表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/69

逆境に負けない心


「よお、皆さんお揃いで」


そんな声が聞こえて振り返る。

そこにはゲイルさんがいた。

そして目を見張ってみんな驚いた。

隣にさっき倒したはずの女がいたのだ。


戦闘態勢に入るが、ゲイルさんの後ろから現れたそれを見て私は絶句した。

たくさんの女、そしてその中に紛れるように一人背の高い男。


あの頃の面影からは想像もつかないほどに色あせたゴールド、生気を感じないガーネットの瞳。

アーサー兄様がいたのだ。


「俺の天下を作ろうと思ったのに、これまたすごい邪魔をしてくれたね」


ゲイルは笑う。

そしてその姿が突如変わった。

真っ黒の体に何本あるのだと言いたくなる腕、真っ黒の宙に浮かぶ翼、そして大量の目。

夢の中で見たあの神の姿の真っ黒バージョンだった。


この世界には11の精霊と1の神がいる。

神は私が夢で見たあの神で、あれ以上の存在はいない。

唯一その神が恐れた精霊が邪の精霊。


邪の精霊は神に背き、人間を喰らい、この世界の神の力を奪い、恐ろしいほどの力を手にした。

その力で、邪の精霊は神を別の空間に封じ込め、世界を意のままにした。

幾度なく神の力を持った勇者が現れても、完全に殺しきることはできなかった。


あの、魔法使いリッシュでさえも殺しきれなかった。


リッシュの大冒険の最後のページに書かれていた言葉だ。


しかし、あの邪の精霊を倒せなかった理由は、リッシュの性格にもあったのだと思う。

私は、彼のような失敗はしない。


「アーサー兄様、今助けてあげます。」


ぎゅっと精霊樹の杖を握りしめる。


「そう簡単にはいかないと思うけどな〜」


ヘラヘラとした黒い奴はある奴に指示をした。

男の後ろから出てきたのは虚ろな目をしたロイだった。


「ロイ…?」


カインはロイのその異常さに気がついたらしく、叫んだ。

ロイはその手にしていた剣で、アーサー兄様を刺したのだ。


目の前で突き破られたアーサー兄様の胸元を見つめた。

真っ赤に染まった胸元は、どこを刺されたか一目瞭然で、私は何かが崩れてその場に座り込んだ。


「彼はね、君が好きだったらしい。けれど君は友達とは言いながら相手にしなかったそうじゃないか」


真っ黒の邪の精霊が私に指を向けながら言う。

言われてみれば、ロイとも友達だったのに、カインと話している方が多かった。

でも、いや、違う。そんなことを信じてはいけない。


”大切なものはいつも心の中にある”


ロイは私のことが好きだと告白してきたことがあった。

確かに私はロイの思いを受け入れていなかったかもしれない。

でも、ロイは、だからってこんなことをするような…


「許さない」


聞こえたのはカインの声だった。

カインとロイは仲が悪かったが、カインは言っていた。

家が近所で、よく喧嘩するのだと。

だから、カインの方が実はロイをよく知っている。

カインは真っ向から邪の精霊に挑みに行った。

しかし周りにいる沢山のサキュリリスが応戦した。


私も、立つ。

勝てなければ、終わらない。


私の、大切な宝物を、殺したこと


「後悔させてあげる」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