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転生したってわたしはわたし。  作者: なの
束の間の休息があってもいいですよね?
42/60

31.ホビットの森

前半視点がころころ変わります。





↓↓↓

 気付いたら寝てしまっていたーってくらいグッスリと寝ていたので気分スッキリで、ストラのクレームもほぼスルーして、現在足取り軽くホビットの森に来ています。


 もちろんストラに案内してもらいつつ森まで来て、結界侵入手前で手を繋いで入っていきます。


 適当に進んでいけば着くだろうと楽観的に考えて進んでいったのですが、全くホビットさんたちが現れません。


 あれぇ。


「ユイ? 今更なんだが道わかるのか?」


「もちろん、分かりません。

 適当に進めば着くかなと思ってたんですけど。」


「いや、そうだよな、大量に気配があるところから離れてるからな、迷ってるのかなとも思ってた。」


「……」

「……」


「そういうことは早く言ってくださいよ。」


「いや、気配察知の感覚が狂わされてるのかなぁとも思ってて。」


 確かに結界に入って少ししてから手は繋いでないですけど!

 言うくらいはさぁっ!


「じゃあ進むぞ。

 とりあえず、俺初めて来るしただの侵入者って勘違いされても嫌だから手を繋いだ方がいいんじゃないか?」


「あぁ……それもそうですね、手を繋いで隣を歩いてればストラも不審者扱いされることはないですよね!」





 -------------------------------------




 なんてアッサリ信じていいのか、こいつ。

 そんなことしなくてもユイが先に進んで俺が後ろから指示するとか他にも方法あるだろう。


 下心満載なこの気持ちがすげー不純に思える。

 いやまぁ不純なんだが。

 こいつたまに異様に素直というか、純粋というか……。



「なぁユイ、ホビットってどんななんだ?」


 護衛になってすぐ話にだけは聞いていたホビットだが、結局は俺が一緒に行くことは今まで一度もなかった。


 そんなに森に行く回数が多くなかったのもあるし、俺が体調を崩したときだったり休みの日だったりに暇だとかでユイが1人で遊びに行ってたからだ。


 何故俺を連れて行かない。

 美少女……いや、美幼女? のホビット見てみたくてずっと楽しみにしていたのに。


「んー……どんな……ですかー。

 子供みたい? 大人でもわたしくらいに小さかったりで可愛いです。

 しかも何故か皆顔が整ってます。」


 俺にはお前も小さくて可愛いけどなぁーって言ったらどんな反応をするのやら。まぁ言わないけど。


「この先にいるみたいだぞ。」


「んー……あ、ほんとだ、反応ありますね。

 早く早く、迷って無駄な時間使っちゃいましたし急ぎましょう!」


 子供のように無邪気に走っていくユイの背中を苦笑しながら追いかける。

 どこらへんを見て自分を大人だと言い張るのか本当に分からないな。


 たまーに大人っぽいときはあるが気のせいで済みそうなくらいしかないもんな……。




 -------------------------------------






「長様ー! あ、四つ子ちゃんと三つ子ちゃんもいるー!


 きゃー相変わらず可愛いー!」


「「「「「「「ユイたまー!」」」」」」」


「おや、ユイリエール様お久しぶりですな。

 また背も大きくなってお美しくなったのではないですか。


 子供たちも前より喋れるようになって、ユイリエール様がいつ来るのかと楽しみに待っていましたよ。」


 なんと!?

 こんな可愛いお子ちゃまたちに待たれていたとは!


