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生きて帰ると決めたから


あれから1年と4ヶ月経った。

モンスターもどんどん強くなったが、その度私たちは連携し、突き進んでいた。

生きるか死ぬかでむざむざと死ぬことだけはしたくなかった。


季節は夏になり、樹海の中はとてつもなく暑い。

ただでさえ足場が悪くて疲れやすいというのに、どんどん体力が削られていく。

そういえば熱中症なんて恐ろしい病気があったなと思い出したので、こまめに水分を補給させ、日陰で何度も休ませた。

このぐらい暑いとクリス兄様の誕生日を思い出した。

兄様の誕生日は8月で、これぐらい暑くて、いつもぐったりした状態で誕生日を祝った。

ケーキも日持ちしないのですぐに用意されて、でも用意された時にはすでに生クリームが溶けていて、それでもクリス兄様は嬉しそうに食べていた。

つい一年前までは普通に見れていたものなのに、なんだかとても懐かしく思えた。


休憩を終えては歩き、そしてまた休み、そして歩き…

終わりのない森を行く。

途中カインがこっちの道であっているのかと不安そうにしていたので無属性魔法で試してみたらあっていたのでそのうち森の外に出れるはずだ。


道中何度かエンペストスピアローに遭遇したが、気配を消して進み、衝突を回避した。

フォメットは大切な食料なので丁寧に討伐し肉を切り分けて焼いて食べた。


あの獅子龍後からケイトとクシュシュが妙に仲が良く、多分告白してOKをもらえたということなのだろうと思っていた。

二人が結ばれ、それを祝福するには全員で帰らねばならない。

動かない足に鞭打って歩き、歩き、歩き


夜になったので眠った。


『聞こえるかい?』


驚いてあたりを見渡した。


『あのね、レアに伝えなきゃいけないことがあるんだ』


この声はいつも夢でしか見ない神の声だった。


『帰っては、いけない。アーサーにも会ってはいけない。アルフレッドにも会ってはいけない』


なぜ、そんな酷なことを言うのだろうか。ここまで頑張った私に諦めろと言っているのだろうか。


『絶対だ』


そんなことを言われても止まる気はさらさらなかった。

無視して眠った。


次の日の朝になり、再び歩くと真っ赤に燃え盛るウサギが立ちはだかった。

火炎兎と呼ばれる獅子龍と同等ほどの力を持つ火の精霊王だ。


こちらを攻撃するわけではなく、ただ立ちふさがった。

私は四人で力を合わせて討伐した。


『ダメだ』


まだいたのか。

しばらく行くと再び立ちはだかった。

水流馬と呼ばれる精霊王で、こちらも四人で戦い、勝つ。


『止まってくれ』


今度は電雷鹿だ。これもまた四人で討伐する。


『……』


さらに土蛇のようなものまで現れたのでこれも討伐した。


次から次へとやってくる精霊王に私は”絶対に負けない力”を駆使して挑んでいた。

胸が苦しいのはきっと魔力切れが近いのかもしれない。


10体討伐し終え、先に進むと虹色に輝く龍がいた。

その龍はどこかとても寂しそうで、それでも遮ってきた。

もちろんそれも討伐した。

知らないうちに私たちは相当強くなっていたのかもしれない。


『そんなに、帰りたいの?』


もちろん、帰りたい。

帰りたくないはずがない。

たとえ死んでいることになっても、帰りたい。


歩きに歩いて、ふと見ると森から抜けていた。

少し遠くに懐かしい国旗が見えた。

フルブラント王国の国旗だ。


私たちは生きて帰還したのだった

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