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転生したってわたしはわたし。  作者: なの
学園編に入ってもいいですよね?
29/60

閑話 You the first time of Christmas

 さて、先日ハロウィンが終わったばかりですが、もうクリスマスの時期ですね。


 街中は今頃クリスマスソングが流れていて、キラキラとイルミネーションが……



 うん、ねーな。




 こうさ、ハロウィンって……日本だと『皆存在は知ってるけど特別に何かやったりはしない』じゃないですか。

 まぁ仮装して街中を練り歩く人はいたみたいですけど、それも極少数ですし。


 でもクリスマスって街行くとキラキラしてたしプレゼント交換とかさ、こう……楽しい思い出がありすぎて……特別感あったのにさぁ……。


 ハイリシエールではそんな文化がないから屋敷の中も普通。

 領内も普通にいつも通り。


 12の月に入ったのに、普通。


 もうさ、領内総出でクリスマスやっても良いのではないですか?

 今までむしろよく我慢しましたよ、わたし。



 まぁ、街にあまりでなかったからそこまで気にならなかっただけなんですけどね。



 -------------------------------------




「これよりー!

 リシュール領を巻き込んだー第1回クリスマスイベントの作戦会議をはじめまーす!」


「は?」


 は? って顔されたと思ったら、普通に言われました……


「作戦会議の司会進行はわたしです!

 さて、参謀のストラくん、何か意見はあるかね?」


「まず説明をしろ。

 くり、すます? ってなんだ。」


 分かってたけどそこからなんですよね……前途多難です。

 せめてもう一人転生者でもいれば意思の疎通がとれて楽なのに……!


「説明しよーう。

 クリスマスとは、サンタという赤い服に白い髭の特別なお爺さんがトナカイ……えっとこの世界だとケリュネイアみたいな感じかな、を伴って良い子の元にプレゼントを届けるイベントです!


 そしてそのイベントは12の月の24の日が前日でクリスマスイヴと呼ばれ前日祝いみたいな感じで、25の日がクリスマスの本番で夜中にサンタさんがプレゼントを置いていくと言われています。


 ちなみにお伽噺のようなものなので実際には親が子供にプレゼントを買って枕元に置いてある赤い靴下に入れておく、って感じですかね。


 あとは気付いたら恋人たちが共に過ごす日ってイメージもありますが、基本はサンタクロースがメインですね!


 わかりましたか? ストラくん。」


「『今日の会議』はそのキャラなのか……若干ウザい……。


 まぁ大体はわかった。

 つまりが自分が子供だからプレゼントが欲しいって話か?

 でもユイ良い子じゃないから貰えないだろう。」


 まさかの良い子じゃない宣言。

 あれ、わたし結構良い子なつもりだったんですけど……!? 何がいけなかったのですかっ……


「ち、違いますし、プレゼント欲しいんじゃないですし……」


「諦めろ、声震えてるぞ。」


「ち、違うもん!

 クリスマスの時期はどこもかしこもキラキラとした飾り付けしてて綺麗だったから! それを観光名所のようにしてリシュール領内も綺麗になったらもっといいんじゃないかなって思っただけで……」


「ふむ……まぁそれは企画としてありなんじゃないか?

 領内も賑わうし……早速カイザント様に言ってこよう。

 まぁ流石に近辺以外では難しいからリシュールの街のみになるだろうが。」



 あれ?






 -------------------------------------




 なんとイベントをわたしが考えたということにして少しだけハイリシエール風に変更をしてリシュールの街でクリスマスが行われることになりました。


 サンタさんは七大神に変更しーー誰しも微弱だろうと魔法適性はあるので、それぞれ一番得意な適性魔法の神様がくるということになった。ーー

 トナカイは神様に仕える聖獣に変更されました。

 ちなみに一例をあげると、地の神様は獅子に乗って現れるそうです。


 白い髭のジジイと虫や草メインの雑食のトナカイが、女神様と肉食の百獣の王になってるからね、明らかに怖いですから。

 戦力過多ですよ、苦しみマースじゃなくて普通にクリスマスの方ですからね!





