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書斎にて


ルミニア母様の努力の甲斐あって、お腹に赤ちゃんが宿った。

性別などは分からないが、二人目の女の子が欲しいと言っていたからそうだと願う。

出産予定日は真冬で、12月から1月頃だというのできっと山羊座になる。

そのせいか城の中もすこし慌ただしく、子供に構う暇がなかったりする。

絶好のチャンス到来。

こそこそとあの書斎に入り込む。今回は誰もいないようだ。


高いところにある本は取れないので仕方ないが、下の方にある本で重要そうなものを引っ張り出して読む。

『初級魔術』や『騎士道の基礎』や『絶対にテストに出る歴史』など、全体的に中学から高校レベルの本や『古代文明』や『帝王学』や『礼儀作法』など、すこし大人が読みそうなものもある。

とりあえず『初級魔術』の本を取り、見えにくいところに隠れて読んだ。

魔導師になるには魔導適正がなくてはできず、魔導適正は生まれ持った才能なので、欲しいからともらえるものではないらしい。そこは知っていた。

魔法には得意不得意があり、本能的に避けてしまうものは基本難しいそうだ。

例としては、溺れたことがトラウマなら水は無理、火傷をしたことがあるなら炎は無理といったことらしい。

属性適正があるかどうかは、隣の白紙のページに手を乗せると分かるそうだ。

もちろん手を乗せてみる。

『適正有』の文字の他に『属性適正:水、火、土、風、雷、氷、無、光、闇、聖、邪、神、』という文字の羅列が表示された。この世界の属性は12属性なので私は全属性適正者だ。

この本では全属性適正者は世界に数名しかおらず、有名な人でいうならリッシュがそうだと書かれていた。

全属性適正者は敬意を持って『オーロラ』と呼ばれるそうだ。

リッシュって本当にいた人だったのか…だとすればあの内容は確かにすごいものだ。

全属性適正者は基本的に魔導師の中では珍しいそうだ。子供の頃でも11属性が最大らしい。

そのあと簡単な属性の説明があった。

『水属性』これは言われなくてもあの水だ、大規模になると広範囲に雨を降らせたり、水圧で物を斬ったりもできるそうだ。

『火属性』これもわかるだろうがあの火だ、風と併用すると火災旋風のような竜巻が起こせるそうだ。

『土属性』大地に属する物を扱うそうだ。植物系統も使えるらしい。

『風属性』豪風からそよ風までを扱えるらしい、磨けば空を飛ぶことも、風圧で斬ることもできるそうだ。

『雷属性』電気だ、できることは少ないが、威力は高いらしい。

『氷属性』夏には重宝される属性らしい、できることは多いが、雷属性と同等ほどに威力が高い。

『無属性』なににも属さない属性。水の見た目で属性抜き何てこともできるそうなのでワケがわからない。

『光属性』暗闇を照らしたり、目くらまししたり、失明させたりが主な用途だそうだ。

『闇属性』灯りを消したり、目くらまししたりが主な用途らしい。

『聖属性』怪我の治療をしたり、疲れを癒したりなど、一般的に重宝される。強すぎると瀕死から蘇生できるらしい。

『邪属性』相手の精神を操り、相手を追い込む精神的属性だそうだ。他にも死体を操るネクロマンサーなどもこれだ。

『神属性』寿命を削る代わりに、願いを叶える力だ。

その後初級も初級な魔法が書かれており、発音をしようと試みたが、二歳児の舌では唱えられそうにない。

何か方法がないかとページをめくるとそれがあった。

『ノーモーション』と呼ばれる技術だった。


『ノーモーション』とは、詠唱を必要としないで魔法を唱える技術だ。できる者はなぜできるか分からないができるらしい。

強いイメージを持つと作りやすいそうだが、それも噂にすぎない。

魔力の流れがわかれば使えるとか、絵が得意なら使えるとか、剣術が得意だと使えるとか様々なことが書かれている。

試しに強いイメージを持ってみる。

目の前に親指の先程度の光の玉をイメージ、念じる。

しかし、なにも起きることはなかった。

絵を描いて念じてみる。やはりうまくいかなかった。

剣術は…まだ学べないので置いておく。

魔力の流れがわかれば、というやつにも挑戦するため、魔力の流れを感じてみた。

魔力は血液のように流れているもので、しばらく目を閉じているとなんとなく掴めてきた。

この流れを意識する、そして先ほどと同じものを作るようにイメージする。

目を開けて確認するが、それはなかった。

もういっそ適当に「ここに光が欲しいから光れ」と思って魔力を飛ばす。

暗かった部屋が優しい光に照らされた。

成功したのだ。


つまり、消えろと適当に魔力を飛ばすのを切ると…やはり、消えた。

これは楽だし面白いかもしれない。

しばらく遊んでいるとふと思うだけで唱えられるようになった。

魔法として使いたい時だけ発動するのでとても楽だ。


本の続きを読むと、魔力量は人によって違うと書いてあった。

魔力は使えば使うほど減るが、魔力貯蔵の最大量は増えるそうだ。

上級魔法が一発使える魔力を1として、基本始まりはみんな1から2あたりらしい。

そこから訓練を重ねていくと、リッシュのようなとんでも化け物になるそうだ。

魔力を鍛える方法は魔法を使うしかないらしい。


しかし、私はまだ2歳で移動範囲はどこも室内。

光らせたり暗くしたりはできたとしても、光や闇だけでは成長が遅いらしい。

なにか方法がないかと考えて、あることを思いつく。

無属性の魔法を唱えようとして、それを抑え込む。これを継続すれば相当の魔力を使うことになるのではないだろうか。

試しに、無属性の魔法を唱えようとしてみる。

存在感を強くするだけの魔法だが、ここにいることがばれたらマズイのでそれをすぐさま抑え込む。

うまくいっているのか、疲労感がある。

軽いイメージを持ち続けなければならないこともあり、”ながら”はできそうにない。

互いの力を高めてぶつかり合わせる。

ある時ふっとなにも考えられなくなった。

ぼーっとしてしまう。

本を読んでみると、魔力切れの症状がこれらしいと書いてあった。

魔力切れは休憩したり、糖分をとったり、遊んだりすると治るらしい。

集中力が切れた時の感覚に近いので、なるほどと思い今日はここまでにして本を閉じた。



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