※ 挿話.とある男の物語 その2
前回の続きです。
性描写&無理矢理表現、残酷描写ありますのでご注意ください。
では読める方だけ↓↓↓
泉に戻ると新人が亜空間から狩った魔獣と獣、それから木の実を取り出す。
通常木の実などは食べないが、人族の女がいたため一応回収したものだ。
騒ぐこともなく、生きることに元から絶望しているのか盾の女は道中も静かだった。
もう1人は常に何かしら声を発して煩かったためにエリックが一度キレて殴って気絶させていた。
あいつカルシウム足りてないんじゃないか?
しかし静かになったのは良いことだなと思ったから何も言わなかったが。
試しに盾の女の両手を縛っていた紐を取って食事を渡してみれば驚いた顔をしながらも礼をいって大人しく食べた。
それ以降盾の女についてるのは隷属の首輪だけになった。
それに比べて暴れる女の方はもちろん微弱だろうと脆弱だろうと魔法使いなため手錠は取れないので、新人が手ずがら食べさせようとしていたが意地でも食べないというような姿勢だったからかエリックが笑顔で近付いていき口移しで食べさせていた。
あいつ怒ると笑顔になるんだな。
舌も使って無理やり食べさせたからか初めは抵抗していたようだが少し蕩けたような顔を顰めながらも食べたようだったが、その顔を見て火のついた新人2人が許可を求めてきたので出すことにした。
エリックは後で良いとのことで先に新人2人が上も下もと楽しんでいたようだが、その様子を見て息を飲んだ盾の女を抱きかかえて見えないようにして寝ることにした。
後ろから抱きしめて木に座って凭れさせると女は不思議そうな顔をしてこちらの様子を窺うが、そもそもそういう事に昔から興味が薄いのでシカトして寝る事にする。
背後で聞こえる女の喘ぎ声と水音が気になるようでソワソワしていたが、やはり疲れているのか少ししたらスゥスゥと寝息を立て始めた。
チラリと顔を見てみるとあどけない表情をして寝ていて。
汚れでくすんだ金の髪をサラリと撫でると少し頬が緩んだ気がした。
何事もなく城に向かって進んでいく行程でも、魔法使いの女は暇さえあれば騒いでいて布を噛ませているはずなのに煩かった。
そしてこれは2日目に気付いたことなのだが……新人の1人は女の嫌がる様も声も好きらしく楽しそうに布を外して犯していた。
流石に手錠は外してなかったが口に当てた布がないと煩かった。
あんなにあどけない少年の顔をしていながらドのつくSだとは驚きだった。
エリックの方がそういうのは好きそうだが、逆にエリックは声が出ないように魔法を使っていたな。
煩わしいのはあまり好きじゃないようで、なんとなく副官を思い出した。
私としてはただ単に雑音にしか聞こえないからエリックのようにしてくれると心底助かる。
新人の時は流石に盾の女と自分の周りに結界を張るようにした。
新人が楽しみすぎて煩すぎるのと、たまたま新人と目があったらしい盾の女が怯えていたから見えないように気をつけた。
小さな声で「……鬼畜怖い……」と呟いていた。
行きよりもさらに時間をかけ、一週間たってようやく魔族の領域まで戻ってくることができた。
まさかこんなにかかるとはな……と思っていたら口に出ていたらしく『これくらいが普通です』と言われてしまった。
そうか、これが普通なのか……。
森と魔族領の境には目に見えない結界があり、人や魔物の侵入を防ぐようになっている。
侵入許可の魔法を女2人にかけて中に入ると、魔法使いはギリギリ耐えたようだが盾の女の方は負荷に耐え切れず意識を失った。
魔族なら問題ないくらいの負荷も魔法耐性がほぼない女には耐え切れなかったようだった。
抱きしめたまま城への転移門にいき、行きとは違い自分で起動する。
本来は新人にやらせるべきだが行きを見る限り優秀だから問題ないだろうと判断したのと、早く女を布団で休ませてやりたかったから自分でやってしまった。
何故こうまでこの女に関心が向くのかは分からないが……。
流石に意識のないまま転移門を通ると通常時よりも負荷がかかり更に体調を崩すかと思ったので女の周りに結界を薄く張った。
そこまでするのかと言いたそうに驚いた表情のエリックが見えたがまたシカトする。
エリックの驚いた顔はここ数日で何度見たか。
そのまま転移門に入り帰城の旨を報告し、女2人の確保を報せた。
そしてそのうちの1人はそのまま私が連れ帰ると告げた時の周りの顔は、人族の諺の『ダブが豆鉄砲を食ったよう』というやつだったと思う。
なるほどこれのことか
魔法使いの女は結界でギリギリだった意識そのままに転移したからか門を出た頃には意識を無くしていたが、そのまま新人たちに任せておいたからきっと今頃は女を収容している施設だろう。
顔は整っていたから数ヶ月もしたら処分になるだろうな。
客室に盾の女を連れて行き、帰城報告の際に侍女に命じておいたので用意されているであろう入浴を命じておく。
そのまま客としてもてなすことと夜になれば来ることも忘れずに伝えておく。
執務室に戻ると既に噂となった女のことを補佐がすごい勢いで聞いてきた。
「団長!? あなたが人族の女を抱えて連れてきたとは本当ですか!?
エリックに聞きましたが結界侵入の際に意識を失ったから転移門では結界を張って防護したとまで聞いていますがっ!?
なっ、なにを考えているのです!?