 そして25の日の寝てる間に神様が現れた子供には次の日良いことが起こる、と。

 ちなみに楽しみにして神様を見ようと子供が寝ない等があると子供でも仕事をしているような平民は次の日に支障をきたすため、いつも通りに寝ないと良い子とはみなされない、らしいです。

 超現実的。


 プレゼントを買うお金がないような家はご飯がいつもより豪華になる、って感じになるみたいです。

 なんでも、お父様……領主から冒険者ギルドに依頼をして食べれるモンスターや獣を狩り、安い金額でそれらの売買をするそうで、親にはプレゼントとともに領主から安く肉が買えるという話がクリスマスとしてすごい勢いで広まっているそうです。


 ぱっぱと次々と決まっていき、イルミネーションも地球みたいにキラキラとした電飾で……とはならないですが……

 領内にはランタンやモールのような装飾品などでキラキラと輝いています。


 これです、これ! このキラキラ!

 24の日と25の日は町中お祭り騒ぎで屋台も出るそうなので、お父様に許可をもらって昼間いってこようとおもいます!







 -------------------------------------







 目の前には頬を膨らませて唇を尖らせた、大変わかりやすく拗ねているユイがいる。


 クリスマスイベントを考えてからというもの『領内の準備を手伝う!』とテンション高く色々なことを手伝っていたら疲れが溜まったらしく23の日の夜に高熱を出した。

 そして今は26の日に変わって少しした深夜で、クリスマスは終わっている。

 まぁつまりがお祭りには参加出来なかったから拗ねているというわけだ。


 目を覚ましたユイに今すぐ来いと呼び出され、起きたユイと相対している。

 と、いっても熱を出してからはユイの近くで昼夜問わず警護をしていたから部屋の外にいたのだが。


 まだ熱があるらしく瞳を潤ませながらーー実際に悔しかったらしく涙目なのだがーー盛大に拗ねている。


 思わず頬を挟んで空気を抜いてやりたいくらい可愛い。


 ちなみに呼んだ理由は八つ当たりしたかったらしい。

 なんだそれ。

 本当にかわいすぎる。


 最近俺は少女趣味があったのかと悩んでいるのだが……

 実際にこの少女を見ていると中身は年齢にそぐわない、というよりも異世界の記憶があるというから俺よりも精神年齢は年上なわけだし

 見た目も街で見かける同年代の少女たちよりも明らかに大人っぽくて可愛い、というよりも度々綺麗だと思うときがあるくらいだ。


 少女趣味……と悩みながらも、これは少女趣味とは言わないのではないだろうかと思ってもいる。

 それに貴族の政略結婚ならば11なんて歳の差はよくあることだしな。

 問題ないかな? と思ってきてもいる。



「お祭り……行きたかったんです……」


「そうだな、ユイが熱出したから俺も行けなかったな。

 結構楽しみにしていたのだが。」


「うっ……ごめんなさいですよ……でもでもっ、だってぇ……」


 ふえっ……と目に涙をためていくユイは初めて見るが、今にも溢れんばかりに涙を溜めて、というかすでに溢れているが、泣いてるさまも可愛くて……綺麗だ。


 つい、クスリと笑って頬に手を伸ばして一撫でしてから抱き締めて頭を撫でてやる。


「ふぁっ!?

 えっ……ス、ストラ?」


 驚いたのか上ずったような声を出すが無視して撫でる。


 驚きで涙も引っ込んだようだからクリスマスがどうだったかを報告してやろうと思いーーいつでも抱きしめれる距離だがーー体を離す。



「悪い悪い、楽しみにしてたのは本当だが、今のはただの意地悪だ。

 泣きそうな顔してたからつい、な。


 俺はユイと一緒に行くのを楽しみにしてたから、一人で行きたかったわけじゃないんだよ。

 一人でいっても楽しくなかったよ。


 領内賑わってたみたいだぞ。

 昼間に一度街の様子見てきたけどな、子供達もいつもより楽しそうだった。

 普段金に余裕がないような家の子供達であろう見た目の子たちも、多分親に、いや、サンタクロースにもらったのだろうなと思える髪飾りとかしてる子もいた。

 親たちも子供達も喜んで参加していたみたいだぞ。

 領民が喜んでいたぞ?

