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やっぱり20歳は超えて見えます


アーサー兄様が成人した。

成人式は年が明けてすぐに行われるのだが、同い年であるはずの新成人たちがアーサー兄様を見て驚愕の表情を浮かべていた。

そして今日もまたガラスのハートが傷ついていた。

新成人は今日だけはド派手な衣装を身にまとい、自分の存在を強くアピールする。

普段は無彩色か紺色のような衣装しか着ないアーサー兄様も今日ばかりは着飾っていた。

クリムゾンレッドのジュストコールで普段はかぶらない帽子も合わせてつけていた。

髪型はもちろんのこと三つ編みだ。

私は周りの成人たちを見て驚いていた。

背丈が160cmで、まだ成人したばかりだというのに貫禄のある腹をしているのだ。

もちろん、上位貴族の中には痩せている人もいるが、背丈が160cmちょっとなのは変わらない。

女性も140~150程度で全体的に低い。

今までアルフレッド父様やルミニア母様を見ていたから気が付かなかったが、どうやらこの世界は背が低いのが普通らしい。

背が高いのは成人を過ぎた人に多く、だからアーサー兄様は勘違いされていたのだと理解した。


アーサー兄様と同い年だということが嬉しかったのか、これでもかと女性がアーサー兄様を誘っていた。

もちろん成人式では無礼講。

身分の上下は関係なく行われるので、新成人はみんなタメ語だった。

誘われたアーサー兄様は優しく断っていたが、結局ノってしまい楽しそうにおしゃべりをしていた。

なんで私がここにいるのか、それは私が王女だからだ。

成人式は首都ハウトディアでは城で行われ、アルフレッド父様から激励の言葉がかけられる。

私たち王子はその式典の最中いなければならない義務があるのだ。

座って見ているだけの義務があるのだ。


もちろん警備はかなり厚く、成人している魔法団の方と騎士団の方が目を光らせている。

王家暗殺なんてのはありえなくないからだ。


この成人式で意気投合し、結婚する人もたくさん出るらしい。

アーサー兄様にも素敵な婚約者ができればいいなとはなんとなく思う。

やきもちしないか、といえばする。

だって今までずっとそばにいてくれた兄様だから。

誰かが奪ってしまって会えなくなるのは寂しいのだ。

でも、そんなのは身勝手な独占欲だ。

だから素敵な婚約者ができたら絶対に祝福すると心で決めていた。


でもまあ、目の前の光景を見る限り先のことになりそうだとため息をついた。

アーサー兄様はモテすぎるのだ。

モテモテなのはいいことだが、モテすぎると婚約しましたなんて言ったらそれこそ大問題で人が死にかねない。

アーサー兄様は憧れでありアイドルなのだろう。

あ、ちがう、魔法団トップだった。


アーサー兄様たちのお祭り騒ぎが落ち着いて何組かのカップルがバルコニーや中庭でおしゃべりを始めた頃、私はアーサー兄様のところに行きお祝いの言葉一つでもかけようとした。

が、やめた。

アーサー兄様が綺麗な女性と仲よさそうに話していたからだ。

もしかしたらこの先この女性が奥さんになるかもしれない。

そう思うと私は割って入ろうとは思えなかった。


「あら、レアいいの?お祝い考えてきたんでしょ?」


無言でルミニア母様の元に戻って隣に座った。

なんとも言えない複雑な気分だった。

どこか信じられない思いもあいまってか、綺麗な人だし優しそうだけど許せなかった。

アーサー兄様が変な女に捕まらなきゃいいけど…


「…」


そんな微笑ましいものを見るような目で見ないでくださいルミニア母様!

嫉妬とかアーサー兄様に恋してるとかそんなんじゃないんですってば!

ただ!長年の泥沼人生で鍛えられた勘が危険な奴だって思ってるだけだってば!


「…ふふ、やきもちか?レナ」


アルフレッド父様までそんなこと言い出すし!

ふうっと息を吐いてアーサー兄様の隣の女性を見つめた。


「なんか、嫌な女性だったらアーサー兄様が大変だろうなと…」

「あら、そんなこと考えてたの?」

「アーサーなら平気だろう、安心しなさい。」


そうか、確かにアーサー兄様なら平気か、ダークスピアローを素手だし…

そう思えば別に不安だとかそんな風には思わなくなった。

でもやっぱ少しだけ寂しかった。


結局お祝いの言葉は次の日になっても言わなかった。

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