閑話.バレンタインデーキーッス
タイトル詐欺です。
あんまり甘くないので期待しすぎないでください(笑)
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バレンタインデー。
女の子が好きな男の人にチョコレートをあげる日。
そしてこの世界にはチョコレートはない。
あったらいいなーとは思うけどわざわざ探したりはしてないです。
何故って?
愛するお米ちゃん以外はなくても困らないからですよ?
うーん、明後日はバレンタインだけど……チョコレートはない。
ないならただのお菓子をあげるっていうのもありですかねー。
クッキーとか簡単だしいっぱい作れていいですよね。
わたしあんまりクッキー好きじゃないんですけど、某おばさんのクッキーってめちゃくちゃ美味いんですよね……あれだけは好きです。
変わり種なのは食べたことないけど……
あんなのが作りたいなぁ。
うーん、でもクッキーだけってのもバレンタインっぽくない……
あ、たしかイギリスだかどっかでは男性から女性にお花あげるとかだった気が……
ってことは、チョコレートないんだから代わりとしてクッキーとお花をあげるのでいいのではっ!
よぅし、そうしましょう。
さて、思いついたら吉日。
お菓子作りは明日するとして、今日はお花を買いに行きましょう。
「ストラストラ、今日はお花屋さんに行きたいです!」
いつも通り横に控えて座って本を読んでいたストラに話しかけると珍しいと書いてある顔でこちらを見てきました。
「珍しいな、花屋だなんて。」
「実はバレンタインデーというイベントがあってですね!
ーーというわけなんです!
なのでクッキーとお花をみんなにあげようと思って、折角だしお母様や使用人の人たちにもあげようと思うので、とりあえずお花屋さんにいきたいのです!」
「ん、分かった。
バレンタインデーねぇ……
ユイのいたところはイベントが多いんだなぁ。」
あのあとは侯爵令嬢モードで領内のお花屋さんにいって、それぞれに合わせて買いました。
よし、我ながら完璧ですね。
男性使用人たちは数が多いので一人一人選べなくて店員さんに使用人に贈りたいと伝えてオススメされたスズランにしました。
女性はバレンタインデーのメインターゲットではないので、お母様やお姉様、女性使用人の人たちも全員カーネーションです。
それにやっぱりみんな私を育ててくれたお母さんみたいなもんだし、カーネーション最適じゃん! とも思ったんですよね。
母の日じゃないけどカーネーション。
一応家族と使用人なのでお母様とお姉さまは3本ずつ、使用人は1本と差別化はしてあります。
あとはやっぱり一人一人選んだほうがいいかなーと思ったのでバラバラです。
花言葉なんかはわからないから全員見た目で選んじゃいました。
フッフッフッみんな喜んでくれたらいいなぁっ!
さて、クッキーも作ったし、ルナに協力してもらってラッピングもここまで終わったけど……
あと少しなのに疲れてやる気が……。
ちょっとギリギリにやり始めたから13の日中に終わらなくてもう日付変わりそうです……
本当昔から限界ギリギリにならないとまだ平気ーってゆっくりしちゃう癖直らないですね……我ながらどうかと思う。
ルナも半分船漕いでたから途中で返しちゃったからなぁー。
疲れたから歌でも歌いながらやりますかね。
「バレンタインデーキース
バレンタインデーキース、ちゃちゃっ」
それにしてもここしか思い出せないってどうなんだろうと思うんですけどね……
しかもちゃちゃっとか適当。
ネット検索出来ても動画とか流せないですからね……歌詞だけ調べてもね……。
「また歌ってるのか、その謎の歌。」
「謎じゃないです、国民的アイドルの歌ですよ!
世代じゃないからここしか思い出せないですけど!」
残念ながらニャンニャンクラブよりもアフターヌーン娘。世代なんですよね。
ただ、歌自体は可愛くて覚えようと思ったんですよねー。
覚えずに今に至るわけですが。
「花買いにいくときもずっとそこだけ歌ってたから聴き飽きた……」
「勝手に乙女の部屋に入ってきて何言ってるんですか。」
「あぁ……悪い。
いやまぁ、でも仕方ない。
だって日付が変わって入ろうと思ってノックしたのに反応ないからな……心配して開けたら歌ってるだけだし……
それ、俺の分も、用意してくれてるんだろ?」
「あれ、それは失礼しました。
あぁ、日付変わったからもうバレンタインのプレゼントがそんなに欲しかったんですか?
クッキーは良い出来ですよ!
