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喪女ですが不本意ながら聖女になりました  作者: 川音
第1章 喪女、異世界転移する
16/32

16. 暗黒神が目覚めたらどうなるの?


「ていうか、あなたはどこにいるんですか?」


 わたしは誰もいない空間に向かって問いかけた。


わたし精神エーテル界にいる』


「精神界って……。死んだ人が行くところ?」


『そうだ。我はすでに死んでいる』


 北斗神拳の使い手かよ。


「じゃあやっぱりあなたは幽霊なんですか?」


『そのように思ってくれてかまわない。しかし精神界で自我を持つわたしは少し特別だ』


「どういうこと?」


『普通、精神界で輪廻を待つ魂は、胎児のように星海をたゆたっているだけだ。しかし我は生前の記憶を取り戻した。我はかつて神聖帝国テオドロスの君主だったのだ』


「え! 君主って、つまり皇帝だったっていうこと!?」


 えええええええ――――ッ!!??


 超VIPじゃん!

 名も無き魂なんて嘘じゃん!

 今からでもひざまずいて平伏ひれふしたほうがいいですか!?



 わたしは宙を見つめながらおそるおそる声をかけた。


「あの、本当のお名前は……?」


『我がいつの時代の皇帝だったかは伏せておこう』


 なんでだよ!

 まあどうせ聞いたってわからないけどさ!



 脳内でイケメンボイスが自嘲気味に笑う。


『我はすでに死んでいる身だ。そうかしこまらず、気安く接してほしい』


「だったら教えないでほしかったですねえ……」


『本当は身分を明かすつもりはなかったのだ。しかし君には理解してもらったほうがいいと判断した』


「最初に守護者ガーディアンと名乗ったのはどうして?」


『それが我の背負った宿命だからだ。生前も死後も世界を守るために戦っている。そしていま――』


 ガーディはいったん言葉を切り、声音を低めた。


『暗黒神が、目覚めようとしている』



……冗談でしょ?


 またどえらい中二病ワードが飛び出してきたもんだ。

 笑い飛ばしたい気持ちでいっぱいだけど、ガーディの口調が真剣すぎてできない。



 雰囲気に呑まれたわたしは真面目に聞き返した。


「暗黒神が目覚めたらどうなるんですか?」


『世界は魔に侵食されて滅びるだろう……。物質界も精神界も、両方な』


「なぜ両方?」


『物質界と精神界が表裏一体の世界だからだ。片方の世界でおきた出来事が、もう片方の世界にも影響を及ぼしている』


「んんん?」


 首を傾げるわたしにガーディが追加で説明する。


『そちらの世界で聖女が光の加護を失っただろう? それ以来こちらの世界で闇の魂が増えはじめた。闇の魂を放っておくと、そちらの世界に魔物が生まれてしまう。魔物が増えると暗黒神が目覚めてしまう。だから我は増殖する闇の魂を殲滅しながら精神界エーテル中を巡っているのだ』


 わたしはポンッと手のひらをこぶしで叩いた。


――わかった!


 無双シリーズ状態ね!?

 一人の武将となって、フィールド上にわいて出てくる多数の兵士や猛将をなぎ倒していく爽快アクションゲームの状態ね!?


 無双中だったのならしょうがない。

 3日も放置されていたことに納得できる。



「じゃあガーディの頑張りのおかげで、この世界は魔物の増殖を抑えられているということ?」


『そうだな。さすがに全部を抑えきることはできないが……。それでも少しは食い止めることができているだろう』


――そうだったんだ!


 わたしは世界の真実に衝撃をうけた。

 ガーディの孤軍奮闘ぶりを知っている人がわたし以外に誰もいないなんて切なすぎる!

 死んだあとも人知れず世界を守っているなんてあんた立派な皇帝だよ!


 わたしのガーディに対する評価はストップ高になった。


「お疲れ様です! いまはわたしと話していても大丈夫なんですか?」


『最近わいて出てきた闇の魂はあらかた殲滅した。しかし時間をおけばまた無限に増えてしまう』


 うわあ、大変だな……。


「増殖をとめる方法はないんですか?」


『物質界に再び聖女が現れればあるいは――と思っているのだが……。発端は聖女が光の加護を失ったことだから』


――ん? そんないつ現れるかわからないものを待つ必要はないのでは?


 わたしは首をひねりながら疑問をぶつけた。


「精神界にはバルドル様という光の神様がいるんでしょう? ガーディなら直接神様にお願いできるんじゃないですか?」


『それがな……』


 ガーディの色っぽいため息がわたしの脳みそを揺さぶる。


『あいにくわたしは神とまみえたことがない。これでも精神界エーテル中を巡っているのだがな……』


 えー! 

 ガーディがこんなに頑張ってるのに!?


 神様って無情だな……。

 それとも本当は存在しないのかな?

 ガーディのほうがよっぽど神様みたいじゃない?


 ここは少しでもガーディを励ましてあげなくては……!



「あの、わたし、助聖女選抜試験っていうものを受けることにしたんです!」


『知っている』


「この世界の人たちも聖女を見つける努力をしています。わたしも頑張って聖女を見つけますね!」


『……というより、君が聖女なのではないか?』


「はあっ!?」


 突然なに言ってんだ、このユーレイ!?

 よっぽど戦いに疲れてんのか!?


「ど、ど、どーしてそう思った!?」


『肉体を持たず魂だけの存在である我はいままで物質界に直接干渉することができなかった。それがショーコを通じれば干渉することが可能になった。君は物質界と精神界をつなぐ特異点になったのだと思う』


 えええええええええ――!!??


 わたしなんか異世界転移に巻きこまれただけのただの喪女だよ!?

 いまのところ何の能力も持ってないよ!?

 いや、マジで!

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