商品生活1日目
次の日、ガタガタ揺れる馬車の中で目を覚ます。
私はカインに寄りかかるようにして眠っていたらしく、カインにはすこし悪いことをした。
しかしカインも私に寄りかかって寝ていたらしく、お互い様だと笑った。
手枷はすでに外されており、代わりにゆるく首輪をつけられていた。
食事は硬くて小さいパン一つ、水は普通に綺麗な水だった。
奴隷がトイレに行く時は管理者に言い、馬車の外で見守られながらすることになるそうだと聞いた。
それはなんともこう、嫌だ。
しかし、逃げられてしまったら困るからそういうことになっているらしい。
あとは安全面で考えると、戦えない奴隷だけを外に出しておくのが危険なんだとか。
ご飯を食べたあとすることも無いので目を閉じる。
肩を好きなだけ使っていいとカインが言ったので、遠慮なく肩に寄りかかる。
私たちの武器は取り上げられることなく手元にある。
しかし使うこともないのでカインも剣を腰につけているわけではない。
私は自分の杖を握りしめて、昔の私を思い出していた。
私を抱きかかえて遊んでくれたアルフレッド父様、おめかしの時に張り切っていたルミニア母様、絵本を読んでくれたクリス兄様、ドタバタと城を走り回って遊んだエメスト兄様、私に懐いてにこにこしてたマリー、私の恩師であり私のそばにいてくれたアーサー兄様。
全部、私が突き放して置いてきてしまった大切な人たちだ。
今回のことも別に私が悪いわけではない、運が悪いとしか言いようがない。
あのことをリトちゃんに話した時「古代文明が残ってたんだね~」なんていって、セイダーさんが確認した時にはすでに壊れていたそうだったので、運が良かったとも言えるらしい。
途中で壊れてしまったら変な空間に半分だけ残って死ぬかもしれないと言われた時は血の気が引いた。
運だけが悪い。
今度もしまた異世界転生する機会があるのなら運の良さをもらおう。
ふわりと頭に手が乗せられた。
気になってみるとカインがそっぽを向きながら私の頭を撫でていた。
話しかけたらやめてしまうかなと思ったので再び目をつぶってそのままにしておいた。
優しくて、私よりすこしだけ大きいカインの手になんだか救われた気分だった。
ガタガタ揺れる馬車が時折止まり、護衛の冒険者が何かと戦うような音が聞こえ、再びガタガタと動き出す。
特に大きな物事もなく、長い時間揺られた。
途中どうしてもトイレに行きたくてもじもじしていたらカインに報告されてしまって仕方なく外で用をたした。
トイレまで運べるわけではないのだから仕方ないとカインには言われたけれど、それでも恥ずかしい思いぐらいはある。
こういう時男の人は羨ましい。
しばらくして夕飯だと言われてまたあの硬いパンを渡されて、削り食べる。
そのうち馬車も止まり護衛についていた無属性魔法使いが障壁を張って眠った。
私たちも眠った。




