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転生したってわたしはわたし。  作者: なの
新人だろうが冒険者っていいですよね。
13/60

13.可愛いだけじゃないんです。

「とりあえずどうしましょう?

目立ちますよね……このまま連れて行くと。」


 キュイキュイと楽しそうな睡蓮を横に置いて、ストラと向かい合って作戦会議です。

 おうちに連れて帰るのはいいとしても問題点が三つほどあるのですよね。


 まず1つめは虹色スライムが希少すぎて見たことない人が多いから目立つこと


 2つめは隷属の首輪は首や引っかかるような場所がない柔らかいスライム類には効かないし、魔獣の隷属契約自体が違法なので街中に連れていく行為自体が目立つということ


 3つめは2ができないのに連れている=使役契約をしているということがバレる。


「そうだな、目立つな。

 せめてもう少し小さければそんなに視界にも入らないと思うし、カバンとか買えばそこに入れておけるな。

 腰に巾着とかつけたりとかでもいいしな。


 てことでどうにかユイの魔法で小さくしたりできな……いか……」


 ストラの声が小さくなって驚きに目を見開いていきます。

 そして視線が睡蓮の方に向いています。


 そういえばキュイキュイ楽しそうだったのにさっきから静かですね? と思って見てみれば


 手のひらサイズの睡蓮がそこにいました。


「キュイ?」


 これでいい? あれ違う? どうしたの? と言わんばかりの表情をした睡蓮は……どうやらサイズ変更可能だそうです。

 人間の頭サイズが手乗りサイズへと変化していました。




 ストラいわく、使役獣は主の能力で強さが変わったりするそうです。

 契約しようとする時に(まと)う魔力や身体に流れる血で人の中身ーー性格や精神等、どんな人物像なのかーーを見抜いて契約するに値する人物かどうか、魔法や戦闘の得手不得手などを見極めるそうです。

 一瞬で脳内で色々見抜いたりとか駆け巡るとか、走馬灯みたいですね。

 まぁ見たことないんですけど。



 何百年前の文献でしか載っていないような存在になっている使役獣ですが、唯一確認されているのは我が国シェルハザードの王家に仕えている使役獣。


 なんでも先祖代々妖精(ピクシー)が何匹(何人?)も使役されているそうです。

 妖精たちは面白いこと、綺麗なもの、甘いものが大好き! という生き物なので……。

 『王家という一般人とは違う面白い存在。』『代々色んな貴族たちから厳選されて嫁がれてきた美しい妃から産まれる見目麗しい子供達。』『財あるものの特権であるデザートなどの甘い菓子類。』


 ずっと使役されてきても悪いことが何もないのでひたすら先代契約主が亡くなったら新しく王家の人間と再び契約をしているそうです。


 なんでも王宮の庭は妖精の園に繋がる空間が出来ているとかなんとか……


 我が国の王家の方々は他の国よりも庶民寄りの思想をもっているらしく、庶民や貴族などの貧富や身分の差別はとても少ないです。

 王子たちのミドルネームにドイツ語の数字が入っているので地球人が祖先なのではないかとほんのり思ってます。

 ドイツ人か日本人じゃないですかね。

 だって、ドイツ語かっこいいですもん、厨二心くすぐりますもん。


 そして義務教育を受ける制度が導入されており庶民でも学校に通えます。

 庶民が学校に通うことが出来ればその分ちゃんとした職に就くこともできるし、騙されるような人も減っていき、変な仕事は減ります。

 そして仕事がしっかりしていれば収入も入り経済も潤う。

 民も幸せ、貴族も幸せ、王族も幸せ……なんていい循環でしょう!


 そんな我が国の他の国とは色々なところが違っている王家を気に入った妖精さんたちが契約を持ち掛け、当時の国王様が使役契約をし……寿命の長い妖精さんたちはその子供や孫など、代々の契約主の人たちと契約をして楽しんですごしているようです。


 ストラいわく使役っていうか友達感覚、だそうです。


 なんでこんなに詳しいかというと、ちょうど現在の第二王子様がストラの学園時代の級友らしく仲が良かったそうです。

王太子(ほんめい)じゃない僕が自由にして何が悪いの? やることは(一応)やってるし。』とは本人談だそうです。

 ちなみにアイラお姉様とも同じクラスだったそうです。


 そんな事を言うくらいとても自由な方らしく……学生時代に二人で冒険者として休日や放課後に依頼を受けたりもしていたそうです。

 ストラよりもバトラーさん寄りの脳筋思考らしくて抑えるのが大変だったと遠い目で語ってました。


 っと話が逸れましたね。

そして妖精さんたちも各々好きな王家の方と契約をしていくそうで。

 第二王子様も妖精さんに見初められて契約しているそうです。

 第一王子様は契約をしていないそうで、ちょっとした火種になりそうでドキドキしていますが……めちゃくちゃ仲良いそうなので大丈夫なのかな……?