過去最高の出来です、おばさんにも負けません!」
おばさん? と首を傾げてるのは見ないふりでシカトです。
おばさんの素晴らしさは食べないと伝わらないですからね。
「本当は朝起きたらお父様に一番にあげようと思ってましたが、そこまで言うならストラには今渡しちゃいましょう。
一番目ですね。
ハッピーバレンタイン!」
笑顔で手に持ったのは綺麗にラッピングされた箱に入ったクッキーと、1本だけのマーガレットのブーケ。
ブーケっていうのかは分からないですが。
あくまでもクッキーがメインだから大量の花束にはしてないのです。
お金がないんじゃないですよ?
わたしこれでも大繁盛のお店持ってますからね!
「マーガレット……」
「あれっ?
マーガレット嫌いでしたか?」
ストラのキラキラした髪の色とか雰囲気に白いマーガレットは似合うと思って選んだんですけど……
「いや、嫌いじゃない……。
嬉しい」
嫌いなのかと思って一瞬焦りましたが嬉しそうに笑ってくれてよかったです。
うーん、顔に近付けて匂い嗅いでますが……美青年とマーガレット似合いますねぇ……
「本当ですか?
喜んでもらえたなら良かったです。
ストラに似合うと思ったのすよー。」
「ちなみにカイザント様やラルフ様たちには何を用意したんだ?
使用人はまとめて同じでスズラン買っていたよな。」
「ですね、スズランも可愛くて好きなんですよねぇ……
本当はかすみ草が一番好きですけど、流石にあれだけでプレゼントは無いなと思ったので……
えーっと
お父様にはサイネリア、ラルフお兄様にはシュウメイギクって名前だったかな……?
キズリお兄様にはダリアです!」
シュウメイギクっていうお花がすっごいお兄様のイメージに合ったんですよねぇ。
「ごふっ……シュ、シュウメイギクか……いや、うん、喜ぶと思うよ。」
なんか噴き出したと思ったら肩を震わせてます。
お兄様のイメージと合うと思ったんですけど、ストラからするとイメージ合わないんですかね?
白いお花だと可愛すぎるとか?
いやでもストラも白いお花だけど喜んでくれましたし……。
まぁいいか。
「いやー明日のラルフ様の喜びようを想像すると楽しみだな。
俺が来たのはもらうのもだけど……これ、そのお礼に渡そうと思って。」
そう言って笑いを鎮めながらも笑顔で渡してきたのは白とピンクの混ざったヒラヒラした花弁の綺麗な花束
「えっと……これは?」
「ブーゲンビリア。
バレンタインデーは男から女に花を渡すんだろう?
……大切なユイリエールお嬢様に、貴女の騎士からの気持ちです。
受け取ってもらえますか?」
貰えるとも思っていなくて、自分があげることしか考えてなかったからびっくりしていたのに、それだけじゃすまなくて。
恭しく目の前で跪いたストラは手の甲にキスを落としてきました。
徐々に顔に熱が集まって真っ赤になっていくのがわかります。
「あ、ありがとう、ございます……」
こういうのは恥ずかしいので苦手です……。
ストラが部屋を出て行ったあとも顔の熱が落ち着くまで寝れませんでした。
ちなみに14の日の朝になって他の人たちたちにも同じようにラッピングしたクッキーとお花を渡したらみんな喜んでくれました。
ラルフお兄様は泣きながら喜んでくれたので良かったです。
えへへ
あ、ほら、泣きすぎてるからみんなが哀れみの目を向けてますよ、お兄様。
さて、バレンタイン仕様ですが、特に甘くはないしキスもしないタイトル詐欺でした。
クリスマスと違ってユイちゃん起きてますからね、本編よりも前の話ですから、あんまり甘くするわけにはいかないのが辛いですね……。
甘々にしたぁい!(笑)
同じ理由でリュカ仕様バレンタインにもできませんでしたー。
さて今回は花言葉からお花を選びました。
せっかくなので載せておきましょう。
*カーネーション(女性用)
「母への愛」「女性の愛」
*スズラン(使用人用)
「幸福が訪れる」
*サイネリア(お父様)
「いつも喜びに満ちて」
*ダリア(キズリお兄様)
「感謝」
*シュウメイギク(ラルフお兄様)
「褪せていく愛」
*マーガレット(ストラ)
「真実の愛」「心に秘めた恋」
*ブーゲンビリア(ユイ)
「あなたしか見えない」「情熱」
です。
ユイちゃんがストラにこの感情を抱いているかは……神のみぞ知る。
ちなみにこのときのラルフお兄様の心境
「ユイちゃんにもらうプレゼントはとても嬉しい! 嬉しいけどおおおお、褪せていく愛ってええええ」
って号泣でした。
ユイちゃんは花言葉は興味ないので知らないです。
むしろ言われればそんなものあったねーくらいの感覚です。
貴族では常識の花言葉は使用人含めみんな知っているのに……
では間にバレンタイン挟んでしまいましたが、次回は明日15日の朝9時になります。
実はまだ完成していないので急ピッチで進めておりますっ……が、がんばるー!




