閑話.『おこめ食堂』
お米が我が領でも普通に食べられるようになった。
これは積極的に集金するべきだと転生物の王道を行こうと思ったので、お父様に計画書を提出しようと思います。
「て、ことでお兄様、計画書の書き方がわかりません!」
まぁ早速丸投げなんですけどね。
分からないものはどうしたって分からないので、お兄様を巻き込んでしまおうということになりました。
「えーっと……お米を使った料理とか、お米に合う料理を提供する飲食店が作りたいの?」
「そうです! せっかく美味しいお米を発見して、領内での収穫の目処もたってることですし……これからお米を特産にして売り出すのなら料理店があってもいいと思うのです!
そうしたらお米がどんなものか分からない人たちもお米を食べることが出来て、商人の人たちも買っていきやすいです。」
「ふむ……なるほど……。
ちなみにどんな料理を出すつもりだい?」
色々食べたいですけど……
「オムライス、チャーハン、唐揚げ、ハンバーグ……とか、あとは様子を見て他領からの輸入で海鮮系ですかね!」
リシュール領は海に面していないので輸入に頼らなきゃいけないのは残念……SUSHIが食べたいです……。
「ふむ、オムライスは我が家で食べたことあるやつだね。
うん、じゃあちょっと企画してみようか。
ユイちゃんがそれで喜んでくれるならば父上が納得するような計画書を考えようか。」
お兄様大好きー!
思いっきり抱きついたらギュッて返してくれました。
お兄様は爽やかでちょっと甘い良い匂いがするんですよ、むふふ。とここでコッソリ言っときます。イイ匂い……くんかくんか。
そのあとお米の原価や一人前分の材料、それを作ってもたらされるリシュール領のメリット、誰を雇うか等、色々一緒に考えて作った企画書をお父様に出しに行きました。
「ふむ、なるほど。
『新しい特産品である米を使った名物食堂』か。まだ細かい粗はあるが良い企画書だな。
場所や金銭は侯爵家でどうにかしよう。
そうだな、料理人もうちのシェフを一人使ってあとは希望者を何人か雇えばいいだろう。
じゃあラルフ、お前の当主としての初仕事だ。
当主代理としてこの仕事をこなしてみろ。」
「は、はいっ!」
あれ、なんか思いの外重い仕事になってしまったみたいですけど……お兄様やる気に満ち溢れているからいいのかな……?
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そしてなんとびっくり2ヶ月後にはわたし発案のリシュール領名物食堂『おこめ食堂』が完成しました。
うんうん、感慨深いですね! 一から作ったはずなのに出来上がりが早すぎて驚いてますけど!
メニューは
・フィアのオムライス
・焼ラージブラックのチャーハン
・フィア唐揚げ定食
・ラージブラックのトンカツ定食
・ハンバーグ定食
・おにぎりセット(塩握り2個と胡瓜の浅漬けお味噌汁のセット)
・からあげ単品(2個セット)
とりあえずテイクアウトは無しでからあげ単品以外全部にサラダが付いて、定食は味噌汁と胡瓜の浅漬けもつきます。
メニューの増減は今後また考える方針で。
ちなみにフィアが鳥、ラージブラックが豚、ハンバーグは豚とアバーの合挽きです。
食用というとこの3つが多いです。
まぁ他にももちろんいっぱいありますが、安いのがこの辺って感じ。
店名は日本語で『おこめ食堂』です。
看板にはちゃんとこの世界の言語でふりがなもつけましたよ?
まぁないとは思いますが日本から転生やトリップする人が来ないとも限らないですし、その時に慣れたものが食べれるように、見覚えのある日本語を使ってみようということです。
え? 海外の人はどうするって? そんなの知ったこっちゃありません。
わたしはジャパン語以外は喋れない混じりっ気なしのジャパニーズでしたから。
あ、家族にはよく『葵語』って言われましたけどね。
外観は京都風にしたので、もちろん犬矢来もつけています!
食品サンプルも外に出したいところですが技術が追いついてなさすぎるのでやめました。わたしの魔法で作ったらナンダコレハってなっちゃう。
暖簾をだしておけば日本食っぽい雰囲気味わえますよね!
内装ももちろん日本風。
といっても正座なんかは辛いと思うので畳の椅子を作ってもらいました。
なんとその椅子が家族に好評で多く作って売ってみたら売れました、やったー。
あ、もちろんお一人様用にカウンター席も作りましたよー。
ちなみに畳の作り方は地球検索で。
ミニ畳を作ってそれを椅子と合体。我ながらナイスなDIYです。
ちなみに畳作りは森のホビットさんたちにお願いしたらどうかとお父様の意見をもらったので作ってもらいました。
彼らとっても器用だったようでアッサリ作ってくれちゃいました。
鍛冶ならドワーフって思うけど畳作りとかね、誰よと。
表立って彼らは商売をしていないので侯爵家お抱えという感じです売る際はワンクッション置かれるようになってます。
お兄様お父様お仕事増やしてごめんね? てへ。
今度は家具屋さんとか雑貨屋さん的なお店を作るのもありかなーと思ってたり。
壁や天井は木を基調とした落ち着いた雰囲気にして、窓は障子……は和紙を作ってないので無理なのでカーテンです。
いいの、妥協じゃないもん、前世実家は障子のところにカーテンつけてたんだもん。
電気はお父様の作った光魔法の魔導具を惜しげもなく使って、和室っぽい傘を作って合わせてます。
食器類はもちろん木で作ります。木の食器って可愛くて好きなんですよね。
銀食器なんて野暮なものはもちろん使いません。
さて、わたしとお兄様のためにこの食堂を繁盛させましょう!
売り上げの3%はわたしがもらえるそうで、子供ながらに大金持ちになりそうな予感、ふふふ。
とりあえず担当シェフには今まで教えてなかった分のメニューを覚えて貰わないとですね!
メニューや店の内装や外観等の大まかなイメージ図はできましたが細かいところはまだまだ!
オープンまで忙しいですねぇ!
むふふふ
いつもより短くてすいません。
このお話の時期的には米が食べたい!って言いだした一年後くらいの話ですのでストラと出会う前になります。
いつもブックマークありがとうございます。
いただいたコメントもニヤニヤしながらたまに眺めるほど励みになっております。
っと失礼しました。
犬矢来の説明してませんでした。
犬矢来とは
・塀や建物の足元が雨の跳ね返り、犬や小動物の便などから汚れないように防ぐためのもの
・立聞きや雨宿り防止
などの意味があると言われているものです。
京都などの古い町並みでよくみる家の外の湾曲して整列した竹のことですね。(調べたら真っ直ぐのもあるみたいです)
雪国などでは雪避けの意味もあるみたいですねー。
本編内で説明するのもどうなんだろうと思って入れづらかったので後書きでの補足で失礼しましたー。
ではまた来週です。




