」


『ショーコ、彼の友達になってあげてくれないか?』


「え!? 突然なに言ってんの!? 無理だよ! 喪女わたしごときが話しかけられる存在じゃないもん!」


『ショーコなら彼の孤独を癒せると思うのだ……!』


「……もしかしてガーディ、ルキウスのこと前から知ってた? 自分の末裔の境遇をずっと心配してたの?」


『……まあ、そんなところだ……』


「……わかった。機会があったら話しかけてみるよ。機会があったらね?」


『ありがとう。さっそくその機会が訪れたようだ』


「え?」



「先ほどからなにブツブツ言ってるんですか?」


 視線をあげたら、金髪碧眼の美少年――ルキウスが立っていた。

 手にはオレンジ色のジュースが入ったグラスを持っている。


「……これも幻影かな?」


「オリジナルですよ」


 目の前にグラスが差し出される。


「おとなりに座ってもよろしいですか?」


「……はあ」


 わたしはグラスを受け取りながら生返事をした。



――え? もしかしてナンパ?


 そんなわけねーだろ!


 わたしは心のなかで即ツッコミを入れた。


評価、ブクマ、ありがとうございます!

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