 なんとも見目麗しい第二王子様らしいのですが……見た目に似合わず本当に脳筋で、問答無用で拳で語る人らしく。

 その王子様と契約した妖精さんは魔法が得意な種族なはずなのに同様の脳筋妖精だそうです。


 城で王子が鍛えている姿にとても衝撃を受けたその妖精さんが脳筋に染まってしまったようです。

 そして契約をしたことにより使役契約の効果で魔法の能力も上がっていますが、身体能力がメキメキとあがりさらに脳筋になったらしいです。

 可愛らしい妖精さんに筋肉がむきむきついてるだなんて……想像できません……。


 身体の小さい妖精さんが身体より大きい岩ーー石ではなく岩ーーを砕こうと練習していた、と遠い目で語られました……。


 ちなみに第二王子が脳筋になったのはストラの家に遊びに来たときにバトラーさんに憧れてしまったから、らしいですよ。


 なんて悲劇でしょうか。

 見目麗しい王家の方にバトラーさんを犯している脳筋ウイルスが侵入してしまうなんて。


 バトラーさんは基本的に何でも拳で語る方なので……それを見て憧れてしまった王子様も拳で語る、そしてそれと契約してしまった妖精さんも拳で語る。


 負の連鎖です。


 第二王子様はガチムチ系の美形なのでしょうか……実は筋肉美、とか言わないよね……?

 どうせなら細い麗しの王子様であってほしいけれど……バトラーさんを思い出すと絶望しかありません。

 盛り上がる筋肉がなくて何が男だ! と昨日食後にストラを(しご)いてたの知ってるんです。

 そんな余計なものストラにつけないでほしいです。

 日々筋肉を鍛えているのも知ってるのですが、それ以上ムッキムキになってどうするのですか……。


 まぁそんなこんなで。

 ストラとの会話の最中にいきなり睡蓮が小さくなりましたが、使役獣=主の強さ等に影響される存在、なわけで

 規格外のチート能力をもってるわたしの使役獣ともなれば身体のサイズを変えるなんて多少普通じゃなくても仕方ないのかもですねぇ。


 というところで冒頭に戻る。


「わあぉ。」


「いや、わあぉじゃなくて。

 サイズ感おかしいだろ。なんで小さくなってるんだよ。

 余った身体の質量どこに消えてるんだよ。

 いや、たしかに小さい方が目立たなくていいとは言ったけども!」


 有名な耳なし芳一よろしく猫型ロボットな所持品である縮みライト的な縮み方なんですかね?


 ストラはいつか血管切れそうですよね。

 ツッコミしすぎて血管が切れる。

 ツッコミ死とかしないでくださいね。


 そういえばわたし、最近鑑定能力とか宝の持ち腐れ程度にしか使ってないんですよね。

 普通の転生物ってすごい多様してますよね。

 普段からなにをそんなに鑑定するの? って思っちゃいます。

 わたし生まれたばかりの動けないときに多様しまくって暇つぶししたのが一番役に立った時期ですよ。

 本当宝の持ち腐れですね!

まぁ今は睡蓮のことが気になるので鑑定しますけどね!



『鑑定』


睡蓮(0)

種族:虹色スライム

適性: -


HP:3/3

MP:158/180


STR:1

AGI:5

VIT:1

INT:69

DEX:35

LUK:86


 スキル:抽出・創作魔法(弱)・収納(アイテムボックス)・汲み取り

 称号:転生者の使役獣・下剋上





「おぉっ……ストラに分けてあげてほしいくらいLUKが高いですっ……!

 しかしすごくアンバランスな子ですね……

 一発殴られたら死んでしまうようなHPやVITかと思えばMPは180

 でもINTに比べると随分少ないですねぇ……?

 INTが上がるとMPも増えると思ってたんですけど……そういうわけじゃないのですかねぇ……?

 むむむ……ゲームとは違うのでしょうか……。


 創作魔法も弱ってついてますけど使えちゃうみたいですし……収納まで使えちゃうとか……。


『毒などの異物を身体から出すことができる』ってことが書いてあるんだから抽出が核を取り出したスキルなのかな?

 でも毒でも異物でもないですよねぇ……うーん?

 まぁとりあえずわたしの影響受けてるんですよね!

 それはつまり普通の魔物より絶対すごいですよ!」


 ふんふんと感心しながらストラに報告をしていたのですが反応がないので『おや?』と見てみれば

 驚いているのか口がポカーンと開いています。

 アホ面してますよ?


「創作魔法が使えるのかよ……なんだそれ最強だろ……。

 でも弱ってなんなんだ?」


 えーっと……もう一回鑑定をして、弱のところをタップしてー……っと……


「なになに? 『使役獣・睡蓮限定のスキルで、基本的になんでもできる創作魔法と違い一度見たことがあるものしか使えない。

 術者(使役獣)の性格や種族により、見たことがあったとしても使えないスキルがある。』だそうです。」


 今した創作魔法(弱)や抽出みたいにタップすると詳細が見えるのは最近知りました。

 どんだけ鑑定のこと調べてないんだよって自分でも思いましたよね。


 ちなみに気付いた理由はさっき(・・・)たまたま手が当たって表示されたから。

 エェ、気づいたのは『さっきたまたま』ですが、何か?



「なるほどな……ユイの使役獣だからこそのスキルってことか。

 使えない魔法ってのはどんななんだろうなぁ?」


「それは分からないですけど、とりあえず自分を守る魔法だけは今から覚えといてもらいましょう。

 HP少なすぎてちょっとしたことで死んじゃいそうで怖いです。

 覚えれるといいのですが……」



 結論から言うと自己防衛魔法は覚えることが出来たのでよかったです。



 あと、身体のサイズが変わったのは『汲み取り』ってスキルの効果で……主やその周りの親しい人たちの気持ちを汲み取って、叶えようとするスキルらしいです。


 なにこの子すごいできる子じゃないですかっ……いい子すぎる……。








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