表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したってわたしはわたし。  作者: なの
ファンタジーっていいですよね
2/60

2.わたしの家族は美形でした。

 こんにちは、杉崎葵ことユイリエールです。

 愛称はユイらしいので日本人みたいで愛着がわきますね。

 転生してから一ヶ月がたちました。


 少しずつ言語を理解できてはいるのですが、覚えが悪くて困ったものです……。

 今こそ皺を増やす時ですよ、赤ん坊の脳みそよ!


 とりあえずひたすら暇つぶしに鑑定をしている毎日です。


「ユイちゃん起きたー? 抱っこしますよー?」


 そういいながらわたしを抱き上げるのは黒曜石のような黒髪に翡翠色の瞳をもつ美しい女性、わたしのお母様であるリリエラ・リシュールさんです。

 とっても可愛らしいうえに綺麗なので4人も子供がいるようには見えないんですよね……。

 25歳らしいくて前世のわたしと同いど……あっとわたしは16歳でこちらにきたんでした。


「ユイちゃん今日も可愛いね、天使みたいだねぇ」

「お母様、ユイおはよう」

「おはよう」


 上から長男のラルフシェイドお兄様と長女のアイラお姉様、そして次男のキズリエラお兄様です。

 ラルフシェイドお兄様とアイラお姉さまは双子の9歳、キズリエラお兄様は7歳だそうです。

 この情報は鑑定から得てます。

 なにこれ超便利、さすがどの異世界ものでも基本あるスキルなだけありますね。

 あ、ちなみに鑑定は日本語で表示されているので今からでも読めて便利です。


 日常会話を軽く覚えてる程度なのに天使とかいう単語がわかるのは、お兄様がひたすらわたしを天使天使と猫かわいがりするからなのです。

 むしろお兄様もとっても優しそうでカッコイイしほんわりしているので天使でいけると思います。

 中身がシスコンで残念ですが。


 というよりも我が家全員が天使みたいに整った顔立ち、ときたらわたしの顔もそこそこ美人さんなのではないでしょうか!

 まだまだ産まれたばかりなのでぷっくりしていて赤ちゃんの可愛さでしかないとは思いますが……。





 ダダダダダダッ


 っとなんでしょう? 誰かが走ってきているような音が近づいてきていますね。


 バターン!


「リリィ! *******! *****!」


 長い髪の毛を緩くしばった男性が走ってきましたが早口すぎて全く何をいったのかわかりませんでした。

 唯一わかったのはお母様の名前だけですが、お母様の名前を呼び捨てにしている使用人の方達はいないのでもしかしなくてもお父様でしょうか?


「アダァー」


 声をかけてみたらこちらを向いて蕩けそうな締まらない顔をしながら抱き上げられました……が、高い! なにこれ怖い! 高身長の高い高いって怖いな!?

 わたし高いところ好きだけどヘタレチキンなので苦手なんです!


「可愛いなぁ……「オギャアアアアアア!」っとうわああ! リリィ*****!?」


「あらあらーふふふっ******ー。*****ですよー」


 ニコニコしながらお母様の腕の中に招かれます。

 女性の柔らかさはとても安心できますね……抱かれ心地も素敵です。

 お兄様やお姉様たちと全然話をすることも出来ず、お父様らしき人との初邂逅はわたしの大泣きで終わりました。










-------------------------------------------------------









 はい、ユイリエール1歳です。

 もうほぼ言葉はマスターしたといっても過言ではないのではないでしょうか。

 わたしも喋れるようになってきたので意思の疎通も少しずつ出来るようになっています。


 そういえば前に抱っこされた男性はやっぱりお父様でした。

 カイザント・リシュール28歳、やはりリシュール領主の貴族様だそうです。

 わたしの生後一月の間はちょうど領内視察やら王都への呼び出しやら色々あって忙しかったらしく、あの日が初邂逅となったらしいです。

 あのときは抱き上げられた高さに恐怖して大泣きしてしまいましたが……とても家族想いの優しい良いお父様です。

 そしてあの時はよく見えていなかったのですがやはりイケメンでしたね、えぇ知っていました。

 薄い紺色の少しつりぎみな瞳とガーネット色の髪の毛をしていて『ああ、お兄様たちはお母様とお父様の子供だなぁ』と分かるほど見事にミックスされてます。

 ちなみにわたしも最近鏡を発見しまして自分の顔を見れるようになりました。


 可愛いです。

 我ながら美人になりそうだと思いました。

 翡翠色の瞳にガーネットの髪色、そしてお父様に似て少しつりぎみですがぱっちりとした二重、わたしが男だったら嫁にもらいたいくらいです、俺の嫁! です。

 こりゃあお兄様に天使と言われてもおかしくないですよねー。






 では今日も元気にベッド脱走です。

 皆がまだ寝静まっている明るくなる前からわたしの朝は始まるのです。

 この世界、天使クロサワ氏の言うとおり魔法が使えるのですよ! そしてもらった創造魔法!

