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パーティでの事件


妹のマリーが1歳になった。

私はルミニア母様とともに盛大におめかしをする。

私のシルバーの髪は毎日丁寧にメイドさんがお手入れしてくれているおかげでツヤツヤだ。

ウルトラマリンに空色の薔薇の飾りがついたミカドシルクのドレスを着、頭にはやはり青色の薔薇の髪飾りをつけた。

そしてマリーも今日はおめかしをしていた。

マリー用のドレスは私と似ているもので、母様のお揃いを着せたい思いが強く出たものだと思う。

マリーはまだこれから起こる事を知らないのかとてもご機嫌だった。

あの日のように父様がイベント用の国王服になってバルコニーで待機していて、私もクリス兄様もエメスト兄様も母様たちの少し後ろで待機する。


「フルブラント・S・セレシアン・マリー第四王子が誕生なされた」


下に集まる国民に笑顔を振りまいていた時にそう聞こえた。


お披露目が終わったら誕生日会を開催した。

最近は貴族もお城も忙しくパーティを開く余裕がないが、こういう時だけは仕事を休んで楽しんでいる。

ダンスのレッスンは数ヶ月前に休暇を終えたお抱え教師に教わり、そこそこ踊れるようにはなっていた。

今日は私の社交ダンスデビューでもある。

ちなみに踊る相手はエメスト兄様だ。

理由はクリス兄様は踊った事があるが、エメスト兄様はないから。

エメスト兄様も社交ダンスデビューなのだ。


兄様と手をとって踊る。

ワルツのリズムでステップを踏む。

兄様はたどたどしいながらもしっかりとリードしようとしてくれていて、将来が期待できるとなんとなく思った。

私はというと、4歳とは思えないほどしっかりと踊れていたと思う。

まだ相手に合わせるなんて高度な事は出来ないが、そのうち驚かれるぐらいに上手くなってやろうと企んでいる。

踊り終えるとルミニア母様が拍手してくれて、他の貴族のお客さんたちも拍手してくれた。

エメスト兄様と一緒になんだか照れくさそうに笑った。


クリス兄様は学院でできた友人の女の子と手をとって踊っていたので踊れない、エメスト兄様も学院の子と踊っている。

私は4歳だからきにする事はないのだが、あの踊りでおしまいかと思うと少しだけ寂しかった。

アーサー兄様は色々な女性から引っ張りだこになっていた。

一応と言っては失礼だけれど上級貴族で話に聞く限りだと次男、婿にきて欲しい女性が山ほどいるのだろう。

それに魔法団のトップだし、剣術も上級だし、学力も高いし…

そういえば教科書にも載るほどの偉人なんだっけと思い出す。

地位、名誉、財産の全てが手に入る上にかっこいいと来たら欲しがるのも当然に思えて一人納得した。

アーサー兄様を欲しがる女性は大体お姉様で、アーサー兄様の事を年上だと思っているらしく甘えた声で誘っていた。

アーサー兄様が弱いのはきっと年上のお姉様に弟のように扱ってもらう事だろうと内心思い、年上のお姉様からのお兄様扱いに小さくショックを受けているアーサー兄様を眺めた。

あまりにもベタベタされてとても大変そうなアーサー兄様。

しかたない、いつもお世話になっているアーサー兄様のために人肌脱いであげよう。


「アーサー兄様!私と踊ってください!」


なるべく元気に真剣に、いつもよりも子どもっぽく振る舞う事を意識した。

周りから見ればとても微笑ましい上に、私はこの国の姫、ないがしろにする事はできないだろう。

驚きでキョトンと私を見下ろすアーサー兄様、その後しばらくして手をとってくれたので良し。

踊りについてはもちろん身長差が倍近くあるので格好はつかなかったが、決して踊りにくいとは思わなかった。

アーサー兄様が私に気を使って踊ってくれたのだろうと思う。さすが、できる男は違う。

踊り終えたら一緒におやつを食べようと腕を引っ張って連れて行ったので、その後の踊りのお誘いはなかった。


「ありがとうございますレア殿下」

「どういたしまして」


あの日の口調がくだけたアーサー兄様とは全くの別人かのごとくアーサー兄様が振る舞う。

あの事については知らないふりをしていた。

言ったらきっとアーサー兄様は謝ってしまうだろうから。


「私はまだ子供なんだから、かしこまらなくていいのに」

「まだ幼いとはいえ殿下でいらっしゃいますので…」


一緒に壁際で有名菓子店のマカロンを食べる。

マカロンは逐一アーサー兄様が手渡しで渡してくれた。

自分でも取れると言うとそれはダメだと言って手渡してきた。

なぜダメなのかはわからないけれど、それがお礼の精一杯の気持ちなのだろうと思って甘んじる事にした。

アーサー兄様も魔導師だからなのかお菓子は好きだそうで、互いに「このお菓子が美味しいね」や「あれも美味しそうだね」と話しては笑っていた。

姉様か…?


アーサー兄様がアルフレッド父様に呼ばれ席を外した時、ちょうど一つしかないカップケーキを見つけた。

あたりを見渡してもこれ一つしかない。

なんだか美味しそうだと思った私はそれに手を伸ばした。

一口食べてみた。

それは今まで食べた事のないカップケーキでそこそこ美味しかった。


「レア様…?」


声をかけられ振り向くと大胆に胸元が開いているドレスを纏うセクシーな女性がいた。

その女性は顔面蒼白、今にも倒れてしまいそうなほどだった。


「グレイス様ではありませんか、どうなさいました?」


そこへ父様から解放されたアーサー兄様が戻ってきた。

あれ…?

視界が霞む、胸が苦しい


「レア殿下!」

「レア様!」


聞こえたのは悲鳴に近い声だった。

自分でも何が起こったかわからないまま意識を失った。


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