7.秘密の共有しちゃいましょう -1-
あのあとはストラを引っ張って街に戻り(実際はわたしが引っ張られてたけども……一度で道覚えるとかすごい。)、お母様にもらったお小遣いを使って冒険者をする時に着るための服と、シンプルな髪飾りを買ってきました。
実はこの世界、異世界定番の中世ヨーロッパ風なところはいっぱいなのですが……洋服はミニスカートがあるのです!
といっても型はヨーロッパ風ワンピースなのですが、足を出すのは淑女としてどうなんだ云々的なことがなくて、特に子供とかは全然短めのスカートをはいています。
そしてドロワーズ……所謂かぼちゃパンツを履くので、某海藻ちゃん状態です。
短めのドロワーズ履いてミニ丈のワンピ着た幼女とかもう。
くんかくんかしたくなっちゃいますね……っと失礼、本性が。
まぁドロワーズも基本は見えないように履く下着なんですけどね、もうブルマ感覚で履くものになってますね。
……ていうか今時の小学生ってブルマ分かるんですかね?
いや、今時もなにもこの世界に小学生いないですけども。
まぁそんな感じで。
動きやすいミニ丈ワンピとか、派手さのない実用性重視の花の意匠の髪飾り、そして動きやすい靴を買って帰宅をしました!
いやー見事に動きやすさ重視ですが自分でする買い物は前世以来です、とても楽しかった!
基本引きこもりたい! とか思ってはいましたが学校帰りとかよく友達を無理やり連れてでかけたりしてたくらいには買い物好きだったのですよね。
ストレス発散方法は散財が一番です。
なのに今世のわたしときたら……。
なんですか、自宅に人を呼んでサイズを測って生地から服を作るって。
そんな服前世で買ったことないですよ。
下着以外でサイズとか測るものだと思ってはいなかったですよ……
まさか漫画や小説の中だけだと思っていたことを体験するようになるとは……いやまぁ転生自体もそうなんですけどね。
ウインドウショッピングをするということも楽しみの一つだと思うんですけどねぇ……。
そして帰ってきてからは、ストラと一緒にお茶を飲みつつお部屋で相談です。
ラルフお兄様が乱入してこようとしましたがキッパリとお断りしておきました。
そしたらこの世の終わりのような顔をして「ユイちゃんが反抗期……? 兄の僕ではなくイケメンの方が……? うわああああ……」って悲壮な顔で崩れ落ちて燃え尽きてました。
お父様のお手伝いしなきゃいけないのに抜けてきたらしい灰になったお兄様を執事が回収しにきてましたが大丈夫でしょうかね?
最後の一つまでキッチリと灰を拾っていってくださいねぇ~。ふふ
明日はまた朝からお出かけすれば時間たっぷりあるので冒険者登録できますね!
ふへへ、楽しみすぎてニヤニヤ!
ストラは今日1日でもう慣れたのか「ユイ、顔。」と一言言って我関せずというような態度で優雅に紅茶飲んでます。
ちょっと順応力高くないですか?
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「ストラ! ストラ起きて! いつまで寝てるんですか!」
おはようございます、今日はお天気も良く冒険者登録日和ですのでしにいこうと思います。
楽しみすぎてストラを迎えに来てしまったのですが、ノックをしても声をかけても反応がないので鍵を開けて勝手に入ってしまいました。
冒険者をしていたストラですが、荷物はリシュール家筆頭護衛騎士宅である我が家の敷地内にあるハイエル家に置きっぱなしにして、その日暮らしのように宿をとったり野宿をしたり、たまに帰ったりして過ごしていたようです。
専属護衛をするにあたっての利便性を考えて、少し離れた場所にある実家ではなくリシュール家の屋敷の隣にある使用人棟に居を構えました。
昨日来たばかりでわたしに付き合ってましたし、まだ荷ほどきなどは全くといっていいほど出来てないですね。
今度手伝いましょうかね。
あ、エッチな本とかあの箱の中にあるのでしょうか、漁りたいです。
なんて考えていたらストラが身じろぎをしたので肩を揺らして驚いてしまいました。
そうです、今の使命は起こすことでした!
