表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したってわたしはわたし。  作者: なの
束の間の休息があってもいいですよね?
45/60

閑話.蜂蜜で繋がるホワイトデー

ホワイトデー更新になりますー!


今回はストラ視点です!



↓↓↓


 俺は今悩んでいる。

 先日バレンタインデーなるものでユイにクッキーとマーガレットを貰った。


 マーガレットの花言葉は『真実の愛』そして『心に秘めた恋』……。

 一応貴族の護衛騎士だからそれなりに知識は入れている。

 貴族と花は切っても切れない関係なので花言葉も勉強はしていた。

 だから知っているんだが……俺はユイが花言葉を知っているかどうかを疑問に思っている……。


 どうも適当に見た目とかでこれ似合うんじゃなーい!? って感じに選んだ気がしてならない。


 何故そう思うかって?

 ユイが実は俺のことを好きなんじゃないかとは思わないのかって?


 バッカお前、ラルフ様に渡したシュウメイギクの花言葉は『褪せていく愛』だぞ。

 元は告白の場だっていうバレンタインデーにそんな花を『大好きなラルフお兄様』に嫌がらせだとしても贈る、なんてことはあいつはしないだろう。


 つまりが花言葉を知らない可能性が高いということだ。

 シュウメイギクは花言葉がちょっとあれだが、見た目は白くて可愛らしい花だからな……。


 決して、決して俺に花言葉の意味を考えて渡してきたわけではないことは分かっている。

 分かってはいるんだが……枯れる前に加工屋にいって永久保存させてもらったっていいだろう?






 問題はお返しだ。

 なにやらバレンタインデーと対になるホワイトデーとかいうものがあるらしい。

 俺もバレンタインデーに花を渡してはいるが、どうせなら正式なお返しの日にも何かを贈りたい。


 本来はクッキーや飴などがホワイトデーに贈る主流だと言っていたが……残るものがいいな……。

 クリスマスに渡したーー俺からだとは気付いていないがーーネックレスは気に入ったようで毎日つけてくれている。

 見るたびに歓びが込み上げてくるのだから、ユイが気に入りそうな身に付ける物を渡したい。




 とりあえず何が良いか店を見てみて考えようと思いでかける。

 早めに行動をしておけば気にいるのがなければまた次にとできないからな……休日が近くてよかった。


 まずは宝飾品を扱う店に入ると男が1人ということで若干の視線は感じる……がそんなことは気にしていられない。

 何故なら俺には買い物を一緒にするような女の知り合いはいないから気にしていたらどこにも入れないからだ。


 顔が良い方なのは自覚しているからそこらへんの女でも誘えば誰かしら付き合ってくれるだろうが……ユイへのプレゼントを買うのに万が一にでも本人に誤解されたら目も当てられないからな。


 見られるのは慣れているしな。


 好奇の視線を身体中に受けながらも並べられているアクセサリーを眺めていくが気にいるものは特に見当たらなく、肩を落としながら店を出る。

 他にも幾つかの宝飾品を扱う店を見てみるがコレだと思えるものとは出会えない。

 綺麗だなと思うものはあっても、どれもしっくりとこなくて時間だけが無駄に過ぎていく。


 ふと視界に魔道具の店が入る。

 色気はないが魔道具も喜びそうだなとありかもしれないなと思い足を踏み入れる。

 若干薄暗い店内を見渡すと色んな形の大量に並べられた灯りの魔道具。

 やはりリシュール領だからカイザント様の作る魔道具の取り扱いは多めなんだな。


 店内には女性店員が1人のみで「いらっしゃいませ」と一声かけた後奥の方に消えていくのを横目に何か贈れるようなものがあるかと端から棚を見ていくと反対側の端の方に他の魔道具に隠れるようにそれは置かれていた。


「ん? これは……ブレスレット……か?」


 琥珀でできているであろう蜂蜜色のそのブレスレットを手に取ると4センチほどの幅で表面には細かく蔦や薔薇が彫ってあるのがわかった。

 繊細な細工をしているし、ユイは薔薇の装飾類が好きみたいだからこれはありなんじゃないだろうか。


 まさかの宝飾店じゃないところでこんなものを見つけるとは。掘り出し物だな。


 よく見れば手に触れる内側の部分には何かがびっしりと書いてある。

 そうだよな、表面だけだとただの宝飾品だもんな。


「おや、懐かしいですね。」


 声がした方を振り向けばカウンターの奥から店主らしき老人が出てきていた。

 先ほどまでいた女性店員がいなくなっているから客が来ると店番交代って感じなのか?


「何十年も前に売りに出したんですけどね、売れないんですよね、何故か。

 効果も悪くはないと思うのですけど……。


 そのまま売れなさすぎて存在を忘れていましたよ。手に取った人を見たのも久しぶりなくらいです。」


「何十年も? 不思議ですね……これはなんの魔道具なんですか?」


「それはですねーーーーですね。」


「ほぅ。よし、買います。」


 効果を聞いて即決する。

 見た目も色合いが落ち着いていて派手すぎず何にでも合わせやすそうだし、効果もあれば便利なもの。


 何より琥珀は俺の瞳の色と同じ蜂蜜色。

 贈った自分の瞳の色の装飾品を身につけてもらえるのは、嬉しいからな……。


「瞳の色のブレスレット、喜んでもらえるといいですね。

 綺麗に包装させていただきましたよ。

 お買い上げありがとうございます、またのお越しをお待ちしております。」


 ニッコリと笑顔で告げられた言葉に一瞬動揺してしまった。贈り物だということはバレていたらしい。


 いやまぁバレるか。

 瞳の色と同じ宝飾品を贈るのは定番だよな。





 -------------------------------------






 バレンタインの数日後に見つけたあのブレスレットをようやく渡す時が来た! と意気揚々と届けに行く。

 今は13の日の23時50分。

 バレンタイン同様に日付変わってすぐに渡そうと思って部屋の前で壁に寄りかかり待機している。

 こういう時この屋敷は便利だな、いつでも使用人棟から出入りできるから。


 まぁバレンタインと違って寝ているかもしれないからノックをして反応がなければ朝出直すかな、なんてことを考えながら日付が変わるの待ち、変わった瞬間ノックをしようと手を伸ばしたらその扉が内側に開いていき手から遠ざかる。


「あ、やっぱりいました。」


 まさか扉が開くとは思ってもいなかったから驚いて目を瞠る。

 ていうかやっぱりってなんだ、俺の行動を予想してたのか!