 練習しないわけにはいかないじゃないですか。

 女の子の憧れ魔法少女のために!

 とりあえず脱走するために水を凍らせて滑り台を作ってベッドから降ります。


「えーい、氷の滑り台でてこぉ〜い」

 実際は呂律が回ってないので

 えーい、ほーいおすえーあいてぁーい! って言ってますが間抜けなのでそこらへんは無かったことにしましょう。

 一瞬でキラキラと光る滑り台が出てきます。

 そして柵があるので身体を風で浮かせて、滑り台にスルーン!

 きゃー楽しい! ちょっと短いのが不満ですが仕方ないですね。

 ん? いえいえ、風で浮かせて普通に出れば滑り台いらないなんて、そんなことないですよ? 滑り台で出た方が楽しいですから意味はあります。

 わたしはいつまでも子供の心を忘れないのですよ、赤ちゃんですし!

 では次は証拠を消しましょうか。

この世界で魔法を使えるようになるのは早くても5歳くらいらしいので1歳児だとちょっと早いのでね。

天才と持て囃されるならまだ良いのですが……異端児と言われるのはちょっと困りますね。

 平々凡々がモットーです。


 火の魔法を使って周りが焦げないように、そして水たまりも出来ないように……

「ぅー……蒸発しろぉ!」

 ジュワーっと消えてあら元どおり!

 これでいつも通り見つかるまでお屋敷探検しながら魔法のお勉強ですね。


 さて、まずはどこに行きましょうか。

 実は今までは部屋の中しかうろうろしたことないのですよね。

 なんていってもこのお部屋広いのですよ。

 続き部屋含めると前世のわたしの実家の広さは軽くあるんじゃないですかね?

 続きになってる隣の部屋はオモチャが置いてあってですね……最近そこのオモチャで遊ぶのが楽しかったのでそこで見つかってしまってたのですよ……大人の意識があるはずなのにオモチャに夢中になるとは……くっ。

 といってもオモチャの数がすごいんですよ! お兄様お姉様が三人もいるからオモチャいっぱい!

 見たこともないものからおままごとセットみたいなもの、けん玉みたいなものまであるのです。

 あと木剣が何故か何本か置いてあったのでとても振り回したかったのですが、流石に無理でした……身体のサイズ的に。

 なので、今日こそはオモチャの誘惑に打ち勝ってわたしはこのお部屋を出るのです。

 いざ行かん! 未知の領域へと探険じゃー!






 はい、見事に迷いました。

 そういえば忘れてましたがわたし方向音痴でした。

 人を避けて気配のしない方しない方へと進んでいった結果すごい暗いところにきてしまったようです……。

 あまりこちらに人がこないのか灯りも完璧に消えています……こ、怖い……。

 わたしホラー系ダメなんです、某絶叫遊園地行ってみたいけどお化け屋敷行きたくないから行けなかったくらいですもん。

なんで皆あそこいくならお化け屋敷もいこう! っていうんですかね!?

 いや違うんですよだって! 昔テレビで世界一怖いお化け屋敷ベスト3にランクインしてたんですよ!? しかも一位で!

 しかもしかも、あそこ本当に廃病院だとか本当に出るとか言うじゃないですか……ってやめましょうこの話、そういう話すると出るって言いますし怖くなってきました……。

 う、うう……とりあえず帰れる気もしないので部屋を覗いて見ましょう!

 えいっ、樹木魔法で草を生やしてドアノブを回してっと……ここは、うーん、物置ですかね?

 恐怖が全く薄れない部屋ですね、入ってはみますが開けて損したかもしれないですね、これは。

 どれどれー? まずは足元の木箱を……んー……鎧?

 シルバーのプレートメイルってやつですかね、興味ないです、ハイ次ー



 っと色々ガチャガチャやっていたら楽しくなってきて結構な時間がたったらしく眠くなってきてしまいました。

 引っ張り出したりして囲まれてしまった木箱の間で力尽きて寝てしまったようです。


 屋敷内は末娘がいなくなったと誘拐騒動で大騒ぎだとも知らずにグースカと。


 そしてその一時間後くらいに、うっかり放置したままにしてしまったドアに生やした草と開け放たれたドアとごちゃごちゃになった木箱。

それらを見て泥棒に誘拐されたのかと勘違いをしたメイドさんの焦った悲鳴にも近い声で起こされ、寝ぼけ眼でぼんやりと起き上がって初めて木箱の間にわたしがいることに気付いて驚いた顔をしたメイドさんに抱きかかえられ、自分のお部屋に連行され……いえ、戻されました。

 そしてそのあと青白い顔をした両親と大号泣のラルフシェイドお兄様ーー鼻水すごいので近寄らないでほしいーーそしてホッとした様子のアイラお姉様とキズリエラお兄様に順番に抱きしめられたあと、メイド長のハイジェルさんにとても怒られました。





 そして魔法が使えることが早々バレてしまいました。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