表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したってわたしはわたし。  作者: なの
新人だろうが冒険者っていいですよね。
10/60

10.虹色の誘惑

 受付に帰ってくると、賑わっていた広い室内には冒険者数人とギルド関係者数人のみで先ほどよりも広く感じた。


 確かにいっぱいついてきてたと思ってましたが、さっきあんだけゴチャゴチャとしてたのにこんなに少なくなっているとは……。


 もう出て行った人もいるんだろうなぁ。

 さっきの興味なさそうにしてた人は……うん、やっぱりいないですね。




「よっ、と……うわ、かるっ。子供ってこんな軽いのか?

 お前飯ちゃんと食ってる?」


「わっ!? いきなりはびっくりしますよ!

 抱っこするならするって言ってくださいよぉ!」


 いきなり後ろから抱きかかえられて高くなった視界に驚く。

 前世で生きてきた記憶があるっていうのに、家族ではない男性に抱き上げられるのは少し照れくさくて悪態をついてしまいました。


 いくら計算した数値的には標準であっても、実際に身長体重を聞いてみると「重い」と分類される人間だったので、抱き上げられるなど付き合った人たちですらなかったのに……。

 姫抱っこされたことが一度だけあったけど『腰がっ……』とか言ってたもん。すいませんね、重くて。


 まぁ今は脇の下に手を入れて持ち上げる子供抱きなんですけどね。


「文句多いなぁ……ほら、その羊皮紙に必要事項記入して、手のひらを水晶のところに置いて魔力を流せって。

 冒険者登録するんだろ。」


 キョロキョロしてたらストラに持ち上げられることになってしまいましたが、そうでした。

 少し待つって言ってたしさっさとやってさっさと依頼受けましょう。


 まずは記入ですね……名前は、ユイ……年齢は7歳っと……

 今度はこの魔導具に手を乗せて魔力を少し流して……ってあれ?

 魔力情報ってことは属性とかもでる感じ……? 属性なしがばれちゃうんじゃ……と思ったときにはすでに魔力を流したあとで。


「はい、これで大丈夫でっ……えっ!?」


 あちゃー、出ちゃったみたいですね……魔法属性なしが……。


 そりゃあ驚きますよね、さっきどう見ても魔法使いましたし。

 氷の鎌を作ったうえに栗ード(グリード)(の火の魔法)ごときじゃ溶けもしなかったですし。


「えーっと……それの項目を少しいじってカモフラージュする……とかは出来ます?」


「え、えと……読み取った情報をカードに入れるのは私なのでできます、が……ギルド職員以外にはお名前とランクしか見えないように表示されますのでカードの隠蔽は、必要ないかと思われます。


 皆ギルドの仕事を誇りに思っていますので職員から漏れることはありません。


 そして万が一冒険者の情報やギルドの情報が職員から漏れた場合にはそれなりの罰が与えられることになっております。


 なのでそのままでも構わないのではないかと思うのですが……。


 というよりも正直に申しますと、出来るけれど隠蔽行為自体がほぼ黒に近いグレーゾーンとなっていますので、私としては出来ればやりたくない、というのが本音です。


 新しい受付に当たる度に驚かれて面倒かもしれませんが……この街にいる限りは私が優先的に担当致しますので……。

 ダメでしょうか……。」


 はうぁ!

 アディさんの申し訳なさそうな俯いた顔!

 チラッとされる上目遣いはわざと狙ってるのではと思えるほど破壊力抜群です……。


 これを断れる人がいるだろうか!?


 否!



「だっ、ダメじゃないです!

