違法ではありません
次の日も私はやはり冒険者ギルドに向かった。
ただ私だとばれてしまうと良くないので魔法を使って姿を変える。
これは無属性の魔法で、ノーモーションで使った。
もちろん人目のないところで使った。
そのまま冒険者ギルドに行くとカインはいなかった。
カインも相当怒られたのかもしれない。
代わりにリッシュはいたので話しかけた。
「こんにちはリッシュ」
「…?」
姿を変えているからなのかキョトンと知らない人に話しかけられたみたいになっているのでカードを見せた。
見せるとおどろいてこちらをジロジロと見てきた。
「変装したの。ばれるとダメみたいだから」
「大変なんだね」
結局バレることはなかったけど、やっぱりアーサー魔導師様はここを見張っていた。
クリス兄様にはしっかり伝えてあるので平気だ。
「今日はカインきてないのかな」
「いるよここに」
見るとフードを深くかぶった子がおり、それがカインだった。
その手があったかと私は髪留めで髪の毛を束ねてから同じようにフードのついてるローブを買ってくるといってギルドを出た。
やっぱりアーサー魔導師様はそこで見張っていた。
すこし困ったような不安なような顔をしていたが知らない。
服屋で銀貨1枚ほどで売っていた魔導ローブを鑑定し、能力を確かめた後購入した。それを着込み再び冒険者ギルドにきた。
その時アーサー魔導師様はもういなかったので気にせずギルドに入った。
「お待たせ、どうかな?」
茶色の髪を後ろで三つ編みにし髪留めで止め服装は銀貨で購入したローブを羽織り、その下には子供用の革鎧と学校で使う剣を下げていた。
「これならわからないでしょ?」
「一瞬わからなかったけど天使だよね?」
「うん」
わからないと聞いて安心したので良しとした。
「じゃあ今日はせっかくEランクになったカインがいるからEランクのクエスト受けてみようよ!」
私が言うとリッシュもそのつもりだとニヤリとし、カインもニヤリと笑った。
まるでいたずらをしている気分だ。
「そういえばリッシュ勉強はいいの?」
「良くないけど、僕がいた方が問題は何も起きないし何より勉強つまらない。」
子供なんてそんなもんかと思うし、リッシュが居るなら安心だろうと思うので甘えてついてきてもらう。
今回はまた採取だけれど森の奥の方にある龍笛という植物の採取だ。
龍笛は龍の形をしている葉っぱで、息を吹くと音がなる。
この音が子供を寝かしつけるのにいいとかそういうジンクスで売れるわけではなく、歴とした薬草なのである。
主に風邪薬に使用されていて、漢方薬か何かに使われる。
しかし森の奥なので冒険者しか行くことができない。
見つけて売ればそこそこのお小遣いにはなるので稼ぐ時には丁度いいそうだ。
まあ所詮”お小遣い”なのでリッシュにとってははした金らしい。
お小遣いならきっとお菓子は帰るだろうから欲しい。
魔の森に向かうと、今まで行っていた魔の森ではなくて別の魔の森だった。
ついこの間あんな事件があったばかりなのだから行けなくて当然だ郎とは思う。
リッシュに見た目を教えてもらってカインと私も手分けして探す。
龍笛は案外すぐに見つかりあっさりクエストをクリアしてギルドに戻ってきた。
三人で座ってジュースを飲んでいると、報酬を受け取った。
しかし、私には報酬がない。
不思議に思って聞くと、国王命令が下っているという
「……」
ひどい話だ。
私が冒険者をやるのをわかっていてこの仕打ちをする。
きっと私が諦めるだろうと思ってやったことなのかもしれないが、私は逆に絶対にやめないと心から誓った。
一度ギルドから出て、髪型服装を魔法によって変化させて再び入る。
冒険者カードを再び登録に向かい、レアのみを記入した。
出来あがった新しいカードで銀行口座を作り、そっちに金額を預けた。
魔法機器で預けたので怪しまれることもない。
ギルドでFからEになるクエストを先に受け、丸キノコをごっそり集めてEランクにすぐに上り詰める。
「これでいいよね?」
「いいんじゃないかな…?」
「私も別に何も悪くないと思います」
別に冒険者カードを数枚持ってはいけないというルールはない。
ないなら姫君じゃないカードを作ってこっちでやればいい。
姫君のカードは家に置いておけばいい。
そうすれば冒険はしてないんだなと思われるはずなので別にそれでいい。
クリス兄様に言うのも今後は避けておこう。
兄様ならきっと言わないとは思うけれど、それでも保険のためにだ。
「今日からわたしの冒険者ネームは姫君だからね!」
「姫君って…」
「別に嘘じゃないもの」
今のわたしはくすんだ茶色の髪を二つ結びにし、それをさらに三つ編みにして髪留めで留めていた。
瞳も茶色で、わざと黒縁のメガネをかけていた。もちろん伊達メガネだ。
明らかに姫君には見えない見た目でここにいる。
「でも絶対ばれないでしょ?」
「絶対ばれない」
「リッシュに同意」
そして絶対にばれないであろう冒険者生活を再びスタートさせたのだった。