 このお子ちゃまたちは三年前の二度目の来訪少し前に産まれたホビットの四つ子ちゃんと三つ子ちゃんです。


 ホビット族はあまり出生率が良くないらしいのですが、出来るとぽこぽことワンちゃんとかのようにまとめて産むらしく、皆四つ子とかそれくらい兄弟がいるらしいです。


 ちなみに今回みたいに二人がほぼ同じ時期に出産とか本当に珍しいらしいです。


 そんなに頻繁にここにきていたわけではないのに大人はともかくお子ちゃまたちが覚えてくれてるとか感激ですねぇ……何回か遊んであげたからかなぁ……可愛いよぅ……。


 ちなみにこの子たちのパパはどちらも、初日に結界の外まで案内してくれたトーイなのです。

 なんか両者の同意さえあればオッケーとかで、トーイには奥さんが二人います。

 一夫多妻も一妻多夫もオッケーらしい。

 ホビットすげぇ。


 ちなみに二人目の奥さんの子供が四つ子ちゃん。

 半年ずれで妊娠した一人目の奥さんの子供が三つ子ちゃん。

 女の子3人男の子1人の四つ子ちゃんも、女の子2人男の子1人の三つ子ちゃんで7人。

 ほぼ女の子ですね。

 いやー7人もいるとか育てるの大変そう……大きくなったら姦しいですよー。


 普通はこんなに出来ることはないから、トーイは子供が出来やすい種を持っているんじゃないかということになり、長様は他にも嫁をつけたいみたいだけどトーイいわく、二人以上は無理だと断ってもまた言ってくるとかで……何故かよくわたしが愚痴を聞かされてます。


「ユイたまー、あしょぼー」

「ユイたまあいたかったのー」


 あぁっ可愛い!

 こんな可愛い子たちに遊ぼうとか言われて遊ばないとか無理ですよね!


「あえー?

 ユイたまそれだえー?」

「だれー?」

「でっかーい」

「でっかいー!」

「あれがひとー?」

「ひとってなにー?」

「おっきいのはひとっていうんだってー」

「でもユイたまひとってきいたけどおっきくないよ?」

「エルフもおっきいってぼくきいたよー?」

「じゃあエルフ~?」


「ちょちょちょ、皆一気に喋りすぎて何言ってるか分からないですよ!?」


 小さい子供が7人もいると我先にと思いついたことを口からポロポロと喋るので聞き取りが難しいです。


 チラリと後ろのストラを見てみれば、子供は好きなのか小さいホビットちゃんたちに悶えてニヤける口元に手の甲をあてて隠しています。

 若干ニヤついてるの見えてますよ。


 気持ちは分かりますけどね!


「この人はストラって言うんだよ。

 わたしと同じで人族。わたしが小さいのは子供だから、ストラがおっきいのは大人だからだよー。」


「ストラー?」

「ストラあそぶー?」

「ユイたまあそぶー」

「わたちストラとあしょぶのー」

「いっそにあちょぼー?」


 あああああ、可愛いよおおおお!


 ストラと二人で悶えてしまったのは仕方ないと思います。






 お子ちゃまたちと遊んでいると一人、また一人と電池が切れたようにウトウトと寝だしたので皆お昼寝タイムです。


 ホビットの村は3年前くらいから日本式の遊びがとても多いです。もちろん流行らせてるのはわたし。

 遊具を作った公園もあるし、鬼ごっこもするし、影踏みなんかもします。

 室内遊びでは将棋とか囲碁、オセロやトランプや花札もありますよ。


 将棋とか囲碁は検索して作りましたよ……ほとんどやったことないからルールも何も分からなくて……。


 花札はこいこいが好きでよくネットでやってたんですよね。


 え? 下手ですが、何か?

 外遊びは運動神経良くなったので出来るようになりましたが中遊びは何もかもだめです、脳みそが進化したわけじゃないですから……。



 お子ちゃまたちを寝かしつけたあとはホビットの村の特産品である鉱石を受け取りに行きます。

 普段はお父様が来ますが遊びに行くときはついでに取ってきてと言われているのでわたしのお仕事です。


 鉱石の加工場にいつも通り進んでいくと採掘場の外にトーイがいました。

 加工場含む採掘場はトーイの家系が代々代表を務めるそうで、結界の維持が仕事のトーイもたまに見回りをしているらしいです。


 わたしが来た時はわたしの案内係ですが。


「あ、ユイ様。

 お久しぶりです。」


「トーイ久しぶりです!