「ん……もうちょっと……」
「ストラ! 冒険がわたしを待っています早く起きてー!
楽しみすぎて今にもわたしは爆発しちゃいそうなんです!」
「んー……人は爆発しないから大丈夫……って冒険……? ん……どこだここ……」
あれ、これは完璧に寝ぼけてますか?
どうせ寝ぼけるなら恋人と間違えてギュッのハプニングがあったほうが面白かったのにとか思っちゃった。
……いえ、さすがに7歳という幼女サイズなのに間違えて抱き着くとかしたらその時点で変態の犯罪ですかね。
「んんん!? うわああああ!? なんでおじょっ……ユイがここにいるんだよ! 鍵かけてたはずなのにどうやって入ったんだよ!?」
「落ち着いてください。
鍵は、かかっていたので……遠慮なくその扉の前で合鍵を作って使いましたよ。
これぞ! 基本なんでも出来ちゃう創作魔法の醍醐味! えっへん」
「えっへん、じゃねええぇぇぇ……そんなキラッキラな笑顔で……何してるんだこのお嬢様はぁぁ……」
あれ、がっくり項垂れてちゃった……落ち着くために暴露してあげたのにぃ~。
「ぷぅ~ってむくれてもだめ! ほら、合鍵出しなさい!」
「やーです。これはわたしがわたしのために作ったんです。」
「俺のプライバシーは!?」
「大丈夫です、秘密を見つけたとしてもちゃんと内緒にしますから!」
「それだと確実に1人にはバレてるじゃねぇかぁぁ……」
ああ、また項垂れてしまいました。
文句が多いですねぇ……。
でもこの鍵は渡しませんよ? いつでもここに来れるようにしたいという可愛らしい意見なんですからいいじゃないですかね。
あっ、いいこと思いつきました!
「じゃあわかりました、紙を下さい!」
「はぁ? ……そんないきなり紙って言われてもなぁ……あったかなぁ?」
寝ている時に押しかけたうえにいきなり意味不明な要求をされてもゴソゴソと箱から探してくれるあたり、ストラはかなりいい人だと思うのですよね。
「あっ、あったあった。
この羊皮紙でいいか?」
「問題なしですよー。ちょっと手を握りますよぉー。」
こくんと一度頷くとストラを見つめ、断りをいれてからストラと手を重ねながら紙に魔力を通します。
「な、なんだ……? 魔力使って何をしてるんだ?
……何してるかわかんないけど長くて暇だな……ていうか今何時なんだよ……ってうおおおお、まだ空暗いじゃねぇかああ!?」
窓の向こうを見て文句を言うストラが暗い時間なのにうるさいです。近所迷惑ですよ。
仕方ないじゃないですか、楽しみすぎて起きちゃったんですから。
修学旅行とか行くときって朝早いですし、あんな感覚だと思えば許されるかな、いいかなって。
それにあっちのほうの空は少し白かったからもう朝と言っても過言ではないはず。
「もー、ストラうるさいです近所迷惑です。
はい、できましたー。みたいですか?」
「え? お、おう? じゃあ見たい、かな?
魔力流して何してたんだ?
って理不尽に怒られてる! 俺が悪いのか!?」
「ちなみにこれを見たいのならば代わりに合鍵は渡しませんから。」
「はぁ!? じゃあ見なくていい!
今すぐ合鍵渡せ、ぶっ壊しちゃるわ!」
「本当にいいんですか?
実はわたしの能力なんですけど……前は言わなかったですけどまだ他にもあるのですよ。
一つは前にも言った創作魔法。
そして……もう一つは鑑定能力。
『物だけ』と限られた鑑定士とは違い、生きてる人間だろうが魔物だろうが、何でも鑑定出来ちゃう便利な能力です。
通常は鑑定のスキルを使うだけでいいのですが細かく見て紙に載せるには対象に触れて魔力を紙に流さないといけないのです。
そしてその能力をストラに使いました。
あ、勝手に見たのはごめんなさい。
そしてその能力一覧をここに書いてあります。
見たくないですか? ストラが知らない情報がありますよ?
