精霊樹と魔道石
街にやってきた私はアーサー先生と手をつないでお店にやってきた。
そのお店は女の子が喜びそうな場所ではなく、少し人気の少ない場所にある店だった。
魔法使い御用達の魔道具専門店だそうだ。
ここで自分にあった魔法道具を買うのがいいのだとか。
お店に入る前にアーサー先生がおまじないと言って魔法をかけてくれた。
正体がばれなくなる魔法なんだとか、確かに私がお姫様だとばれたら大変なことになりそうだと納得した。
わからなくなるだけで姿は変わらないそうだ。変な魔法だ。
魔道具店では杖やローブの他、魔道書や魔道飴なども置かれていた。
杖は魔法を強化したり制御したりするためにあり、持っている方が精度があがるそうだ。
ローブは使える魔法によって色が変わり、自分が魔法を使えることの証明にもなるそうだ。
子供は一般的にローブは着ないらしい。大人なら対処できても、子供は拉致されたら対処できないからだとか。
魔道書は魔法が書かれた書物で、読むのではなくちぎって使う。
すでにある魔法をちぎって投げることで、苦手属性でも唱えられるようにするのだとか。なにかと便利な書物である。
魔法飴は発掘した時から魔力を帯びている小さな石のことで、魔力切れにならないように幾つか持っている魔導師が多いそうだ。
使用方法は魔力切れの際に飴のように舐めるだけだ。ほんのり甘くて、以外と美味しいらしい。アーサー先生も幾つか持っているそうだ。
舐め終わったら吐き捨てて良いそうだ、吐き出す際のマナーなんてのもあるらしい。
今回はアーサー先生の指導のもと、自分に合う杖を作る。
杖の材料になるものは幾つかあるそうで、普通なら得意な属性の木を使うらしい。
子供の場合得意不得意があまり無いので、そのまま能力だけが高い杖を買うことになる。
私の場合、精霊樹か龍樹か貴龍骨、もっといくなら神樹だとアーサー先生は言っていた。
アーサー先生はどんな杖なのかと聞いたら、貴龍骨と龍樹を使ったシンプルな杖だと教えてくれた。
私は悩みに悩んで一番無難な精霊樹の杖にした。
大きさは今の私の背丈よりも少し長いぐらいで、先端には何かをはめるような穴が空いている。
精霊樹は普通の木よりも青みがかっている木なので今の私に似合う色だ。
「大切にします」
出来上がった綺麗な杖に頬ずりをし、にっこりと笑った。
アーサー先生も大切にしてくれと言って頭を撫でてくれた。
次に訪れたお店もまた魔道店だった。
たださっきのお店と違うのはアクセサリーが基本として置かれていることだった。
魔道飴よりも大きい塊を魔道石と呼ぶのだが、この店には魔道石と属性魔道石が置かれているらしい。
魔道石は杖やアクセサリーにすることで魔力の消費を軽減することができたり、威力を高めたりすることができる。
属性魔道石は得意属性をより強化したり、苦手を平均並みに高めたりできるそうだ。
「かわいいお嬢ちゃん、今日は珍しい魔道石があるんだ」
「めずらしい魔道石?」
店のおじさんが見せてくれた魔道石は普通の魔道石よりも透き通っていて、光に当てると様々な色にキラキラと輝いた。
生前見たことがあるもので例えるならオパールのようだ。
「オーロラ魔道石ですか、めずらしい上に大きいですね。」
「おや、お父さんはご存知なんですね」
「おと……」
ショックを隠せていないアーサー先生……大丈夫ですよ先生、私には十分若く見えています。
「オーロラ魔道石ってなんですか?」
「ん?お嬢ちゃん気になるの?」
「うん」
まだ立ち直れそうにないアーサー先生を一旦置いておき、気になる話を聞く。
オーロラ魔道石というのは属性魔道石と普通の魔道石が混ざっているもので、11属性全てを高めることができる非常に貴重なものなのだとか。
小指の先程の大きさで国家が動くとも言われているが、ここフルブラント王国では国家が動くほどではない。
存在自身が稀なので、11属性だけれど神様からの贈り物だと言われ12属性を全て持つオーロラと呼ばれているらしい。
今見ているそれは子供の握りこぶし程の大きさがあるので、かなり大きい。
こういう掘り出し物というのは大抵冒険者が見つけてきたもので、基本偽物の可能性の方が高い。
しかし、アーサー先生が反応したということは本物の可能性が高いのだ。
「先生、これ本物ー?」
「ああ、ええっと…そうですねどうでしょう。欲しいですか?」
はいと言うとお店のおじさんと交渉し始めた。
おじさんは生憎鑑定はできないらしく、それでも本物だった時に損しないようにと値段を釣り上げる。
アーサー先生は偽物だった時のダメージを減らしたくて値切る。
二人の意見がちょうど良くなった金額で購入。
金額としては馬鹿にならないが領収書をもらい「経費」と記入していたのできっとお城からお金は落とされるのだろう。
手に入れたオーロラ魔道石(?)を眺めて、偽物でも大切にしようと胸に抱く。
「先生ありがとうございます」
「いえいえ、お気になさらず」
それ以外の買い物にも行き、満足した頃馬車に迎えに来てもらい、お城に帰った。
宝石はアーサー先生がいうには本物。
大切にしなさいと父様にも言われた。
購入した金額を父様が見てひっくり返っていたのは言うまでもない話だ。




