リッシュ(エース)目線/王国の事情
王国は葬式ムードを抜け出せていなかった。
僕も抜けだせてはいなかった。
そんなある時、アーサー魔導師が突如城を襲った。
城にいたアルフレッド陛下とクリス陛下代理、エメスト皇子様、マリー皇女様、ルミニア王妃は牢獄に捕らえられ、アーサー魔導師が国王として君臨した。
僕はあのころのアーサー魔導師のイメージしかないので異様だと思った。
アーサー魔導師は人を絶対に殺しはしなかったが、どことなく虚ろな目をして何かと葛藤しているようにも見えた。
税金は吊りあがり、国民たちは火の車だった。
僕ももちろん火の車だった。
でも、国民の全員が思っていることときっと同じで「アーサー魔導師がそんなことをするはずがない」と強く思っていた。
そんなある日のこと、アーサー魔導師が倒れ、王妃と名乗った女性がこの国を支配した。
その女性は夫であるアーサー魔導師が倒れているのにもかかわらずたくさんの男性を連れていた。
仲にはあのクリス陛下代理様もエメスト皇子様もいた。
僕も一瞬ついていきそうになったけれど、それで理解した。
この事実を伝えようと冒険者ギルドに飛び込んだ時、その噂を聞いた。
「オーロラ属性の姫君って冒険者がいて、そいつのランクがSらしい」
「ありえないほど強いなその子…」
オーロラの姫君と呼ばれるその子は紛れもなく姫君で、天使とも呼ばれていたあの子だろうと思った。
最近会っていなかったから元気にしているだろうか?
あの子はそういえばアーサー魔導師と仲が良かった気がする。
あの子ならなんていうだろうか?
早く会って話をしたいな。
きっと彼女のことだからSランクになって僕を抜かして嬉しそうに笑うにちがいない。
僕のクエストを手伝うとか言い出すのかもしれない。
カインが行方不明になった話はした方がいいかな?
しなくても知ってるかな…?
僕は結局ギルドの人にこのことをいうのをすっかり忘れてしまい、そのまま思い出すことはなかった。




