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転生したってわたしはわたし。  作者: なの
学園編に入ってもいいですよね?
30/60

24.甘い×甘い=苦い

「やばない? やっぱりこれ天使ちゃうの? 俺、もう……どないしよ……。」


「気持ちは分からないでもないけどー。

 ご飯食べる時間なくなっちゃうよー?」


「分かるん!? ナキアさんロリッ……」


「いやいや、違うからね!?

 もうっ、せっかく同意してあげたのに失礼だなぁ!」


 うぅー……うるさい……


「ぅー……ルナうるさいですぅ……あと5分ー……」


「……なんなんこれ、やばない!?」


「いやー……僕はリュカくんの方が変態くさいと思うよー。」


「ううぅ~……うるさい! あと5分って言ってるじゃないで……すか?


 あれ?


 ……なんでうちにリュカくんと……ナキア医務、官……ってここ医務室だーーー!」







 盛大に寝ぼけをかましたあとに土下座をする勢いで謝ったら笑われました。


 どうやら30分たったから起こそうと思ったけれど気持ちよさそうに寝ていたから起こしづらかったらしいです。


 リュカは寝かせといた方が良いんじゃないかと言って、ナキア医務官はご飯食べれないと後で辛いんじゃないかと言っていたらしい。


 どっちも大事なのでわたしには選べないのですが、お家じゃないのでいつまでも寝ているわけにはいかないよねということで、ご飯を食べに行くことにします。


 30分でも寝ていたからか少しスッキリしましたし。


 リュカのステータスのことはとりあえず忘れることにします。


「じゃあ食堂の場所だけど……」


「失礼します。

 ユイリエール・リシュールさんとリュカくんはいますか? っていた、良かったユイ大丈夫かい?」


 扉を開けて入ってきたセイルは心配そうに声をかけてくれるけれど、わたしはまずこう言わなければいけないのですよ。


「あ、セイル。よくも見捨ててくれやがりましたね。」


「いやぁ、顔色悪かったのも本当だからね、ぼくも心配したんだよ?


 まぁ半分以上面白がってたことは否定しないけど。」


 くっ、一瞬感動してしまった気持ちを返してください!


「は、恥ずかしかったんですよ!?」


「そうだねぇ、抱かれてたしね。

 リンゴみたいに顔真っ赤でとっても可愛かったからついつい何も言わず送り出してしまったけれど、とっても恥ずかしがってることは予想できたよ。

 まぁリュカだけは気づいていなかったみたいだけどね?


 顔、近いから恥ずかしかったもんね?

 ふふ、確かにこんなこと真っ赤な顔で言われたら可愛くってこっちまで照れちゃうよね~?」


「は? ちょお待てなんでそれ……!」


 リュカの顔がどんどん赤くなっていくのが視界に入ってわたしの脳みそにもセイルのセリフが染みてきます。


 それは さっきの 医務室に 来る前の わたしたちの 会話 では?


「ちょっと待ってください、セイル聞いてたんですか!? ちょ、どこで!?」


「うん、残念ながらぼくだけじゃなくて演習場にいた全員が聞いてたよ。

 マキア先生が『ああいうのって気になりますねぇ? 覗き見するのは悪いと思うのですけど、たまたまちょっと聞こえちゃったのなら仕方ないですよねぇー?』って笑顔で樹木魔法使って、蔦を伸ばしていってリュカの服の内側に種植えてた。

