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カイン目線/獅子龍と覚悟



フルブラント・B・フーマリア・カイン=ローグゼス。これが私の名前です。

つい一週間ほど前に私達は魔道学院生徒と協同のキャンプに来ていました。

諸事情があり、リンシャント帝国に流れ着いてしまった私たちは、フルブラント王国に戻るべく奴隷商人の手を借りて道無き道を移動していました。

そしてちょうど今さっき、目を見張るような出来事が起きました。


まず一つ目が、レアテルオスと呼ばれる光の獅子龍と遭遇しました。

レアテルオスは光の精霊王として崇められ恐れられている純白の獅子のモンスターです。

ランクはSSSとSをつけまくっても足らず、神級ランクとまでつけられた恐ろしいほど強いモンスターです。

世界には1体しかいないと言われていて、どこにそれが存在するのか見当もつかないモンスターです。

それに遭遇しました。

運がいいのか悪いのかわからないところです。


私の他にレアさんとケイトさんとクシュシュさんがいたのですが、私を含めた四人の実力で敵う相手ではありません。

とっさに護ってくれたレアさんの魔力も、もう一度攻撃がきたら防ぎきれないほどに消費していたと思います。


「母さんに会いたかったな」


突然遠くを見つめながらケイトさんが言いました。


「どうせ最後だから、言うね、私、ケイトのこと好きだったの」

「えっ」


泣きながらクシュシュさんが愛の告白をしていました。

皆、諦めていたのでしょう。

かくいう私も諦めていました。

勝てるはずがない相手に出会ってしまったのですから。

だから私も、後悔だけはしたくないと意を決して口を開きました。


「…レアさん実は」


次に私が言おうとした言葉よりも先に、レアさんは落ち着いた様子で振り向いてきました。


「まだ死ぬとは決まってないから諦めないで」


死ぬと決まっていないと言われても、なぜそう思うのかが私にはわかりませんでした。

諦めた方が賢明と言ってもおかしくない相手に遭遇したのになぜ…


「絶対に、死なせない」


レアさんがそう言い放ち、一瞬でこの空間にただならぬ空気が立ちこめました。

それは全てレアさんから発せられるもので、覇気というかオーラというか、とにかくただならぬものでした。

その後のことが二つ目の目を見張るような出来事でした。


まずどうしたらそんな強度になるのかと思うほどの障壁が展開され、獅子龍の一撃を悠々と防ぎきりました。

ついでこれもまたどうやったらそんな強度になるのかと思うほどの純白の鎖が獅子龍を捉え動きを封じました。

そして最後に巨大な純白の槍を召喚し、目にも止まらぬ早さでそれを獅子龍に貫通させました。

トントントンとことが進み、まるで紙のようにいともたやすく獅子龍は光の粒子になって消えてしまいました。


一体何がどうなって、とレアさんを見ると苦しそうに胸元を抑え、ふらりと気を失ってしまいました。

慌てて抱きかかえたレア様は血の気がなく、どことなく生気を感じられませんでした。

唖然としていたクシュシュに急いで来てもらい、聖属性の回復をかけてもらいました。

ケイトもようやく我に帰り必死にレアさんに声をかけていました。

しかし目覚める気配はありません。

今は起こさない方がいいのかもしれない。


ふと気配を感じて見ると、純白の鎧に青い宝石をつけたゴーレムが4体ほど召喚されていて、あたりのモンスターから私たちを守ってくれていました。

一体何がどうなっているのか本当にわかりません。

夢でも見ているような気分でした。


回復を施し続けてクシュシュさんが魔力切れを起こしてもまだ目が覚めないレアさんの額にキスを落としました。

まさか、死んでしまうだなんて言わないで欲しくて。

どこかでお姫様は王子様のキスで目覚めるという本を読んだことがあったと思い出して、私が王子様かどうかはわからずとも、目覚めて欲しくてキスを落としました。


不安に苛まれ、渡したち三人はレアさんを囲み、待ちました。

待っている間にクシュシュさんは泣きつかれて眠ってしまいました。

ケイトさんも同じで、気が付いたら寝てしまっていました。

私はどうしても寝れなくて、不安でレアさんを抱きしめました。

抱きしめて、泣いて、気が付いたら朝になっていました。

その時、ふと見たら空をぼうっと見つめるレアさんと目があって、レアさんがにっこり笑ってくれたのです。

レアさんが生きていたことが何よりも嬉しくて、眠気など一気に吹き飛んでしまったのです。


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