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下水からの侵入


次の日の朝、城へ向かう。

正面から行こうとしても絶対に入れてもらえないことは見て分かったので迂回。

この城にはいくつか抜け穴がある。

それは昔エメスト兄様がこっそり抜け出す時に使っていた道だ。

一つ目は塞がれていた。

二つ目も塞がれていた。

けれど三つ目はしっかりと開いたままだった。

悪臭のする水の横に付いた汚い道を歩く。


「よく、こんなところ、エメスト様は、みつけた、ね」

「ほんと、ね」


ここは城にあるトイレにつながる下水道。

あちこちから流れ着いた汚物がそのままドロドロと流れていくのだ。

悪臭がひどすぎて鼻が曲がりそうだ。


そんな中の一つ。長い間使われることがないトイレがある。

それはとある地下牢の一室で、牢屋の鍵が閉まらないことから使われなくなったのだ。

このトイレをエメスト兄様は改造、開くようにしてしまったのだ。


汚物が数十年前からこびりついたままになっている鉄製のはしごを登る。

登りきったところでそっと便器をずらしてあたりを確認する。

誰も、いない。


完全にどけて中に入るとあの時のままの地下牢にでた。

身体中に臭い匂いがついて嫌なので無属性の消臭をみんなにかけた。

ようやく息が吸える。


といってもこの地下牢も相当臭い。

でも先ほどよりはマシだ。


全員が出たことを確認してから便器で蓋をして、脱獄し放題の扉を開けた。

地下牢は普通、重犯罪者しか入れない場所でフルブラント王国ではあまり使われない。

ふと見たら骨と皮だけになったメイドの姿があった。

あの時、私の私物を売った人物だろうか、そう思うと少し怖かった。


「誰…?」


小さくか細い声が聞こえた。

声のする方を見ると、ピンクゴールドの髪を保つ痩せこけた女性が見えた。


「ルミニア母様!」


牢屋を見やり、すぐにわかった。

近くには弱り果てたマリーも今にも死にそうなアルフレッド父様もいた。

虚ろな母の目は私の声を聞いて楽しそうに笑った。


「あら、レアね、迎えに来てくれたの?待っててあと少しできっとそっちに…」

「母様!待ってて、今から助けてあげるから」

「レア、気持ちはわかるけど…」


私が牢屋の鍵を壊そうとしたところをリッシュが止めた。

なんで?と振り返ると、今助けても守りきれないし、なによりどこから来たかばれてしまうから。と冷静に言われた。


「助けたいならまずはボスをどうにかしないとでしょ?」

「……」


ごめんね母様、どうか死なないで

チクリと胸が痛くなったが、もう気にしないことにした。


地下牢からゆっくりと登り、城の中に潜入することに成功した。

騎士や魔法団の男がたくさんうろついているので、なるべく音を立てないように聖属性の打ち消しをかけていく。

今回のためにリッシュが魔道飴を買い込んでくれたらしく、必要とあれば5つ同時舐めができる。

ようするに、魔力切れの心配はしなくていい。


徐々に正気を取り戻す人たちから隠れながら進む。

嫌な気配は玉座の間からきているので、きっとそこにいる。

嫌な気配のする玉座の間の入り口、変なことに誰もいない。


私は迷うことなくその扉を開けた。そしてしっかりとその奥にいる女を見据えた。


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