 むしろすいません、そんなことやれるか聞いてしまって……」


「いえ、そんな私こそ……事情は分からないですが、絶対秘密にしますからね!」


 そう言って意気込んでる姿はセクシーな見た目とは正反対でとても可愛い。

 なんですか、そのグッと意気込んだポーズ。

 乙女ゲーのヒロインか何かですか。

 セクシー担当はどうしたんですか。





「では軽く冒険者について説明させていただきますね。


 冒険者は大陸各地の国にいっぱいいます。

 それぞれ強さによってランクが分けられていて、ユイちゃんのようななりたて冒険者はFランク。

 ランクはFからSSまであります。


 FからEに上がるには依頼を3つ、尚且(なおか)つ2つは討伐依頼を受ける必要があります。


 Dになる為には討伐5が必須の計依頼数は10。


 Cは一人前と言われていて、ストラさんが先日このランクになりましたね。

 Dまでは比較的楽になれるのですが、Cになるためには依頼クリアが50の討伐は半分ほどは必要になりますので手間取る方も多いようですね。

 みなさん時間をかけて確実にやっていらっしゃいます。


 そして今までのランクと違うのは、ここから上のランクに上がるには昇格試験があるというところでしょうか。


 依頼を全て終わらせた後に上のランクの冒険者との試験をやって勝敗は問わず資格ありと認められれば昇格となり、晴れてCランクなど次のランクに昇格となります。


 不正防止のために試験官の冒険者は冒険者ギルドが選んだ試験官に適性ありと思う方への指名依頼で決まります。


 あとは昇格するためには倍々に必要依頼数が増えていく、という感じです。」


 つまりがF→3達成でE→10達成でD→50達成+試験でC→100+試験でB→200+試験でAという風になってるのか……。


「そして指名依頼とは、呼び名の通り個人やパーティなど特定の人を依頼主が指名してくる依頼のことですね。

 基本的には高ランクにならない限りは関係ないと思っていいと思います。

 Cランク以上の冒険者じゃないと全然名前も売れないですしね。


 最後に、SSランクだけはどれだけ依頼をこなしてもなれません。

 こちらは国のトップ1人の推薦ののち、他国のトップ1人に認められて初めて昇格となります。


 過去に何人か戦争の功績とかでいますが、基本的にはないランクと思っていいと思います。


 簡単な説明でしたが、何か質問はありますか?」


 でた、質問タイム。

 うーん、うーん、漫画や小説ではどんなことあったかな……


「くすっ、そんなに悩まなくてもいつでも質問が出来たら来ていただけたら大丈夫ですよ。

 ストラさんも一般的なことなら知ってると思いますしね。


 では登録をしてまいりますのであちらの飲食スペースで、新規登録冒険者のみ一杯飲み物無料で提供していますのでよければどうぞ。

 この札を担当の者に渡してくださいね。


 私のオススメはレモンのジュースですのでよければ飲んでみてくださいね。」


 ジュース!

 少し動いたので喉は乾いてたのですよね!


「ストラいきましょう! わたしレモンジュース好きです!」


「えー……レモン酸っぱいだけで何が美味いんだ……」






 ---------------------------------------







 お嬢さん可愛いね! って飲み物担当のお姉さんが特別サービスで大きいグラスに入れてくれて飲んだレモンジュースは酸っぱかったけどしっかり冷やされていてとっても美味しかったです。


 この世界炭酸水ってないんですよね。

 レモンスカッシュみたいなの飲みたいです。


 炭酸水って作れるのかな?

 今度検索してみましょう。

 ていうかレモンスカッシュってどうやって作るのか知らないからそっから検索しましょう。


 ちなみにストラもアディお姉さんのオススメだからっ……! って凄く微妙な顔して飲んでました。

 顔が酸っぱいって言ってた。

 ていうかずっと酸っぱいって口でも言ってました。


 オススメの飲み物飲んだって距離は縮まないと思うので無駄な努力だと思うのですよね。

 しかもわたしと一緒だから飲み物担当のお姉さんの親切心でグラスサイズでかいですし。


 渡された時絶望的な顔してました。

 頼まなきゃいいのに。



 わたしが飲み終わったのを見計らっていたのか、ちょうどアディお姉さんが冒険者カードを持ってきてくれました。


「わぁー冒険者カード白だー! ……汚しそう!」


 最初に浮かんだ感想がそれってどうなのよと自分でも思いますが昔から白い物って汚すから苦手なんですよ……。

 オタクは基本黒……

 あと茶色も個人的には好きでした。

 う◯こついてもバレない!


 や、流石にバレると思いますけどね。



「くすっ、ランクごとに色が違うのでそれも昇級の楽しみにしてくれてる方もいるんですよ。」


「へー! ちなみにストラは何色なんですか? あ、お兄ちゃんは。」


「俺は黄色」


 もう誤魔化せてないだろうとか思うほど呼び捨てしまくりのストラはCランクだよね。

 何色なんだろうと疑問に思って聞いてみたら腰につけた小さなアイテム袋から出したのは、わたしの手の中にあるのと同じようで色だけが違う小さな黄色いカード。


「わたしも白より黄色の方がいい!

 早くCランクにしたいです!」


「あら、ユイちゃんならとっても強かったからすぐになれるかもしれないですね。

 でもその前にDとEランクのブルーとグリーンも楽しみにしてあげてくださいね。」


 ニッコリと笑ってくれるアディさんのセクシーなこと!

 さっきから前屈みで話してくれるから、胸の強調っぷりがやばい!

 わたしの視点もオッさんすぎてヤバい!


 そしてストラもチラチラ見ててそれもヤバい!


「早速何か依頼受けてみますか?

 あそこに依頼の掲示板があるので見てきてみたらどうでしょう?

