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喪女ですが不本意ながら聖女になりました  作者: 川音
第2章 喪女、助聖女選抜試験をうける
24/32

24. 1次試験はリアル脱出ゲーム!?


「教皇様! 大変です!」


 突然、カソックを着た20代くらいの神父が転がるように走ってきた。

 祭壇のうえに飛び乗り、教皇に耳打ちをする。


「な、なんじゃと!」


 教皇はカッと目を見開いた。

 そしてルキウスを手招きして、3人で輪になってひそひそ話をしはじめる。


 なにかトラブルでもあったのだろうか?


 不穏な空気に、女の子たちもざわつきはじめる。



 内緒話を終わらせた教皇が沈痛な面持ちで受験者側に向き直った。

 

「助聖女候補の少女たちよ……心して聞いてほしい……」


 祭壇を見上げる全員がゴクリとつばを飲みこむ。


 再び教皇の目がカッと見開かれた。


「たったいま! この大聖堂が暗黒神から攻撃をうけていると報告があった! 結界がもつのは昼3時まで! その時刻を過ぎれば大聖堂のなかに魔物がなだれこんでくる! この場にいる者はみな死に絶えるだろう!!」


「「「きゃあああああアアアア――ッ!!!!」」」


 女の子たちの大絶叫スクリーム

 恐怖の大波がドームのなかで反響する。


「勇気ある者はわしと一緒に最期まで暗黒神と戦ってほしい! 勇気ない者はわしの魔法ワープで安全な場所まで逃がしてやろう! 逃げを選んでもけっして責めたりしない!」


 教皇が説明している間にも、パニックで泣きだしてしまう女の子たち。

 

 そのころわたしは頭のうえに疑問符を飛ばしていた。


――え? 暗黒神が復活した?

 

 ガーディの話では復活までまだまだ時間はあったはずだ。

 しかも帝都全体を覆う聖女の結界――防御の光網は消滅していない。

 それなのに結界を越えてピンポイントで大聖堂を狙ってきた?

 なんかおかしくない? 



 教皇は金色の杖を振りかざした。


「さあ急ぎ選択せよ! 暗黒神と戦える者は右手の側廊! 暗黒神から逃げたい者は左手の側廊に寄れ!」


 それを合図に、女の子たちが右に左にバラけはじめる。


 わたしは右の側廊――戦える側に移動した。

 ひょっとしたらこれも試験の一部なんじゃないかと思って。


 その結果――『戦える』に7割、『逃げだす』に3割くらいの割合でわかれた。


 教皇はふむとうなずき、「逃げを選んだものは、神父の誘導に従って中庭に移動するのじゃ」と左手に寄った3割を外に追い出した。



 残った7割が、もういちど祭壇の前に集められる。


 教皇は厳かな口調で選択の結果を告げた。


「気づいた者もおっただろうが、さっきの選択は試験の一部じゃ。教会は暗黒神と戦う意思をもたない助聖女など望んでおらん。いまこの場から退場した者には、試験からも退場してもらおう」


……ごくり。


 残された女の子たちの顔つきが変わった。

 当然だ。いきなり大勢の不合格者を目の当たりにしたのだから。

 自分だっていつあちらがわに回るかわからない。

 キャピキャピした空気は消え、真剣な空気がただよいはじめた。


 最初からやる気充分だったわたしも気を引きしめなおした。

 1次試験は思ったよりトリッキーのようだ。

 ペーパーテストやスポーツテストだけだと思っていた。

 これから先も思考を試される罠がしかけられているのかもしれない。

 


「それでは1次試験の説明を再開するぞい」


 白ひげの教皇がニコリと笑う。


「寸劇はまだまだ続くんじゃ。助聖女候補の少女たちよ、これを見よ!」


 金色の杖がブンッとふられる。

 すると祭壇のうしろにあったステンドグラスが、プロジェクタースクリーン(?)に姿を変えた。


 巨大スクリーンには、ポップでカラフルなフォントでこう表示されている。


『聖女は貴女!? バルドル神を復活させて暗黒神を倒せ! ~大聖堂からの脱出~』



――は?


 わたしは口をあんぐりあけて謎のタイトルを見上げた。

 まわりの女の子たちもわたしと同じような反応をしている。



――え? まさか1次試験の内容はリアル脱出ゲーム!?



 そのまさかだった。


「いまからみんなにゲームをしてもらうぞい。終了時間は昼3時。それまでにゲームクリアできなかった者は1次試験不合格となる」


 女の子たちは戸惑いを見せながらも、教皇の説明を聞き漏らすまいと真剣に耳を傾けている。


「ゲームの設定はルキウスから話しておくれ」


 突然説明をふられたルキウスは、企画書を読み上げるように淡々と言葉を吐いていく。


「――いま大聖堂は暗黒神から攻撃を受けている。結界がもつのは昼3時まで。大聖堂に閉じこめられた聖女である貴女は、バルドル様を復活させ、暗黒神を打ちたおし、大聖堂から脱出しなければならない」


 その先の説明は教皇が引き継いだ。


「大聖堂のなかにはバルドル様を復活させるヒントや謎がたくさん散りばめられておる。ヒントを収集し、謎を解き、大聖堂から脱出することがゲームクリア条件じゃ。ヒントや謎は本気で探さないと全部見つけられないぞ。ただし魔法を使わないと見つけられないようなアンフェアな場所には隠してないから安心するとよい。あと不正防止にみんなにはインビジブルの魔法をかけさせてもらうぞ。これは他人から自分の姿を見えにくくさせる魔法じゃ。わしや試験官からは見えておるけどな」


 少女たちはポカーンと話を聞いている。

 わたしはとりあえず教皇の説明をメモに殴り書きした。


 リアル脱出ゲームの対策なんて誰もやってきてるはずがない。

 客室係のアンナさんから聞いた前回の試験内容はペーパーテストとスポーツテストだった。

 他の受験者もそのつもりでやってきたはずだ。


 それが今回、趣向を変えてきやがった。

 たしかにリアル脱出ゲームは知力体力を同時に測れるかもしれないけども……。



 まわりが置いてけぼりになってるのを知ってか知らずか。

 教皇はもういちど金色の杖をふりかざした。


「最初にみんなに解いてもらいたい謎はこれじゃ!」


 巨大スクリーンの表示が、変なタイトルから変な問題に切り替わる。



----------------------------------------------------


〈A〉 ■ ■ ■ ■ ■ で


〈B〉 ■ ■ ■ の


〈C〉 ■ ■ の


〈D〉 ■ を


〈E〉 ■ 回


〈F〉 ■ ■ ■ ■


-----------------------------------------------------



……ナニコレ。

 全然わかんない……。



「それではいまからゲームスタートじゃ!」


 教皇がスタートコールした直後、まわりにいた女の子たちの姿が消えてしまった。

 正確には、プレデターの光学迷彩みたいに輪郭に違和感があるけども。

 どうやらインビジブルという魔法がかけられたらしい。


 混乱のなか、1次試験合格をかけたゲームの火蓋が切られた。

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