これを見たらどう戦うといいかとか分かりやすいかもしれませんよ? ニヤニヤ」
そうなのです。
実はこの世界にも鑑定士という方々はいるのですが、それは万能なものではなく。
アイテムや物などの無機物は鑑定出来るのですが、人や動物、魔物などの生物は鑑定出来ないのです。
まさかこんな所でもガッツリチート機能だとは思ってませんでした。
鑑定士という職があると初めて聞いたときは『あ、やっぱりいるんだなー』くらいに思ったんですけどねぇ。
「んなっ!?
まてまて、見たい! 見たいが……!
お前いくつ異常能力持ってるんだ!?
その意味のわからないオリジナル魔法も、その鑑定士以上の能力も、どちらもオカシイ能力だからなっ!?
な、なんて規格外なやつの護衛になっちゃってんだよ俺……護衛なんていらないだろう……。」
ついにこいつ呼ばわりになりました。
ストラ口からポロポロですぎです。
まぁ、わたしも正直護衛いらないんじゃないかなーとは思ってますけどね。
そこは言わないところですよね。
「仕方ないなぁ、見せてあげます! どうぞー」
ストラ・ハイエル(18)
冒険者ランク:C
適性:火C・風B・豪雷E
HP:2950/2950
MP:280/280
STR:45
AGI:70
VIT:35
INT:18
DEX:39
LUK:5
スキル:-
称号:七大神に選ばれし守人・ツッコミ体質・苦労人
「「……」」
写したときは見てなかったんですけど……称号のインパクトが半端ないですね……。
しかし七大神に選ばれしとは……?
クロサワ氏しか会わなかったけれど……そうですよね、転生するにあたってこの世界の神様も当然関わってるんですもんね。
ていうかクロサワ氏は地球の天使なのかハイリシエールの天使なのか……?
あ、でもクロサワって名前だし地球っぽいですよね。
あ、でも目の色とか地球だとあまり無さそうな色でしたね……うーん?
ていうかわたしの護衛になったのは運命だったんですね、ストラは。
「なぁ、ユイ……俺は神様に選ばれてユイの護衛なのか……? 七大神って各属性の神だよな……。
え、なに、なんでそんな壮大なの?」
あ、これはだいぶ動揺してますね。
たしかに壮大すぎますね、神様に選ばれた守人とか意味わかんないレベルです。
七大神とかむしろわたしも聞いてませんでしたしね。
クロサワ氏、その情報前もって欲しかったです……。
ふむぅ……でもこれは……ね。
もう全部いいんじゃないですかね?
「ストラ、もう一枚羊皮紙もらいますね。」
さっきの羊皮紙のあった場所からもう一枚取って魔力を流す。
「では、これどうぞ。」
ユイリエール・リシュール(7)
冒険者ランク:-
適性: -
HP:5580/5580
MP:8530/8560
STR:35
AGI:86
VIT:62
INT:85
DEX:80
LUK:40
スキル:創作魔法・上級鑑定・収納・地球知識検索
称号:異世界転生者・変革者・慈愛の天使の加護・七大神の加護・万能者
「ん……ん!?
な、なんだこれ!?」
「わたし、実は前世の記憶があるんです。
神様に導かれて、意味があってこの世界に転生してきたんですよ。」
ドヤッ
ブルマって、今時の子知ってます?
ドラ◯ンボールのブルマさんじゃなくて体育とかで履く方ですよ?
そうですか、ドラ◯ンボール自体が分かりづらいですか……。
大丈夫です、私もほとんど覚えてません。
いつ再放送見ても「ウワアアアア!」とか、「ハアアアアアアア!!」とか叫び声または雄叫びしか聞こえないんですよね。
あれ無くしたらもっと見やすいと思うのですが……。
ってすんごいどうでもいいこと書いてますね。
感想、評価、待ってます。
ブクマありがとうございます\(^o^)/