 その種が一定の距離までなら音声傍受出来るらしくて、君たちの会話が演習場で響いてたよ。


 なんとも初々しい会話すぎて皆恥ずかしそうにしてたけど、あんな優しそうな顔してるのにマキア先生とっても楽しそうでイキイキしていたよ。


 ちなみにダン先生は呆れてたけれど止めはしなかった。

 それで今ここに来るときに『あいつは学生の時からああいう女なんだ、諦めろ』って伝言を預かってきたよ。」


 なんだそれえええと悶えるわたしの横でブレザーを脱いで裏面を確認したリュカは本当に種を見つけたらしく手のひらの上で無言で圧縮して潰してました。


 早速さっきの闇魔法が役に立ちましたね。

 無表情だけど顔真っ赤で魔法使ってもちょっと可愛いだけですけどね。

 わたしに関係なかったら微笑ましかったのにっ……


「あぁー……なんか、ごめんね? マキアはそういうやつなんだ……

 だからアイラちゃんとも仲がよかったというかなんというか……。」


 あぁ……アイラお姉さまのお友達だと思うと……うん、仕方ないのかなぁ……。

 ナキア医務官大変だったんだろうなぁ……。





 そのあとは食堂に3人で行き盛大にクラスメイトに絡まれ冷やかされましたが、リュカも皆と仲良くなれたので結果オーライ……


 わたしとリュカの羞恥心と引き換えに友情をゲットしました。








 -------------------------------------







「ユイ……本当に座学の授業ぼくの後ろに隠れて寝る気だったとは思わなかったよ……。」


「すぴすぴいっててバレてたけどな。」


 ……。


「そうだね……後ろから可愛い寝息が聞こえるもんだからぼくも笑っちゃうのは仕方ないとおもうんだよね……。」


「それよりも隣のやつがずっとユイの寝顔眺めとったで。

 一生日の光拝めないように目ん玉潰したろかと思ったわ。」


 ……。


「あの……。」


「「ん?」」


「何なんですか、この羞恥プレイ……」


(寝ていたのでほとんど聞いていなかった)午後の授業も終わり、昨日の教訓を生かしてセイルとリュカに門まで送ってもらうことにして3人で歩いているのですが、ひたすらわたしの羞恥心を煽るようなことしか2人とも言いません……


 そりゃあ……寝ててうるさかったのは悪いなと思いますけど……


「リュカには迷惑かけてないじゃないですかっ!」


「授業止まった。」


 うっ……


「そして起こさない俺まで連帯責任とか言われて怒られたで。」


「ちなみにぼくも笑って見てただけだからって怒られたよ?」


 うっ……


「ごめんなさい……」


「よろしい。」


「ふふっ」


 ぅ、ぅぅ……ちょっと寝てただけなのにダン先生が厳しいんですよ……


「お腹いっぱいになったら眠たくなっちゃったんです……」


「なんていうかすぴすぴ眠ってる感じが可愛らしくて、ラットの赤ちゃんみたいだって皆で言ってたよ。」


 ……よく言われます……。

 食べてる姿とかがハムスターとかネズミとかウサギとか、そういう草食動物のようだと言われましたよ……。


「でも今日の授業は大事だと思うんだよね、今朝の話だけど、昨日から護衛が心配していることに関する話だったのだからね。」


 ーー『瞳の色は金色じゃないかっ!?』ーー



「……金色の瞳?」


「そう。

 金色の瞳はある条件を満たさないとこの世に産まれない。それは猫の形をしていようと、人の形をしていようと同じ。


 ……なんだと思う?」


「……魔族。」


 うーんと悩んでいるとリュカが横から答えてしまいました。


 魔族。

 そういえば魔族はいるってクロサワ氏言ってたかもです……遠い過去になりすぎてすっかり忘れてました……もう10年たったんですもんね。


「そう、魔族。

 でもリュカが答えちゃ問題にならないじゃないか……。

 君は授業真面目に聞いてたのだから……。

 そもそも小さいころから魔族なんてお伽噺の中とかで聞いただろうから普通は知ってると思うんだけどね……。」


 あー……わたし小さいころから読んでもらう本は魔法の本とかばかりで絵本とかお伽噺とかって全く読んでもらってないですね……それでかぁ……。


「まぁいいや、そう。

 金色の瞳を持つ条件、金色の瞳を持つ者は皆魔族の血を引いているんだよ。

 ユイが昨日見たという猫も金色の瞳だったんだろう? ならそれは魔族だ。」


「魔族だと何が悪いんですか? 昨日の魔族(仮)は大人しい猫さんでしたよ?」


「そうだね、そこが疑問なんだよね。

 ユイの話だと、迷ってから辿り着いた場所でその魔族と遭遇した。そして魔族に話しかけながら一緒に横になって寝ていた。

 そして起きたときには魔族はいなくてキミの護衛だけがいた。


 そもそも魔族は気性の荒い存在だって言われているんだよ。

 金色の瞳に囚われたら逃げることはできない、と言われているほどだね。

 人型魔族だと1人倒すのにCランク冒険者が5人必要だと言われているくらいに強い。


 何故その猫型魔族は普通の猫のようにユイに接してきたのだろう?

 そもそもどうやってこの王都に入ってきた? 王都の門の警備はそんなに簡単に突破できるものじゃないし、無理やり入ってきたら今頃もっと騒いでるはずなんだよ。


 っと門が見えてきたね……あ、あそこにいるのが君の護衛かな?

