誕生日プレゼント
6月になったとき、私はしっかりと覚えていた。
何を?アーサー兄様の誕生日を、だ。
誕生日を迎える前にアルフレッド父様とルミニア母様に言って買い物に連れ出してもらった。
忙しいから二人はついてこれないけれど、護衛とメイドさんが付いてきてくれるそうなので安心だ。
アーサー兄様がどんなものが好きだとかはわからないけれど、何かあげたかった。
あれこれ悩んでいると、メイドさんが花なんてどうだろうかと言ってくれた。
お花か…
ふと花言葉何てものがあったりするかを聞いてみると、あると返事が返ってきた。
「例えば薔薇は愛の告白で使ったりしますよ?」
「そうなんですか!」
「青い薔薇は奇跡を意味するなんて言われていたりしますし…」
ということは、きっと誕生花もあるなと私は思った。
聞いてみると案の定誕生花も存在した。
もう振り返らない!なんて思ったけれど、昔いた世界にもあったなあと懐かしく思う。
誕生花をまとめている本を一冊買い、パラパラとめくって花を探した。
するとこの世界では愛の告白として使われる薔薇が誕生花だった。
「…」
「…」
メイドさんと私は悩んだ。
薔薇をプレゼントするというのは果たして平気なのかどうか、と
私はまだ4歳だからその気だとは思われないだろうが、その気だと思われた時が妙に恥ずかしい。
誕生花以外で何かにしようと思うと、振り出しに戻ってしまうので諦めたくない。
「でも平気ですよ、だってまだ子供ですもの…」
「そうですよね」
なんて思って、そういえば自分の誕生花は?と調べるとまた二人は固まった。
「…」
「…」
私の誕生花は白い薔薇、薔薇つながりで運命を感じそうだ。
こうなると薔薇をプレゼントするのはとっても重くなりそうだと確信する。
「赤い薔薇のデザインがされた何かにしましょう」
メイドさんが真剣な面持ちでいうので頷いた。
生花はちょっと重いし世話も大変だ。
あれこれメイドさんと話し合った結果、薔薇の装飾が付いた金属の髪留めにしようという結果になった。
アーサー兄様はよくこの髪留めを使うからもらっても困らないだろうという見解だ。
後日、アーサー兄様の誕生日にその髪留めをプレゼントした。
薔薇の模様が入っていたけれど、デザインが綺麗なものを選んだおかげか気にもとめていないようだった。
後でそれが誕生花なんだよと教えると嬉しそうにしてその場で髪留めを付け替えてくれた。
生花にしなくてよかったと心底思った1日だった。