 わたしはそろそろ受付に戻りますね。」


 そう言って起き上がり指差してから去っていくアディさんの胸から残念そうに視線を逸らす二人。

 逸らした視線の先には依頼掲示板であろう板が二枚、壁に寄りかかるような距離で設置されていた。


 近寄って見てみると右側の階段寄りにある掲示板はFランクからCランクまでの依頼

 左側の受付側にある掲示板はBとAランクの依頼の紙が貼ってあった。


 あれ? SランクとSSランクの依頼はないんですかね?


「上の二つのランクを受ける時は受付か指名依頼だ。

 自身のランクより一つ上のランクの依頼まで受けれるから、危険度が他のものに比べても高くなるAやSは受けれるかどうかの判断をギルド側で徹底しているからな。」


 なるほど。

 小首を傾げていたからか、顔に出ていたのか、聞く前に教えてもらえましたね。


 まぁFランクのわたしには関係ないのですけどね。

 とりあえず掲示板の依頼をもう少し見てみましょう。

 まずは右側の低ランクのを


 ・C『夜光花を30本集めてもらえませんか?』

 ・C+『チームウルフの討伐。』

 ・F『解毒草の収穫。いくらでも』

 ・F『女性限定 ◯日に子供の相手をしてくれる方』

 ・E+『ガーネット採掘。※いくつでも可』

 ・C『街周辺のゴブリン討伐』

 ……


 左側は……

 ・A『ランドハイル王国までの護衛』

 ・B『グロウ村付近でのサルファーフロッグの討伐』

 ・B+『ケルベロス討伐』

 ・A+『ザイアン山ワイバーン複数討伐』

 ・B『地質調査所隊の護衛。複数人募集』

 ……



 基本的に高ランクは採取はあまりないのですねぇ。

 低ランク、というかFランクは本当に簡単なものばかり。

 Fランクには討伐系はないみたいですね。


 Cランクにはゴブリン討伐ありますけど、ちょっと可愛らしい系のまだ見れるゴブリンなのか、それともウワァと言いたくなるような醜悪系ゴブリンなのか気になるところですね。


 あとはこれが気になります。


「ストラ、ランクのあとについてる+ってなんですか?」


 いくつかの依頼の必要ランクのところに+がついてるのですよね。

 C以上B未満的な?

 ……なにを持ってどう判断するんでしょう?


「あぁ、それは、例えばC+だと『Cランク以上の冒険者1人以上のパーティ推奨』って意味だな。

 あくまで推奨だからCランク冒険者やD、Bの冒険者が1人で受けても問題はない。

 逆にCの依頼を複数人で受けてもいい。


 まぁ報酬が増えるわけではないから報酬が高めの+依頼以外はわざわざ即席パーティ組んで、とかになるとそのパターンはないと思うが。

 もちろん固定パーティー等は別だけどな。」



 なるほどなるほど……ってあれ?


「わたしやストラみたいにランクに差のあるパーティとかも全く問題はないですか?

 ストラと一緒にいないといけませんし、一緒に依頼受けたいのですが……」


「それは問題ないかな。

 Dランクまでは簡単に上がるけど一人前とは言えないし、Cになるにはある程度の強さが必要だからただの腰巾着は上がれない。


 だから実家がそこそこ金を持っている商家の次男坊とかは、金で雇った冒険者と一緒に依頼を受けて実戦で鍛えて成り上がっていく、とかもあるくらいだしな。


 だいたいうまくいってないけどな。

 偉そうにするから上手くいかないんだが、金持つと傲慢になりやつが多すぎる。


 ちなみに下のランクの依頼は1人で受けるならば一つ下までしか受けられない。

 今言ったようにパーティ組んでなら問題はないがな。」


 ははぁ……なるほど。

 商家も貴族も上の方に行けば行くほど偉そうな傲慢な態度の人は増えていくんですねぇ。



 っと? 話しながらも掲示板を眺めていたら上に貼るには身長が足りなかったのかこっそりと下の方に貼られた依頼が目につきました。


 ・F『虹色スライムの探索依頼』


『虹色スライムを探しています。

 目撃情報があったので探していたのですが見当たらないので依頼をださせていただきます。

 虹色スライムの核となる虹色魔石の回収をお願いします。


 目撃された場所はリシュール西門から出て少し進んだところにある森の中です。』


 虹色スライムってのはどんなスライムなんでしょう、稀少っぽいし見てみたい!

 レアドロップして、売ろうと思ったら通常ありえないものが出てきて、ギルドマスターがでてきて! とか!


 うほーウキウキしてきました。


「ストラ、これにします!」





レモンスカッシュ、飲みたい。


物語で出てくる食べ物の名前等は、現実世界のモノと基本的には同じにしたいな。

何故って、作者が分からなくなるから。

見た目リンゴで味がミカンのなんたら!とかやると常にカンペが必要に……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