 あ、この人が前に話していたわたしの護衛騎士のストラですよ。


 ストラ、このホビットがさっきのお子ちゃまたちのパパのトーイですよ!」


「あぁ、子供達と遊んでもらってたんですね、ありがとうです。

 ストラ様もありがとうです。」


「ストラ様!? いやいや、呼び捨てでいい!

 俺もトーイって呼ばせてもらうから!」


「そうです? じゃあストラ、よろしくです。」


「よろしくな。

 ……ところでトーイっていくつなんだ?

 ホビットの年齢は本当わかんねぇな……その見た目で父親か……女みたいに可愛いな……。」


「僕は今年34になるです。」


「あ、年上……いや、ホビットって成人と寿命はどれくらいなんだ?」


 なんか会話に花が咲いてるのでストラは置いて加工場に行きましょう。

 何回も来てますし案内役いなくても大丈夫ですよね。


 わたしはさっさと鉱石を見に行きたいのです。


 ストラを放置して採掘場の中に入るとカンカンとツルハシを打ち付けている音が響いています。

 そんなに音の数が多くないので2.3人くらいが掘ってる感じですかね。

 鉱石加工場は採掘場の中にあるので入って行きます。


 えーっと、右いって左いって左いって右いって……次右だっけ?



 ……うーん、あれぇ?

 加工場こんなに遠くないはずなんですけどね。何事でしょうね。


 来た道を戻るかどうか悩みますが……戻れるかどうかも怪しいところです。


「おやユイ様? どうしてこんなところに1人で……ってもしやまた迷われましたか?」


「ま、迷ってなんかないですよっ!?」


 いきなり話しかけられたからびっくりして声がうわずっちゃいましたが図星されてうわずったわけじゃないですよ!?


 振り返るとツルハシと鉱石の入った小さめの籠を腰に下げたホビットさんがいました。

 初めて来た時に方向音痴だとか迷っただとかちょいちょいバカにしてきたホビットさんですが、気さくな人なので今は結構仲良しさんです。


「ははっ、相変わらずですな。

 加工場に一人で行くのはそろそろ諦めたらいかがですか。

 トーイを置いていくたびに迷ってますよね。


 あぁ、そんな迷子のユイ様にはこれをあげましょう。私のオヤツですよ、内緒にしてくださいね。」


 ちょいちょいバカにしてくるけど基本的にはいい人なんですよね。

 わたしの記憶が間違っていなければこの中は飲食厳禁だったはずですが。


 ジトッと見つめると肩をすくめてヘラッと笑っているので言いたいことは分かったみたいですが、渡そうとしてきた切ったバームクーヘンのようなお菓子を半分に割って一つは自分で、もう一つはわたしの口に入れてきました。


「これで共犯だからユイ様もいけない子ですねぇ~。内緒ですよ。」


 相手の口にお菓子を入れた後指を当ててシーッとか! お前はイケメンか! イケメンだが!


 ちょいちょいバカにしてきて、ちょいちょいイケメンになるホビットさんです。

 これが人だったら惚れてた。


 ホビットは今はいいけど大きくなったときに身長差が悲しいので恋愛対象外なんです、ごめんね。

(どう考えても子供扱いされてるだけだけど。)


 ちなみにモテモテだけど彼女はいないそうで募集中ってウインクされた時はびっくりしました。

 わたしまだ8歳の時でしたからね。

 いくらイケメンでも貴方50近いですよね。

 種族のことを抜きにしても年の差めっちゃありますからね。


 連れてってもらってようやくたどり着いた加工場はキラキラとした鉱石がいっぱい広がっています。


 足元に。


 とりあえず皆適当に放置していくので、雪崩が起きたりして足元に転がったりするそうです。

 しかも拾わずに足つぼマッサージ感覚で踏んづけていくって言ってました。


 一つや二つではないので本当に足つぼマッサージです。たまに鋭利なのあって流血沙汰になります。


 足蹴にしたものを加工して卸してるのかぁっ……て思ったけど、喉まで出かかったけどそれ以上は言ってません。ワタシガマンシター。


 加工場は20畳くらいの広さの少し仄暗い部屋です。

 なんか薄暗いぐらいの方が光を当てたときの煌めきが分かりやすいとかで、人がいるところだけたまに鉱石に光をあてるようで光ります。


 話しかけると集中力が切れるとのことで作業中は空気に徹することにしていますが、入り口に置かれた加工済みの鉱石……いえ、宝石を一つずつ用意した袋にしまいながら眺めていきます。


