冒険者カード
とうとう四月がやってきた。
クリス兄様は上位学院に入学、エメスト兄様は学院5年生になり、私は晴れて学院1年生になった。
マリーは3歳になったのでお抱え教師がお勉強を開始したようでつまらなさそうにしていた。
学院の入学式は華やかで、この学院が上位貴族学院だと知るのはすぐだった。
学院では1年~3年の間に小学生レベルの問題をこなし、4~6で中学レベルをこなす。
私にとってはそこまで杞憂なことではないので遊んで暮らせると思う。
入学の際、自分はこの学院の制服に身を包み代表挨拶をした。
だって王族ですもの。
入学したのでアーサー兄様とはしばらく会えなくなる。
入学後は各クラスに行き担任の教員の指導のもとこの学院のルールを学ぶ。
学んだ後は挨拶の練習。
そしたら初日は解散だった。
両親は見に来てくれていたが、その後は先に帰ってしまうのでこの後が自由だ。
寄り道はしても構わないが遅くならない程度までといわれている。
お小遣いは金貨10枚。これは子供のお小遣いにしては多すぎだった。
一般的にお菓子は銅貨5枚で買える。お弁当は銅貨50枚で買える。洋服も銅貨500枚もあれば買える。
金貨10枚は何が買えるかって?答えは日当たりのいい家が買える。
しかも家なら3枚程度で買える。
銅貨が10円なら銀貨は10,000円、金貨が10,000,000円だ。
そんなとんでもない大金をぽんとおこずかいでくれた。いや、今日中で使えなんて言ってるとは思えないがでかすぎる。
というか金貨を両替してくれるところなんてどこにあるんだろう…
迷った私は銀行に直行した。
けれど、銀行を利用するには身分証明書がないといけないらしい。
身分証明書は何歳からでも登録できる冒険者登録カードか、学生証が必要らしい。
学生証は今もっていないので仕方ないが別の手段である冒険者登録をするしか他なさそうだ。
冒険者ギルドにやってきた。
屈強な男や女たちが酒を飲み交わしながら話し合う賑やかな場所だ。
私がここにやってくると店の中にいた人々は突然押し黙った。無理もないと思う。
自分で言うのもなんだけれど可憐でいたいけな少女、しかも貴族学院の1年生制服を着ている。
場違い甚だしい。
しかし私は身分証明書が欲しいのだ。
登録とかいてあるカウンターのところへと向かう。
「登録したいんですけど、お願いできませんか?」
「え、あ…はい!登録ですね?」
ギルドの女性が慌てて登録用紙をて渡したので綺麗に文字を書く。
職業は学生にチェックを入れて名前は包み隠さず本名を記入、ネームにはあだ名をいれろとあるので何かあったかと頭をひねり天使と入れておいた。間違いじゃない。
ギルドの女性に手渡すと苗字でさらに驚き、そして私のあだ名で笑った。
「登録完了しました。これが冒険者カードですお確かめください」
手渡されたカードには姫君と書かれており、そういうあだ名かよと悲しくなった。
でもこれで銀行が作れるようになった。
「ありがとうございました」
ギルドの人に頭をさげると銀行に直行した。
カードを渡すと魔法機器に通されて個人情報が登録される。
冒険者カードは普通で出所がわからないからと思われそうだが、冒険者は肌身はなさず持つものなので身分証明にもなるのだとかなんだとかで重宝されるのだ。
銀行の口座を作ったので金貨を預けて銀貨5枚だけ引き出す。
ようやく安堵の息を漏らした。
そろそろお城に帰らないと。
誰かに頼るわけでもなく徒歩でテクテクと城へ帰り、初日の感想を母様と父様に話して今日を終えたのだった。