 クリスマス、やってよかったな。」



「ふ……っ……ぅぇ……本当、ですかぁっ……

 喜、んで、ひっく……くれる、人、がいたな、ら……よかっ、ふぇ、よかった、です……。」


 目の前でなんとも言えない、人が喜んでくれたなら良かったような、でもなおさら参加出来なかったのが悔しいような表情をしながら涙を流すユイを再び抱き締め撫でてやると、今度は驚かずひくひくと泣き続ける。


 熱もあり涙腺が緩んでいるのだろう。


 涙を流すユイの頭に、髪に、額に、目尻に、頬に、そして最後にまぶたの上に。

 順番に唇を軽く押し付けていき、泣くなと笑顔で言ってやる。


「また来年もやればいいだろう?


 それにほら、サンタクロースや七大神からはこなかったが、両親兄弟全員から、使用人たちから、もちろん俺からも、プレゼントが届いているぞ、よかったな。


 少し遅くなったが……メリークリスマス

 また来年も俺はユイの側にいると誓うよ。


 おっと……泣き疲れて寝たか……。」


 ふっと体重がかかりもたれかかってくるから覗いてみればスースーと寝息を立てていた。

 明日の朝にはきっと熱が下がっているだろうが、どんな反応をするのだろうか。


 顔中に口付けたからなぁ、さすがに思い出して顔を赤くするか?

 それは楽しみだな。


 抱きしめていた身体を離してベッドに横たえさせてやり、最後にもう一度瞼に口付けてから部屋を出る。







 次の日の朝、夜の記憶が全く残っていないユイに本気で打ちひしがれてしまったが……


「ほらほら! ストラ見てください、色んな人からプレゼントがきていたのですよ!

 けど皆色んな神様の名前しか書いてなくて誰のかわからなかった……。

 お礼が直接言えないけど……クリスマスですもんね、言わないほうがいいですよね!

 だってくれたのは神様なんですもんね。

 ふふ、いっぱいあって嬉しいなぁ。」


 そう言って笑っていたからまぁいいか。

 泣き顔も可愛かったがやっぱり笑ってるほうが似合うからな。


 まぁ……ラルフ様とか7つ用意していたからな……誰からかも分からないだろうなぁ…….まさか七大神全員分プレゼントするとは思わないだろうよ……。



 それに……

 全部開封したあとに一番気に入ったからつけてくれと渡されたのが俺のプレゼントしたラピスラズリがあしらわれたネックレスだったからな。


 今は憶えてなくてもそれだけで充分だ。







なんだかんだ暴走気味のストラでした。

これは本編よりもちょっと過去で、ストラと出会った年のクリスマスのお話でした。

ネックレスは今でも大事にしていますよ。



書き始めた当初はホワイトクリスマスにしてクロサワ氏をだして「わたしだけのサンタクロース」ってタイトルにするつもりだったんですけどね。

クロサワ氏のこと知ってるのユイだけだしタイトルいいじゃーんとか思ってたんですよ。

そしたら何故かストラに乗っ取られました。

なに看病イベントみたいなことしてんの貴方。



ちなみに男性から女性へのプレゼントの意味ですが、ネックレスは束縛の現れです。

指輪やブレスレット等も同じだそうです。

輪っかになってるものが拘束の意味合いがあるらしいですよ。

まぁ実際そんなこと考えて送る人はほとんどいないと思いますけどね。

そしてラピスラズリの石言葉は健康、愛、永遠の誓いです。

ストラの愛は重量級。


そして7歳児の顔面にちゅーしまくってた18歳男児ですが(こう書くと変態臭やばい)

最後にしていた瞼だけ意味を持たせてちゅーさせました。

瞼のキスは憧憬です。

ちなみにキスの意味を調べた際に作者が最後にストラにさせたかったキスの場所は喉です。

途端に18禁になるのでやめました。

気になる方は調べてみてください。

ソレアカンヤツヤー!ってなりますから。




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