人族の女は気に入っても妻に娶ることが出来ないのは貴方も知っているでしょう!?」
「おぉ、よく息が続いたな。」
すごい勢いで言うが全部一息で吐き出したからか肩で息をしている。
そんな勢いつけなくても逃げるわけじゃないのだから。
「感心してる場合じゃありませんっ!」
「まぁ落ち着け。
確かになんか気に入ったから手出しをさせなかったし私が個人的に連れて行ったが、別に妻にするつもりはない。
何故魔騎士団長である私が破滅の子を作るかもしれない女を妻にするのだ。」
「……貴方が気に入ったということが珍しくて騒いでるのですよ……
忠告です、早く手放してください。」
「心配性だな。
妻にする気はない。
魔騎士団長の座にかけてな。」
「……なら、良いのですが……。」
納得したらしい補佐を尻目に約二週間で溜まってしまった書類を片付けていく。
少し眉を顰めてしまう量だが、急ぎと急ぎじゃないもので分けてあるから急ぎの書類はとりあえず全部終わらせよう。
集中していたからか補佐の呟いた声は耳に届くことはなかった。
「そんなに機嫌の良さそうな貴方は数百年補佐してますが見たことがないのですよ……不安だ……」
-------------------------------------
夜、客室に行き女を抱く。
初日から1日も欠かしていないその行為は、特に会話などしていないのにひどく満たされるものだった。
私の思った通りに反応していく女の身体は滑らかで、手触りの良いシルクのようだった。
身体についてしまっている傷ですら彼女を彩るためのものに見える。
背中にたてられた爪痕ですら……。
そんなある日、いつも通り午前の訓練の最中に女の施設からの報せがきた。
『魔法使いの女が孕んだため殺した』
あぁ来たかと思った。
城に来てから二月、発覚までが少し早いから帰城するまでの新人かエリックの3人のうちの誰かだろう。
なんとなく相手はエリックなんじゃないかなと勝手に思った。
孕んだことに気付いたのも実はエリックだったらしい。
2日に1回通っていたらしく気付いたようで、報告後専用医務官の検査で確認してから直接エリックが手をかけたと聞いた。
一応女が死んだことを彼女にも報せておかなければと思い昼休憩の時間に部屋を訪れた。
孕んで殺したと言えば不思議そうな顔をしていたから説明してやれば『あぁ』と納得したようだった。
生への執着は微塵も感じられないこの女はどういう生き方をしてきたのだろうな。
仲間だった女の死にも嘆かない。
問えば仲間だったわけではないという。
生きていることに執着しない彼女の無表情が
夜に交わる時だけは情欲に染まる
今彼女の表情を変えることが出来るのは
私だけ……
仄暗い歓びと、充足感に満たされる
エリックはあの女のことが気に入ったのだろうか。
だから手ずから殺したのだろうか。
私 は 彼 女 を 殺 せ る の だ ろ う か ?
その夜は彼女を抱いたまま寝た。
部屋に帰って1人で寝る夜よりも、暖かくて。
更に心が満たされた。
補佐の懸念は正しかったらしい。
私は彼女のことが……。
その時がくるまでは、まだ。
今はまだ、このままで。
朝驚いたような叫び声に驚いて目を覚ますと、目を見開いてアワアワとしている彼女が視界に入った。
思わず笑ってしまった。
更に彼女は驚いていたが、私自身も最後に笑ったのなどいつか覚えていないくらいで驚いた。
部屋に細工をし彼女が移動したことがわからないようにした。
侍女たちも世話は必要最小限だったから気付かないだろう。
そのまま彼女を抱きしめて自室に向かう。
「今日から君の部屋はここだ。」
偽装をして誰にも分からないようにしてまで連れて行くなんて、今までの私なら絶対にやらなかったなと苦笑してしまうな。
連れてきてから半年がたった。
自室に連れてきてからは特に毎日が幸せで。
彼女の前でだけは笑うことが出来るようになったし、彼女も少しずつ笑ってくれるようになっていた。
あまり得意ではなかったが喋る量も驚くほど増えたし、たまに街に降りては彼女のために髪飾りなども買っていく。
そんな幸せは脆く、呆気なく崩れてしまう砂の城で。
彼女のたった一言で雨が降ったようにドロドロと溶けてしまった。
何時ものように一度目が終わり、もう一度と手を伸ばしたら彼女にやんわりと握られて顔を横に振られてしまう。
拒絶だと気付き、初めて彼女に拒絶されたことに戸惑いを隠せなくなった。
何故?
我慢が出来なくなった?
私のことがそんなに嫌いなのか……?
……私の元から去るのか……?
いなくなるくらいならこの手で……!
暗い方に走る思考回路を混乱させたままぐるぐると考えていると、彼女は今まで見た中でも一番の心からであろうと思える笑顔を向けてこう言った。
「月のものが来ないから子供が出来たと思う。
私は殺されるなら貴方に殺されたい。」
あぁ、恐れていた時が遂に来てしまったのか。
少しずつ心の中での呼び方が柔らかくなっていってたのに……恐れていた時が来てしまいましたね。
エリックとは違い毎日一緒にいたのに気付かなかったようですね。
それにしても書いていてちょっとかわいいなコイツ、とか思っちゃった私はどうしようか。
さて、挿話とあるシリーズは一応一区切りつきましたから再び間があきますよ。
次は誰視点でしょうね?
出来てしまったハーフの子はどうなるのか。
続きはまだ先です、うふふふふ。
では次回は3/14月曜日です。
いつも閲覧&ブックマークありがとうございます!