「なんとなく来るんじゃないかなって思ったんですよね。

 バレンタインにもプレゼントくれたストラならホワイトデーにも同じようにくれるんじゃないかなって、そんな気がしたんです。

 でもわたしは今日用意してないですよー?」


 えへへとはにかみながら「中に入ってくださいー」と自分でお茶を用意するユイが今までで一番可愛い顔をしていたのは間違いないと思う。

 7歳の子供じゃなかったら間違いなく襲ってた。

 しかし襲わないってことは自重する理性はあるわけで、俺はロリコンじゃない証明になるのでは? なんて考えてるのは顔に出さないように気をつけてシレッと中に入っていく。


 お茶を用意してくれてからユイが席についた時には日付が変わって10分ほどたっていて、テーブルのユイの前に綺麗に包装された掌ほどのサイズの箱を置く。


「バレバレだったんだな

 ホワイトデーの贈り物だ。バレンタインは嬉しかった、ありがとう。」


 少し眠いのかいつも猫のように大きなクリクリとした瞳はほわんとしている。

 そんなユイが眠気の混ざったへにゃっとした笑顔で受け取った顔は破壊力抜群な可愛さだった。


「ありがとうございます……」


 眠いけど待ってたかいがありました、えへへ……って!

 いつもの振り回されるようなテンションのユイも可愛らしくて嫌いではないが、たまにあるこの可愛らしさは反則だよな。


 開けてもいいかと問われれば、もちろんと答える当たり前の問答もふわふわした気持ちをしているとくすぐったい。


 包装された箱を開けていくと出てきたのはもちろん魔道具専門店で買った、あの蜂蜜色の薔薇を彫ったブレスレット。

 見た瞬間に目を瞠り感嘆の声を漏らす。

 思ってた以上の反応に少し嬉しくなるも声をかけずそれを静かに見つめる。


 手に取って細工を眺めてはニヤけそうな顔をしていて、ブレスレットを持っていない方の手で頬を挟みぐにぐにと揉んでいる。

 前にも同じことをしていたときに何してるのか聞いたら『ニヤけ顏を戻そうとしてるんです』だそうだ。


「内側を見てみろよ。」


 疑問符を浮かべながら内側を見て首をかしげる。


「あ、もしかしてこれ魔道具?」


「あぁ。店主いわく何故か性能が悪くないのに売れない不思議なブレスレットなんだってさ。

 たまたま目について発見したんだが……ユイにあげるためにずっとあそこにいたのかな、って思ってさ。


 魔道具としての効果は『個探知』だ。

 そのブレスレットと同じ塊だった琥珀を使ったイヤーカフスを持っている人間がいればお互いに何処にいるかわかるらしい。


 元はデカイ鉱石だったから他にも欠片は大量に出ているとのことだが、魔道具としての加工はそれとこれの対だそうだ。

 お互いの魔力を流せばそれで完成らしい。


 方向音痴の主人と護衛騎士にはちょうど良いのではないかと思ったんですが、いかがでしょうか?」


 ポケットに入れていた小さなイヤーカフスを取り出して見せながら説明をする。

 もちろんどちらにも俺の魔力は既に流してある。

 少しからかいつつもイヤーカフスをテーブルの上に置けば、頬をぷくーっと膨らませながらも一つずつ手に取り魔力を流していく。


「方向音痴じゃないもん、ちょっと迷子になるだけです……」


 よくそんなことが言えるなぁ。

 全力方向音痴少女が。






 -------------------------------------




 朝起きて耳に手を当てる。

 そこにはほんのり暖かいイヤーカフス。

 もちろんその暖かさは自分の体温で、モノが発熱しているわけではない。

 それが分かってはいるけれど、何か嬉しいのは仕方がないと思う。


 着替えをして朝食を済ませてから、今日も1日護衛がスタートするなぁとご主人様を迎えに行く。


 扉の外で待機していると動きやすい服装を着た可愛らしい少女が出てくる。


 その右腕には蜂蜜色のブレスレットがつけてあり、たまたま差し込んだ太陽の光で輝いて見えた。







更新時間遅くなりましたが閲覧ありがとうございます!

超難産で更新間に合わないとは思わなかったです……。


そして作者が一生懸命ひねり出したお話なのにどんどんストラは好きな子を自分好みにアクセサリーを贈っていってまさかのお揃いまで済ませる始末。

くそっ、ロリコン爆発しろ!


では、次回更新は21日月曜日祝日の日ですねー。

月曜日更新が多くてすいません……。

実はいつも通り出だし難産でして……新章に入りますので軌道に乗ればモリモリ書けると思うのですが……。


ではでは、本日も閲覧ありがとうございました。

ブックマークやコメントも増えていてとても嬉しく思います。

見やすくなるようにも努力しますので何か気付いたことあれば指摘していただけると嬉しく思います!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