実在した!?
翌日になると空腹はすでに限界だった。
あんな小さく硬いパンでも今は欲しいと思う。
魔の樹海にいるモンスターはたべれないような毒モンスターや硬いのしかおらず、生きていくことが難しい。
そんな森の中で丸キノコを見つけた時は歓喜のあまり我を忘れるところだった。
丸キノコ二つを四人で等分して平らげ、少しだけ飢えをしのいだ。
いつまでたっても抜ける気配のない森をひた歩く。
疲れたら休み、夜になれば眠り、朝になれば歩き、また食料を探し、水を求め探し、過酷な道を歩んだ。
サキュリリスが意外と食べれそうと思うほどに思考が疲弊し、殺し終わって肉を焼いたあたりでみんな我に返って慌てて亡骸を埋めたが、人は疲れると何をするかわからず怖い。
「でも、食べてたらお腹は満たされていたかもしれないですね」
「それはそうだね」
あそこで我に返ったことを後悔…なんて気分になるあたり相当キてる。
するとちょうどいいところに牛を発見した。
牛はなんだか大きいがそこはいいだろう、どうどうどう、私たちのご飯になってもらおうか。
死と生の瀬戸際を生きる私たちは、こいつを殺せなかったら餓死するという思いが一致したのか、今までにないほどの連携を取り、追い詰め、殺した。
でかい牛肉をゲットしたので切り、焼き、食す。
肉は硬くて味もないが、久々に食べた肉は美味しかった。
満腹になるまで食べ終えて、残りの肉を無属性魔法で干し肉にし、状態保存魔法をかけてその日は眠った。
次の日の朝思考がまともに戻ってきた時、私たちは牛ではなくてSランクモンスターであるフォメットを討伐して、さらには食べたということに気がついた。
四人で倒せるほど弱いモンスターな訳ではないのだが、きっとあの時の私たちは相当だったのだろう。
私たちは干し肉を1日一枚と決めてひた歩いた。
服も肌も細い枝や石に引っかかってボロボロになり、傷だらけになった。
お風呂に入っていなかったこともあり、匂いも気になりだした。
トイレは奴隷商人の馬車の時同様、その辺で用を足した。
もちろん誰かが襲われても困るので見張りつきだ。
しかし、女の子は女の子がみはる。これだけは違うところだった。
お風呂には入れないが、聖属性魔法で綺麗にすることはできるので私とクシュシュがそれぞれにかけて綺麗にした。
歩き出して数週間、まだまだ道はある。
馬車で半月なのだから、歩きでは一年かそれ以上かかる。
でも帰りたいなら歩くしかないし、生きたいなら勝つしかなかった。
歩きに歩いていたある日、高い崖が現れた。
その高さはは100mはありそうで、人の手で登って行くのには限界があった。
迂回できないかと歩いてみたが、どうやらこのあたりにずっと崖が続いているらしく、登るしかほかなさそうだと見上げていた。
「ねえ、あれって洞窟かな?」
ケイトの視線の先に目を持って行くと、そこには確かに洞窟らしきものがあった。
「上り階段になってますね」
カインが確かめるとそう言った。
上り階段ということは上に登れるという訳で…。
こんなところに人工物とは、すごいことをする人もいるものだ。
洞窟に入り、異様に整った階段を上る。
洞窟にはところどころにロウソクが付いており、歩くとそのロウソクに火が灯った。
ケイトがつけてくれているのだと思う。
しばらく登ると踊り場にでた。
踊り場には扉が一つあり、開けるとそこは綺麗に整ったままの寝室があった。
「……ここ見覚えがあります」
カインがそういうのでしばらく見渡す。…私も見覚えがある。
「リッシュの師匠の家?」
魔法使いリッシュは師匠がいる。その師匠はこんな感じの崖の中に家があり、一階が寝室で二階がキッチン、三階がリビング、四階が書斎、五階が客間となっているはずだった。
なんでこんなに使いにくい家を作ったのかはわからない。
崖の中に住む俺ってかっこよくないか?と自分に酔っていただけかもしれない。
リッシュの師匠の家が実在するのだとしたら、リッシュも実在した可能性が高い。
今は確認は後にして、ふかふかのベットに倒れこむ。
そして私たちはそこで熟睡した。