 おや、随分若くて整った顔をしてるねぇ……」


 魔族魔族……昨日の猫さんが? うーん……。

 たしかにストラは『猫なんて見ていない』とか『危険だ』とも言ってましたね……そういう意味だったんですねぇ。


 あの言い方はつまりストラが来た時はいたってことなんですかね。

 そんな危ない存在が一緒に寝た? うーんでもなぁ……そんな危ないようには……


「ユイリエールお嬢様お帰りなさいませ。


 ……そちらはご学友の方ですか。

 私はユイリエールお嬢様の護衛騎士のストラ・ハイエルと申します。以後お見知り置きをお願いします。」


「ぶふっ……」

 考え事して油断してました! そういえばストラ余所行きのときこうやって猫かぶるんでした!


 初対面のときは猫がずるずると落ちてたけどこの3年ですっごい上手くなったんですよね……。


「ご丁寧にありがとうございます。

 ハグアス伯爵家第三子、セイルス・ハグアスと申します。

 護衛騎士殿のお話は聞いておりました。お会いできて光栄でございます。


 女の身ではありますが男の格好をしておりますので騎士の礼で失礼いたします。」


「「ぶふっ……!」」


 今度はセイルの盛大な猫かぶりっぷりにリュカと一緒に吹き出してしまいました……!


 見た目ポーズ的には騎士の礼をとっていて半端なくイケメンオーラぷんぷんだけど、猫かぶりっぷりにキャーキャーいうよりも笑いがこみ上げてきます。

 リュカさん、俯いていても口元が笑い出そうに緩んでいますよ。




「君がリュカ殿ですか?

 ユイ(・・)から話は聞いています。

 猫の獣人だそうですね。

 他種族ですと風当たりは悪いかもしれませんがユイはそんなこと気にしませんから、どうぞよろしくお願いしますね。」


「問題ないです。

 まだ2日しかたってはいないですがユイとは常に一緒にいさせてもらっています。

 今日も体調が悪くなったそうで俺が抱えて(・・・・・)医務室に連れて行かせてもらったので、安心してください。」


 あれ、なんだろう、この二人とっても相性悪いんですか? 昨日の話とか抜きにしても、相性悪い感じですか……?


「見事にバチバチしてるね。うんうん、ぼくの予想通りだ。」


「え、予想してたんですか?

 ストラと会ったことなかったのによく分かりましたね……。」


「ふふ、ユイが可愛いからね、君を見ていると分かるよ。

 思わず抱きしめてしまいたくなるくらい君は可愛いからね。」


 うひゃあああ!?

 既にセイルに抱きしめられてますけど!?


「「おいっ!」」


 盛大にパニクっていたらストラに引き剥がされて抱きしめられ、セイルはリュカにチョップされてました。


 ふはーイケメン(女)に抱きしめられるとか心臓に悪いです。

 今日はよく抱きしめられる日です……恥ずかしくって顔が熱い……!

 ストラは慣れたので恥ずかしくないんですけどね……セイルは同性でもダメです……。


「ありがとうございます、ストラ、助かりましっ……ふぇい!? な、何するんですか!」


 引き剥がしてくれたお礼を顔を見ながら述べたら何故か途中で身体の向きをぐりんっと変えられました……何をする!?


「あー……なにこれ、ぼくこんなデバガメだと思ってなかったんだけどな……すごい楽しいね……」


 わたしは訳がわからなくてわたしは楽しくないです……


「ごほんっ……じゃあユイ、帰るぞ。

 リュカ殿とセイルス嬢は寮生ですか?

 敷地内だから大丈夫だとは思いますが、お送りいたしましょうか?」


「いえいえ、大丈夫です。

 ユイをまた迷子にならせないように、気をつけてください。ぼくたちは二人で寮に戻りますので。


 あと護衛殿、ぼくのことはセイルと呼んでいただいて構いませんよ。」


「分かりました、セイル嬢。

 私のこともストラと名前で呼んでいただいて構いませんので。


 では失礼いたします。お気をつけて。」


 セイルにはにっこりと紳士のような笑顔でのやり取りなのにリュカに対しては途端にバチバチするのやめてくださいよぅ!

 腹黒そうな笑顔でお気をつけてとか言われても絶対気分悪いですって!


「甘いものと甘いものが掛け合わされると、苦くなるんだね。


 ふふ、また明日ね、ユイ。」


 セイルは謎の言葉を残したと思ったら手の甲にキスとかやめてええぇー!

 このたらしぃぃぃぃ!





ストラ、ライバル登場に気付く。

ユイ、男二人を弄ぶ!

そんなユイを弄ぶセイルが最強説。

たらしの称号は伊達じゃない。


そしてたまに吹き荒れるアイラお姉さまからの流れ弾にあたるユイちゃんです。


次回の更新は大晦日!

31日の朝9時更新です。

もちろん本編ではありません。


さてさて、ハロウィンクリスマスとストラと過ごしているユイちゃんですが、大晦日はどうするのでしょう?

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