 キラキラしてとても綺麗なので、そんなに宝石に興味がなくてもうっとりしてしまうくらいなのです……。


「あら、ユイ様? 来ていらしたのですね。」


「マーヤさんこんにちはー。

 いつも通り遊び来たついでに宝石受け取りに来ましたー。」


 ニッコリと可愛い笑顔で近付いてきたのは茶色い髪の毛を三つ編みにして後ろに垂らしてる緑の瞳をしたホビットの女性。

 三つ子ちゃんのママのマーヤさんです。


 トーイもそうですが、本当に親には見えない……トーイの一人目の奥さんで、姉さん女房のおっとりした人です。


「ちょうどこれも今出来たところなので領主様に渡すものと一緒にしてもらっていいですか?」


 そういって渡してきたのは雫型に加工された親指の第一関節くらいの宝石と、全く同じ見た目のまま5ミリくらいのサイズにした宝石が二つ。


「わぁ……可愛い……ダイヤモンドですか?」


「えぇ、滅多に出ないダイヤモンドが出たから加工したのです。

 いくつか小さい方と同じようなサイズのダイヤモンドがもう少しあるので次回来た時にはそれも渡せると思うのです。」


 この採掘場は不思議な力があるのか、この世界ではそういうものなのか知らないですが……色んな鉱石がでます。

 色とりどりの鉱石が出てくるので部屋もカラフルでとても綺麗なのです。


「あとは領主様とご子息様にお子様が出来たと聞いたので、代表として贈る宝石は私と妹が加工させていただけるようになったので、誠心誠意頑張らせていただきますね。


 では、私は加工を再開させていただきます。

 お引き留めしてしまって申し訳御座いません。」


「あ、話し相手になってもらってありがとうございます! 完成品見せてもらうの楽しみにしてますねぇ!」


 お母様とサラおねーさまの子供の加工もマーヤさんたちがやってくれるなんて。

 マーヤさんの家系は代々男女問わず加工職人で、トーイとも昔から付き合いがあってそれで結婚するようになったらしいです。


 特にマーヤさんは歴代1.2を争うほどの加工の腕らしくて、実はわたしの宝石もマーヤさん作だそうです。

 出来上がりが楽しみです。


「ユイ様そろそろ帰りませんか? 俺の存在忘れてますよね?」


 はっ!? 案内したままずっと待っていてくれたの忘れてましたっ!?


「ご、ごめんなさい……帰りましょう!

 えと、出口までお願いします……」


「やっぱり俺のこと忘れてましたね?

 仕方ないなぁ。


 さ、行きますよ、お嬢様、お手をどうぞ?」


 イケメンは採掘場でもエスコートしてくれるそうです。




 外に出るとなんか盛り上がったらしく訓練してるストラとトーイがいました。

 完璧にわたしのことなんて忘れてたらしく、二人して「「あっ」」て言ってましたよ。

 おい、本来の案内役と護衛騎士がそれでいいのかっ!?





イケメンホビットさんに惚れたのは私です。

書きながら「イケメンかっ!」って叫びました。



さて、そろそろ生ぬるい空気のある物語がグイッと動くと思います。

挿話のとある女の物語の別バージョンを挟み章が変わります。



ではでは、ちょっと間があいてしまいますが次回更新は3/3の木曜……ってその日ひな祭りですね。

うーん、ひな祭りイベント書くかどうかは未定です!

書くならば次回は金曜です!書かなければひな祭りの日に更新いたします!


では今回も読んでいただいてありがとうございます&ブックマークありがとうございます!

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