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Sランクの闘牛


あれから一週間程度、魔の森キャンプがやってきた。

この魔の森キャンプは魔の森で自分ができることを身につける実践授業の一環だ。

私は魔法を使わないで今回を生き延びる。


今回のキャンプは10歳になったけれど男女混合。テントもその班ごとに一つ割り振られる。

噂によると、これで婚約者が見つかるケースもあるそうだとか…。

私の学院班にはロイとカインがいて、もう一人の女の子はあまり話さないアリアさんだった。

フルブラント・B・ドーラディス伯爵家の娘だ。

対する魔法学院の班はクシュシュさんとケイトくんだった。

クシュシュさんは水と聖属性が得意の女の子、ケイトくんは火と光属性が得意な男の子だ。


一緒の班でまずは互いに挨拶を交わす。しかしクシュシュさんもケイトくんもなんだかぎこちない。

一方こちらはなんだか威圧的…


「初めまして、私はフルブラント・S・セレシアン・レア・ドミニクです。短い期間ですが宜しくお願いします」


私がにこやかに挨拶をすると相手はより強張った。

うーん、和やかにキャンプを楽しみたいなぁ…


初日はカインと私で食料調達。

クシュシュさんとケイトくんで料理をする。

出来上がった料理は素材のこともあり、そこまで美味しくはない。

でも別に食べれないという訳ではない味だった。


けれどアリアさんは一口食べたら「まずい」と小さくつぶやいて残りを食べなかった。

ロイもなんだか嫌そうにしながら食べていた。

私とカインはそんなにまずいかな?と不思議に思いながら平気で平らげた。

ケイトくんはとても悔しそうにロイとアリアさんをにらみつけていた。


夜、ケイトくんとクシュシュさんに任せて先にロイとアリアさんは寝てしまった。

カインと私はクシュシュさんとケイトくんに時間になったら交代するから起こしてくれと言って眠った。


しばらくして起こしにきたクシュシュさんと交代し、ケイトくんにも寝てもらった。

私はカインを起こして二人で見張りをした。


他のテントの中には無属性がいるのか誰も見張っていないところもあった。

この森はそこまで危険では無いけれど、寝泊りとなるとやはり不安だったりもする。


しばらく見張っていると夜明けがきた。

光が森に溢れ出してとても幻想的だった。


しばらくするとクシュシュさんとケイトくんが起きてきて、今日の日程を話し合った。

そして今日はケイトくんとカインが食料調達に向かい、私とクシュシュさんで料理を作ることになった。

他のテントでは魔法学院生だけが起き、掃除やら狩りやらを一貫して行っていた。

昼過ぎくらいになって他のテントの学院生たちも起き出し、ロイとアリアさんもようやく起きた。

その頃には私とクシュシュさんで料理を作り終えて配膳した。

私が作った料理は昨日のクシュシュさんのより美味しくなかったが、なぜかロイもアリアさんも残さずに食べた。


二日目は班で森の散策をする。

今現在の森を把握し、森の奥にある場所から今回のメインターゲットである学院の先生を探すのだ。


私とカインは気にせず散策の作戦を練るが、ロイとアリアさんはどうやら行きたく無いようだ。

クシュシュさんとケイトくんだけで行けばいいとでも思っているのだろうか?


私とカインとクシュシュさんとケイトくんの四人で散策に向かう。

途中厳しい道などもあるから気を引き締めていく。

危険では無いとはいっても危険は付き物だ。


道なき道を歩き、小川を見つけた。

持ってきた大まかな地図に川を書き足す。

その小川を辿ると少し山になったところに洞窟を発見した。


「洞窟が中心ってことは無いよね?」

「ないとは言い切れないね」


四人でどうするかを話し合って洞窟に少しだけはいってみた。

あたりが暗いのでケイトくんの光がとても役に立った。


そんなに変な道のりではなかったのでしばらく進む。

奥に変なボタンのようなものがあったらしいのだが、ケイトくんが押しても何も起きなかったそうだ。

まあ洞窟だもんね。

特に何もないから帰ろうとすると、地面が揺れた。


しばらくすると揺れは治まったので外に出る。

外に出るとそこは先程よりも鬱蒼とした森だった。


「あれ?こんなに深い森だったっけ?」

「うーん…小川もあるし同じなのでは?」

「さっきよりコエーぞ…」

「変なの押すからだよぉ!」


とりあえず森を歩くが…


「シッ…!静かに」


カインの声でみんなが息を潜め木の陰にしゃがみ、隠れる。

見るとそこには先程の森にいるはずもないモンスターがいた。

Sランクのフォメットだ。

牛のような見た目だが、暴れると山が砕けると言われているとんでもない化け物だ。

あまりのことに私もカインもケイトくんもクシュシュさんも血の気が引いていく。

思わずケイトくんが後ずさる。


パキッと乾いた枝の音が聞こえた。ケイトくんが枝を踏んでしまったようだった。

ぎらりとフォメットが睨みつけるように振り返った。

そして見つかってしまった。


速度で勝とうと思ったら無理だ。だからと言ってここでじっとしてたら絶対に勝てない。

私は隠そうと思っていた魔法を解き放ち、障壁を作った。

障壁にフォメットがぶち当たり、数秒耐えてから砕け散った。

また障壁を作る。


「レア!抱えてやるから障壁頼んだ!!」


カインがガバッと私を抱えて走り出した。

ケイトくんもクシュシュさんも続いて走った。

私は後ろを見ながら障壁を張りまくった。

道中クシュシュさんの体力がもたなくなりケイトくんが抱えて走った。

私も魔力切れにならないようにと気を使いながら絶対に諦めなかった。


しばらく逃げると奴は見失ったらしく、遠くでうろうろして匂いを嗅いでいた。

私たちはそのまま一目散に森から逃げ出し、なんとか一命をとりとめた。


近くにあった大岩の陰に身を潜め、無属性魔法で気配を消す。

フォメットは一瞬森の外に顔を出したが、匂いを辿れなくなったのか諦めて森に戻っていった。


四人の肩から力がぬけ、カインとケイトくんは額に汗を滲ませていた。

私もフラフラの頭を隣のカインの肩にのせ休憩する。

クシュシュさんは怖かったのか泣き出してしまって、ケイトくんが慰めていた。


少し休んでからあたりを見渡すと遠くに壁が見えた。

もしかしたら案外王国が近いのかもしれない。

けれど今日はここで野宿をするのが賢明となり、私は強く強く障壁を強化し、四人で丸まって眠った。


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